DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第64話:夜の宿屋が大混乱
前書き
今回はブライの視点からスタート。
(サラン)
ブライSIDE
はぁ~……騒がしいのぅ!
今日は朝から忙しく、年寄りには堪えたんじゃから……夜くらいは静かに寝かせてくれんかのぅ。
と言っても、このパーティーではムリな事か?
珍しくリュカが気を利かせて宿を確保してくれたから、早々に割り当てられた部屋で眠りに付いたんじゃが……
何やら宿内で大声が飛び交っている。
この声は誰かのぅ……野太い男性の声……あぁライアンか!
新たに加わったピンクの鎧を着込んだ戦士……
目立つのぅ……
趣味なのか? まともな人物に見えたのだが……
あの人間になったと言うホイミスライムは、奴の女じゃろうに。
さっさと部屋で励めば良いのに……
何を騒いでおるのやら?
……今度は別の部屋から声が聞こえる。
この声は誰じゃ? まだ若い男女の大声……アローとリューラか?
あまり騒がしいイメージは無いが、彼氏が人間になれて嬉しくて騒いでるのだろうか?
まだ子供じゃし、流石に励む訳にもいかないから、騒いで発散するしかないのじゃろう。
多少は我慢してやるが、出来ればそろそろ静かになってほしい。
ワシはもう眠いんじゃよ……
じゃがワシの願いは、ウルフのイカレた彼女の叫び声で崩壊する。
イカレてるとは理解してるのだが、夜中にあれ程の大声を出すくらい頭がおかしいとは予想外じゃよ……
リュカ家の人間は何においても測定不能じゃな! まぁ父親がアレじゃぁな。
眠気も吹っ飛んでしまったので、暫くの間この騒がしい状況をしみじみ味わってみる事に……
最初は各々の部屋で騒いでいたのに、次第に喧しさが一カ所に集まって行く。
それは何処かというと……天下御免のトラブルメーカーの部屋へだ。
トラブルを巻き起こすのも、トラブルを呼び込むのも、あの男の絶対的なスキルなのだろうか?
どうして各々が騒いでいたのに、リュカの下へ集まり更なる騒ぎに変換するのだ?
先程までの騒がしさが、まだマシに感じる程に今の騒がしさは強烈だ!
流石のワシもそろそろ我慢の限界じゃ……
怒る気力も湧かない程、疲れ切っているのだがなぁ……
誰かが指摘せねばならんということか。
「お前等うるせーんだよ!!」
意を決してベッドから起き上がると、騒ぎの中心地(リュカの部屋)からシンの怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやらシンも我慢の限界だったらしく、ワシより先に怒鳴り込んだ様子じゃ。
若い分、ワシより瞬発力がある。
これで多少は静かになるだろう……
「夜の宿屋で騒ぎやがって……少しは常識を持て馬鹿野郎!」
なんせシンの怒りは限界突破な様で、今は奴の大声しか聞こえない。
とは言え、先程よりうるさく感じるのは仕方ないのじゃろうか?
暫くの間はシンの怒鳴り声だけが響いており、先程までの騒ぎは終息を迎えたらしい。
とは言え、あのリュカをシンが抑えきれるとは思えんし、ワシも援護にでられる様ベッドに入らず待機する。
窓を開け、外の空気を堪能しながら、シンの怒鳴り声が止むのを心待ちにする。
すると、どうやらシンの怒りは効果があったらしく、先程の騒ぎもシンの怒鳴り声も、音量が下がって行き静かな夜が戻ってきた。
壁にもたれ掛かり、シンの援護にでられる様待機してたワシは、大きく息を一つ吐いて静寂を噛み締める。
だが……今までうるさかった所為で聞こえなかった音が、静寂の中でワシの耳に届く様になった!
ワシがもたれてる壁の向こうで、男女が励む喘ぎ声が微かに聞こえてくる……
そ、そんなはずはない……だって、この隣は姫様の部屋……
ワシは祈る様な気持ちで自室を飛び出し、直ぐ隣の姫様の部屋へ駆け付ける!
そして慌ててドアノブに手をかけ、失礼を承知でドアを思い切り開け放つ。
するとそこでは……
ブライSIDE END
(サラン)
リュカSIDE
俺の目の前では、茹で蛸の様に真っ赤な顔で怒るブライと……
ベッドの上で、一糸纏わぬ姿でクリフトのアレをパックリくわえ込んでいる、アリーナの綺麗な姿が広がっている。
ベッドの上だけをもっと詳しく説明すると、横たわるアリーナの身体の右肩を上に、左肩を下にして、クリフトは背後から右足を持ち上げる様に持ち挿入している。
つまり『鴨の入り首』って体位だね♡
だからね、結合部位がモロ見えなんだ(笑)
バックや騎乗位……まぁ正常位でも、ここまではハッキリ見えないのだけど、この体位だと俺達に見せ付ける様な格好だから、おじいちゃんの血圧が心配です(笑)
奴等より先に、ブライが天昇っちゃいそう(大笑)
「ようクリフト……ご苦労さん!」
「え……は、はい……どうも……」「そんな事より出てってよ!」
取り敢えず俺はクリフトに労いの言葉をかけ、皆を落ち着かせようとした。
でもアリーナが、この状況の正論を言う(笑)
「それより離れんか馬鹿者!」
そして冷静さとは無縁のジジイが叫き出す。
折角二人の仲が進展したというのに……
「まぁまぁブライ……愛し合っている二人が親密になって何が悪い? 僕達は邪魔をしない様に部屋から出て行くのが常識的だと思うよ」
「な、何が“常識的”だ!? 世界一非常識なキサマが、常識について偉そうに語るな! 何よりこの状況が常識的な訳ないだろう!」
「この状況の何処が非常識なんだよ!? アリーナとクリフトは相思相愛で、互いに互いを求め合う事が非常識だとは思えないんだが?」
「馬鹿者! 姫様は、由緒正しきサントハイム王家唯一の跡継ぎだぞ! 家臣の分際で陛下の許しも得ず、姫様に手を出すなんぞ許される事ではない!」
「はぁ!? 跡継ぎが何だ……身分がどうした!? 互いを心から愛する者達に、そんな物は無意味だ。互いに将来を鑑みず、一時の肉欲に溺れただけなら理解もするが、アリーナとクリフトは100%愛し合っている! その二人が心と体で結ばれたんだ……二人の事を幼い時から知るブライは、心から祝福してやるのが常識だろう! 身分などに囚われてアリーナを悲しませる事など言わず、若者の幸せの為に尽力してやれよ!」
「いけしゃあしゃあと勝手な事を言いおって……キサマの様な年中無休発情種馬男が、偉そうに愛など語るな!」
あれ……凄い事を言われてる気がするけど何で?
イケメンラヴハンターの俺が、愛を語って何が悪い!?
「サントハイム王家の未来に拘わる事なんだぞ……平民の女子なら、愛し合っていれば何でもアリじゃが、アリーナ様は姫君なんじゃぞ!」
「ふ~ん……クリフトって、クズ人間なんだ!? 長年共に王家に仕えてきたブライから見て、男としても人間としても信頼が置けないクズ人間なんだ?」
「そ、そんな事は言っとらん!」
「いや言ってるよ……クリフトがアリーナと結婚したら、サントハイム王家の未来には不安が広がるんだろ? だから爺さんは先程から大声を張り上げて、二人の仲を引き裂こうと試みてるんだろ!?」
「ち、違う……そうでは無く……陛下の許しも得ずに、家臣の分際で姫様に手を出した事が「許可を得られない状況なんだからしょうが無いだろ!」
幼い頃からアリーナを育ててきたブライだからこその意見だろう……
俺もポピーが『私もう処女じゃないよ』ってカミングアウトしてきた時は驚いた! でも……
「それに順序が逆になるだけじゃん……みんなで力を合わせて、サントハイム王達を助け出し『アリーナとクリフトは愛し合ってます』って事後承諾を得れば、何の問題も無くなるだろ!?」
「だ、だが……しかし……」
「それに愛し合う者達を引き裂くのは利口な事とは言えない……僕の知っているエルフの愚か者と人間の愚か者が、種族の違いを理由に愛し合っている息子と娘の仲を引き裂いたんだ。この後どうなったと思う?」
「どう……って、根気よく双方の親を説得し、末永く幸せに……」
ブライも言ってて気付いたのだろう……ワザワザこの話題を出した理由を……
「死んだよ。種族の違いを理由に、愛し合う事を……逢う事すらも禁止された二人は、現世での幸せを諦め、共に死んで幸せになろうと心中したよ……」
周囲に静寂が広がる……
「頭ごなしに引き裂いたのでは、より強い反発から強硬手段に出てしまう……否定するのならキチンとダメな理由を理解させて、感情的にならずに冷静に根気強く説得しなきゃダメなんだ。恋は障害が多い程、激しく燃え上がる物……冷静さを失っては、最悪の結果を生み出してしまう。先ずはゆっくり話し合おうよ……な、ブライ!」
俺は言葉巧みにジジイを言いくるめ、優しく肩を叩くとそのままアリーナの部屋から退出させる。
去り際に、ベッドで結合中の男女へサムズアップで続きを始める様指示して!
明日の朝には二人から、感謝の言葉くらいは欲しい物だ……
リュカSIDE END
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