DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第63話:夜の宿屋は大劇場
前書き
久々に長いです。
(サラン)
リュカSIDE
朝一から忙しかった本日も、このサランの宿屋で終息を迎えそうだ。
俺個人はそれほど疲れてはないのだけど、他の皆は心身ともに疲れてるらしく、優しい俺は代表して宿の確保を行っている。俺って良い奴だよね。
本当はリーダーのシンがやらなきゃならないのだろうけど、新規参入のライアンが熱心に自己紹介などしてる為、余裕をなくしている。アイツ暑苦しいね(笑)
まぁ宿を取るくらいは誰がやっても良いんだけどね……
そう言えばライアンは父になんとなく似ている気がする……なんとなくね!
多分髭だろう。あと、あの真面目一直線なとこかな?
からかうと面白そうなんだよなぁ……
「あ、そうだホイミン」
「な、何ですかリュカさん……」
尋ねる事があったのでホイミンに近付き話しかけるが、一定以上近付くと身構え胸を隠し距離を取り警戒される。美女に警戒されるのは傷付く……
「何だよその態度?」
「だって……リュカさん……ここを触るから……」
そう言って自身の大きな胸を指差すホイミン。
「ライアンの女だって判ったから、もう揉まないよ。それよりお前とライアンは一部屋で良いんだろ? どうせ一つの部屋でイチャ付くんだろ? だったら二部屋必要無いよね!」
「イチャ……何ですかそれは?」
あぁそうか……昨日までホイミスライムだったのだから、流石のライアンもイチャ付いてた訳じゃないんだね。ホイミスライム相手にオッ立ててたらヤバイもんね(笑)
「つまり、同じベッドで眠り胸をモミモミしてもらうって事だよ」
「あぁ! それだったら何時も一緒のベッドで寝てましたから、一部屋だけで大丈夫ですぅ!」
きっとライアンはペットと一緒に寝てる感覚なんだろうなぁ……
ホイミンはそれについて解っておらず、現状で一緒に寝る事の意味を考えてもないんだろうなぁ……
「ところでリュカさん……質問なんですが、人間ってこの布を何時外すんですか? それともずっと身に付けて生活するんですか?」
「布? ……あぁ服か! そうだね、入浴時は脱ぐよね。あと人にもよるけど、寝る時は脱ぐ人も居るよ……僕はそうだからね!」
「なるほど……じゃぁボクも寝る時は外します」
「それが良い……アイツきっと童貞だから、ホイミンは服を着ないで寝た方が良いよ(笑) きっと素敵な夜になると思うね!」
面白そー! どんな結末がくるのか明日の朝が楽しみだね(笑)
きっと何だかよく解ってないホイミンは、ウキウキした感じで割り当てられた部屋へと去って行った。
部屋割りと言えば、ブライに内緒でアリーナとクリフトの部屋も相部屋にしておいたんだゼ! 俺って気が利くぅ!
奴が自分の部屋に去った隙に、急遽宿屋に部屋数変更をお願いしたんだ。
だってね……サントハイム城で親父さん達の命は無事である事が判ったアリーナが、命の無事を喜びつつも未だに救えない状況に落ち込んでたんだ。
クリフトを嗾けさせようとしたら、奴は俺に言われる前にアリーナを慰める行為を行ったんだ!
若い頃の息子とは大違いで、率先してポイント稼ぎを行う青年。
将来有望だな……まぁ幼い頃から互いを知っていて、クリフトの方は想いを寄せていたのだから、自然な感じで話しかける事が出来るんだろう。
だからコッソリ(ブライに内緒)と相部屋作戦を決行したんだ。
ただ、急遽の変更だったから、部屋の位置はブライの部屋の隣になっちゃったけど……
ルームキーを渡す時に『隣はブライだから、声を抑えて励めよ』と忠告しておいた。
アリーナもクリフトも顔を赤くして頷き、仲良く部屋へと去って行ったよ……お手々繋いで。
う~ん……青春って良いねぇ!
「あの……リュカさん!」
青春の素晴らしさと○○○の神秘を、アリーナ・クリフトの未来(今晩の行為も含む)で噛み締めてると、狐君が興奮気味に話しかけてきた。
何だろう……面倒事だったらイヤだなぁ……
「あの……オ、オイラ人間になれました!」
「うん。それは知ってる……その場に居たからね」
きっとリューラの事で話があるのだろうけど、遠回しな言い方は止めてもらいたい。
「オ、オイラ今までは狐で……やっと人間になれて……その……「リューラが好きだから告白したいって事でしょ!?」
なかなか本題に入らないので、思わず推測した言いたい事を先に言い、話を進めてしまった。
「こ、告白……?」
「つまりリューラに“好きだ!”って想いを伝えようと思ってるんだろ!? あの娘は押しに弱いから、心から気持ちを伝えないとダメだよ。そうする予定なんだろ?」
告白の意味が解らないとは……ホイミン同様、人間なりたては面倒臭い。
「そ、そうなんだ! オイラはこれから、リューラに『オイラと番いなり、子作りをしよう!』って言うつもりなんだ!」
番い……? 子作り……?
困ったなぁ……思ってたよりスッ飛んだ思考をしてるぞ……そして案の定面倒事だ!
「こう言う事って、初めにお父さんに相談するのが通例なんだろ? だ、だからオイラ……リューラに話す前に、リュカさんに話を通したんだ。人間ってコレで良いんだろ?」
めんどくせーコイツ……中途半端に人間知識があるから、王道と邪道が入り乱れてるよ。
「はぁ……まぁ……その……頑張れ……」
あの娘にそんな事を言ったら、顔を赤くして激怒するに違いない。
でもコイツに説明するの面倒いから、そのまま状況を見守ろうかなぁ……
色恋事に父親が口を出すのは面倒臭……いや、良くない事だしね。
「はい! オ、オイラ頑張ります!! 頑張って子作りします!」
「え!?」
あれぇ……言い方が拙かったかなぁ?
何か狐君は勘違いしちゃってる気がする。
リューラに切り殺されなければ良いけど……嬉しそうに自室へ去る狐君を見て、冥福を祈る気持ちになってしまいました。
明日になったら人数が減ってたりして……『サランの宿屋殺人事件! ~恋心が巻き起こした勘違いの悲劇……』なんってタイトル付けたりして(笑)
本当は狐君を止めるべきなんだろうけど、ウルフとリューノが真剣な面持ちで頷き合うのを見て、気持ちはそちらに向いてしまいました。
きっと既にマリーには、部屋で待ってろと伝えてあるんだろう。
あの娘の姿が見当たらないし……
「おいウルフ……これからか?」
「あ、リュカさん……は、はい。修羅場になると思いますが、これから俺達の事を……俺達三人の事を話し合ってきます!」
リューノの手を握り、力強い口調で話すウルフ。
「じゃぁコレを持って行け」
「こ、これは!?」
俺はウルフに、キングレオで手に入れた『静寂の玉』を手渡した。
「あの馬鹿がコレを懐にしまおうとしてたから、ブッ飛ばして取り上げたんだ(笑) アイツが持ってても、碌な事には使わないだろうから、ブッ飛ばして取り上げたんだ(大笑)」
「た、助かります! マホカンタじゃ俺しか無事でいられないし、マホトーンを使ったらマリーに怪しまれちゃいますからね……会話をする直前にマホトーンなんて非常識ですから」
うん。予想以上に感謝されたよ。
良かった……あの馬鹿から巻き上げておいて良かった!
静寂の玉を握り締め、客室へ去って行くウルフとリューノ……
リューノは去り際に『お父さんありがとう』と声を出さずに礼を言って去って行った……凄く嬉しかったよ。
さて……
俺も自室へと戻り、これからの事を考える。
これからと言っても、この夜の事だけだけどね(笑)
もっと詳しく言うと、今晩のお相手を誰にするか……サランに居るのだし、久しぶりにシスター・パメラの所に行こうか、マーニャ・ミネアが訪れるのを待とうかを考えてるんだけどね!
(コンコン)
次の行動を確定する前に、誰かが俺の部屋へ訪れた。
きっとシスター・パメラかマーニャ・ミネアだろう。
「はいは~い、鍵はかかってませんよ~」
当初から荷物を置いたらシスター・パメラかマーニャ・ミネアのとこに出かける予定だったので、施錠などしてない。
(ガチャリ)「あの……リュカさん、こんばんは」
そして入ってきたのはシスター・パメラだった。
相変わらず魅力的な身体を引っ提げ、待ちきれず自ら尋ねてきてくれた。
「こんばんはシスター・パメラ。今夜は貴女の所にお邪魔する予定だった……あれ? 失礼だけど、シスター・パメラ太った?」
まだ確定な予定ではなかったのだが、あちらから尋ねてきてくれたので、社交辞令的に予定内にしておいたのだが、何だかシスター・パメラの感じが違う……
「あ、あの……判りますか!? 私……あの……」
常識的に考えれば大変失礼な発言をしたのだけど、シスター・パメラは怒るどころか嬉しそうに俺に近付き抱き付いてきた……そして判ったその正体!
久しぶりに感じるこの独特な感覚……
「あれぇ~? もしかしてシスター・パメラ……妊娠してる!?」
あぁ、何人目だろう……いや、もしかしたら暫く逢わないうちにシスター・パメラに彼氏が出来、その人の子供かもしれない! 希望は捨てちゃダメだ。
「あ、あの……判りますか? リュカさんが船で旅立たれた後に判った事だったので、ご連絡するのが送れてしまいましたけど……その……リュカさんの子供ですよ♡」
あれ……結論を言われちゃった!? 回りくどく否定しようと思ってたんだけど……直球で勝負されちゃったよ!
「な、何だと!?」「まぁリュカさんにお子さんが出来たのですか?」
ほんの一瞬だが俺が対応に困っていると、今夜の運動会を期待したマーニャ・ミネアが部屋の入り口に立っており……しかも、これまでの事情を全て聞いており、そして対照的な反応を見せてくれる。
「リュ、リュカ……お前……シスターに手を出してたのか!?」
「えぇまぁ……大好物ですから……美しい女性は大好きですから……」
まだまだ男女の不道徳に拒絶反応を示すマーニャの叫び。
「リュ、リュカさん……もしかして彼女たちは、今お付き合いされている方達ですか?」
「あ、初めましてミネアと申します」
頭では理解してるが、目の前で不道徳を見ると不快感を露わにしてしまうシスター・パメラと、そっち系ではツワモノなミネア。
「あ、どうも……初めまして……」
臨戦態勢だったシスター・パメラも、天然ミネアに毒気を抜かれマッタリ挨拶してる。
でもおかしいなぁ……最初に確認しておいたんだよ。奥さんが居るけどOKだよねって、シスター・パメラにもマーニャ・ミネアにも聞いておいたんだよ?
「マッタリ挨拶するなー! この不道徳野郎……あっちこっちで不純な行為をしてんじゃねー!」
あれ……今更マーニャに怒られてる?
俺とシちゃってる以上、言えた事じゃ無いだろうに……
「姉さん……今更何を言ってるんですか!? リュカさんは最初から自分に奥さんが居る事を明確にしてたじゃないですか! それを知ってて関係を続けているんですから、私達も同罪です……偉そうに説教出来る立場ではないんですよ」
良え娘や……やっぱりミネアは良え娘やぁ……
「そ、それは……そうだけど……」
「あの……そうですね……」
ミネアの説得力があったのか、口籠もり静かになる室内……
う~ん……この状況を打破するには、明るく『今夜は4Pだね☆』って言うか!?
きっとみんなエンジョイしてくれるよね?
よ~し、今夜は頑張っちゃうゾ~♡
(バン!)「リュカ殿ー! 貴方は無責任な事を言いすぎですぞ!」
「な、何だ!?」
折角これからの方針が決定したのに、実行する前にライアンが俺の部屋に怒鳴り込んできた!
しかも何やら理不尽な事を言いながら……
「“何だ?”じゃありません! 貴方はホイミンを嗾け、私をからかおうとしてるでしょう! しかも私を大いに侮辱して!」
何だつーんだ……知らねーよ。
「ラ、ライアン様ぁ……夜中に大声を出しては、周りの人に迷惑ですよぉ……」
すこし遅れて現れたのは、大きなTシャツだけを着た色っぽいホイミン。
最中にやって来たのか? 馬鹿かコイツは!?
「いきなり現れて何を叫んでるのよ!?」
「む……マーニャ殿!?」
先程までの流れを断ち切れないまま、ライアンの突然の乱入に怒りを露わにするマーニャ……
「私達はこれから込み入った事情で立て込むの……そのダッチワイフを連れて部屋に戻りなさいよ! 彼女自慢をしたいからって、そんなセクシールックで女を見せびらかすんじゃないわよ!」
「み、見せびらかしてなどおらん! ホ、ホイミンも何でそんな格好で部屋から出てきたんだ!? 服を着ろと言っただろう……」
「ご、ごめんなさい。でもボクぅ……この布キライなんです」
「じゃぁ脱いじゃえば?」
「キサマは黙ってろー!」
しょんぼりホイミンを慰めようと、正直な思いを口にしたのだがライアンに怒鳴られた。
何だか俺の部屋で騒ぎが勃発した……
マーニャとライアンは怒鳴り合ってるし、シスター・パメラとミネア・ホイミンは困惑状態……
何で俺の部屋でなんだろう……? 余所でやってくれないかな。
(バン!)「リュカさん! リューラに説明して下さい……リュカさんがオイラに“子作り頑張れ”って言ってくれた事を!!」
何だよ今度は?
「お、お父さん……違うよね……絶対に、そう言う意味では言ってないよね!?」
何があったのか今一解らんが、狐君とリューラが息を切らして登場した。
仲良く手を握っているが、見た感じは喧嘩中だ。
「あのアロー君……ライアン様達、立て込んでるみたいなんだよね……」
「それが何だよホイミン!? オイラの用件には、オイラ達の人生がかかってるんだ……邪魔はしないでくれよ!」
「何を言うかアロー! 私とホイミンの用件だって今後の人生に拘わる事なのだ……後から現れたのだから遠慮してもらいたいな!」
「そ、それでしたら私が一番早くにリュカさんの部屋に訪れたんですよ! しかも私の用件は当事者のリュカさんと、今後の人生について相談しなければならない事なのです。後から現れた皆さんは遠慮して下さい!」
あれ、ヤバいなぁ……4P提案が出遅れた所為で、どんどん厄介な事になってきてるぞ。
(バンッ!)「クソ親父! ウルフを悪の道に引きずり込んだのはお前だろ!!」
「今度は何だよ!?」
解決の糸口を思案してる最中に、今度はマリーが泣きながら乱入してきやがった!
(バンッ!)「マ、マリー!」
次の瞬間ウルフとリューノも現れて、慌てて静寂の玉を使用する。
どうやらコイツ等の話し合いは拗れた様だな……だからって俺の所に来るなよ!
「一体何の用だよマリー……お前等の三角関係に僕は関係ないだろ。今ちょっと面倒事フェスティバル中だから、あっち行っててくれないかなぁ?」
「何言ってんだクソ親父、お前の所為で純真なウルフが暗黒面に落ちたんだ! 責任取って自分の娘を説得しやがれ馬鹿野郎!」
何だ“暗黒面”って……俺はシスの暗黒卿か!?
「『自分の娘』って……お前も僕の娘だろ? お前を説得すれば良いのか? 『ウルフはエロ男なんだから、二股ぐらいは当然だろ……諦めろ』って、娘を説得すれば良いのか?」
「違うわボケぇ! そっちのハーフエルフの事だ……お前が愛人に生ませた娘の事だアホ! 私の彼氏を寝取りやがって……どういう教育してんだキサマ!?」
「ちょっとアンタ……私の誘惑は撥ね除けたクセに、12歳の娘っ子の誘惑には負けたの? アンタもしかしてロリコン!?」
「しょ、しょうがないだろ……リュカさんの娘は全員魅力的なんだから! だからロリコンと言うよりリュカコンだ! 中にはマーニャさんの倍は魅力的な容姿の娘も居るんだから……」
「うるさ~い、部外者は黙ってろ!」
「何を言うかマリー……我々は込み入った話をしていたのだぞ! 後から現れたのだから、黙ってるのはお前の方だろう!」
「そうだマリー……私達はお父さんが拘わる重要な事なんだ……お前等の色ボケ喜劇で、私達の真剣な話し合いを邪魔するな!」
何で俺が拘わってるんだ? 無関係だろ……
「はぁ? 引っ込んでろペチャパイ根暗女!」
「何だとイカレ我が儘女!」
あぁ……無関係な俺の部屋で騒動が大きくなって行く……
室内を見回すと、其処彼処で罵声を浴びせる声が響いてる。
どうしよう……逃げ出すチャンスはあるのかな?
バレない様にソッとベランダへ出て、ルーラで何処かに行っちゃおうかな?
(バンッ!!)
俺が逃げ出す隙を窺っていると、今度はシンがドアを叩き開け乱入してきて、真っ赤な顔して叫びだした。
「お前等うるせーんだよ!!」
お前が一番うるさいよ……ってツッコミを入れると、余計混乱するだろうから空気の読める俺は黙ってる。
「夜の宿屋で騒ぎやがって……少しは常識を持て馬鹿野郎!」
何度も言うが、今一番うるさいのは奴だ。
奴の大声で、遠くの犬が反応し遠吠えを上げている。
確かに非常識な事を行っていたので、みんな黙ってシンの説教を受けている……
怒り心頭の者に口答えすると余計厄介だと言う事を知っているのだろう……
みんな黙って叱られている。でも無関係なんだよなぁ……俺。
「キャァーーー!!」「な、何やっとんじゃぁーーー!!」
暫くの間、大人しく説教を受けていたのだが、今夜の大声ナンバー1記録を塗り替える、アリーナの悲鳴と、更に上を行くブライの怒号が聞こえてきた!
「な、何事だ!?」
もう説教に飽き飽きしてた俺は、一大事に駆け付けるフリをして説教から逃げ出し、十中八九アレだろうアリーナ達の下へダッシュした。
きっと凄ー大事になってるだろうから、このまま俺の部屋の出来事が有耶無耶になれば良いなぁ……
リュカSIDE END
後書き
まだまだ混乱は続きます……
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