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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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―炎の急襲―

 
前書き
随分遅れてしまいました 

 
『Hello.エンジョイボーイ! ちょっと頼まれてくれないか?』

 ……などとジムに言われた数十分後、俺は明日香とともに森林を歩いていた。ジムに半ば無理やり持たされた、計測器のような変な機械とともに。

 ――デッキ強化の件が一段落ついたために、デス・デュエルは行わずに自室で惰眠を貪っていた時、突如としてドアがノックされた。睡眠を妨害されたことに若干腹をたてながらも、無視する訳にもいかないのでドアを開けると、そこにいるのはいつものカウボーイ姿のジムがいた。

 そこで言われたのが冒頭部分の台詞であり、それからジムの言葉はこう続いた。

「todayもいつも通りにフィールドワークをしてたんだが、持ってたmeterがabnormalな反応を示したんだ」

 この年齢で地質学に詳しいというジムが、このデュエル・アカデミアでも何やら機械を持ってフィールドワークを行っているのは、噂に疎い俺でも知っている程に有名な話だ。そんな本格派なジムが持っている計測器に、何やら異常な反応を示すエネルギーが見つかったという。

「心当たりは無いか? あんまりgoodな反応じゃあない」

 ジム程ではないにしろ、良く森林浴や釣りをするために森の中へ行っている俺を、ジムは訪ねてきたのだろう。このデュエル・アカデミアで、異常なエネルギーで心当たりと言えば……やはり《三幻魔》だろうか。

 あまり部外者であるジムに詳しいことは言いたくないが、影丸理事長ではないにしろ、またセブンスターズのような連中がいるのかも知れない。そんな中、ジムが異常な反応を調査しに行くのは危険すぎる……

「……可能性は低いけど心当たりはある。俺も一緒に行って良いか?」

「what? 心当たりを言ってくれれば、俺とカレンだけでno problemだぜ?」

 ジムは背後に背負っているカレンを指差しながら、そんなことをうそぶいてみせるが、俺の真剣な表情を見て少しばつの悪そうな顔をした。

「sorry.本校には何だかdangerousな奴があるってのは聞いてるさ。エンジョイボーイの力を借りよう」

「解ってくれて助かるよ。で、その具体的な場所は……」

 俺の言葉への解答は言葉ではなく、ジムのポケットから広げられた地図によるものだった。デュエル・アカデミアの全体図に、森の中心近くに大きく円が書いてある。

「feel shame.今解ってるのはこれだけなんだ。そこで、二手に別れて中心に向かっていきたい」

 確かにジムの言う通り、まだ地図上に描かれた怪しい場所を示す円は広く、二手に別れた方が効率的ではあるだろう。だが、その単独行動が危険であるのだから、俺は同行を申し込んだのだ。

「俺もfoolじゃない、カレンとその他にも人を頼むさ。エンジョイボーイも、トゥモローガールに一緒に行ってくれるよう頼んでくれよ」

 俺の非難の視線を感じたのか、肩をすくめてジムはそんなことを言った後、俺に計測器の一つを預けてくる。その怪しいエネルギーをキャッチするのだろうメーターは、今はピクリとも動いていない。

「反応が来れば動く筈だ。何かあったら……」

「ああ、連絡する」


 ――ということが自室であったため、計測器に注意を払いつつも森の中心へと歩みを進めていた。明日香には、計測器の代わりに周辺を見回してもらっている。

「このアカデミアで変な反応……確かに三幻魔の確率が高いけど、アレは火山に封印してあるんじゃないの?」

 散策の途中の明日香の疑問に、俺は確かにそうかも知れない、と思っていた。だが、もしかしたら三幻魔かも知れないのだから、このまま放っておく訳にもいかないだろう。

「またセブンスターズみたいな連中がいるかも知れないからな。今度あったら、不戦敗なんかにはならない……」

 あまり思い出したくない苦い思い出ではあるが、結果的には大徳寺先生の真意と《ライフ・ストリーム・ドラゴン》に会えたのだから、あながち悪い思い出とは言えない。

「二回目があったら……か。確かに、私も今度は負けたくないわね」

 《ワンハンドレット・アイ・ドラゴン》に敗れたことを思い出しているのだろう、明日香は強く拳を握り締めて悔しそうな表情を崩していなかった。

「相手が悪かっただけだろ、アレは」

「でも、遊矢は勝ってるんだから……危ない!」

 明日香の台詞とともに俺は明日香に突き飛ばされると、突如のことに反応出来ずに俺は大地に伏すこととなった。痛みを堪えながら急いで振り向いたものの、俺を押した筈の明日香の姿は……どこにも無かった。

「明日香!?」

 辺りを見回してみても明日香の姿は見えず、いつも通りのアカデミアの森でしかない。だが俺の耳には、明日香の物ではない足音が聞こえていた。

「誰だ!」

 足音が聞こえた茂みに向かって声を投げかけてみると、その茂みからゆっくりと、黒人の男性が姿を現した。その姿は、あまり話したことは無かったものの、俺も一方的に良く知った顔だった。

 オースチン・オブライエン。デス・デュエルが始まったというウエスト校チャンプにもかかわらず、このデス・デュエルでは不気味に静観を決め込んでいて、そのデッキのタイプすら解らない。

 何故か草むらの茂みに隠れていたオブライエンは、表情もおくびも変えずに言い放った。

「天上院明日香は預かった」

「……お前がか……!」

 俺の怒りの籠もった発言を無視して、オブライエンは無言で自分の頭上に向かって指を差した。つられて頭上を確認すると、木の上に横たわる明日香の姿が……!

「明日香に……何をした!?」

「ワイヤートラップだ。お前を庇ったせいで、打ち所でも悪かったようだがな」

 あの時明日香が庇ってくれたのは、周囲の確認をしていたが故に、ワイヤートラップに気づいたからであろう。……結局、また明日香を危険に晒してしまった……!

「お前は、やっちゃいけないことをやった……!」

 一年生の時も二年生の時も、俺は明日香を危険に巻き込んでしまった……だから、今度こそは守ってみせると決めたのに。三沢の旅立ちの時に、俺も明日香を守れるぐらい強くなるって決めたのに。

「……お前の目的なんざ解らないし、どうでも良い。デュエルだ、オブライエン!」

「……デュエルか。お前が負けたら、ここの調査は諦めるんだな」

 銃が収納されているような袋から、目にも止まらない速さで大型の銃を抜き取ると、その銃はデュエルディスクへと変形する。少しばかりそのギミックに驚いたものの、構わずにこちらもデュエルの準備をする。

 ……先程地面に落とした計測器が、異常な数値を示しているのを見過ごしたまま。

『デュエル!』

遊矢LP4000
オブライエンLP4000

 俺の一種の冷静さを失った闘志とは裏腹に、俺のデュエルディスクは『後攻』を示した。確かにオブライエンはウエスト校チャンプ、頭に血が上っている状態で勝てる相手ではない。

「俺のターン、ドロー」

 俺が一度深呼吸をして気分を落ち着かせると、それと同時にオブライエンはカードをドローした。せっかくの後攻なのだから、オブライエンのデッキがどんなものか、しかと確認させてもらおう。

「俺は《ヴォルカニック・リボルバー》を守備表示で召喚」

ヴォルカニック・リボルバー
ATK1200
DEF600

 オブライエンのデュエルディスクの形のような、炎を纏った銃口が守備表示で召喚される。このモンスターが召喚されたということは、十中八九オブライエンのデッキは、【ヴォルカニック・バーン】に類するデッキ……!

「カードを一枚伏せて、ターンを終了する」

「明日香を返してもらう! 俺のターン、ドロー!」

 【機械戦士】たちも俺に応えていてくれるのか、なかなかに良い手札が揃っていた。機械戦士たちと気持ちは同じだと信じていたい。

「俺は《レベル・ウォリアー》をレベル4にして特殊召喚!」

レベル・ウォリアー
ATK300
DEF600

 特撮ヒーローのような姿をした機械戦士、レベル・ウォリアーが自身の効果でレベルが4となりながら特殊召喚され、その効果で次なる機械戦士に繋ぐ。

「更に《ニトロ・シンクロン》を召喚し、行くぞ!」

ニトロ・シンクロン
ATK500
DEF600

「来るか、シンクロ召喚……」

 オブライエンの呟いた声の通りに、レベル・ウォリアーとニトロ・シンクロンはシンクロ召喚の構えを取る。どちらも、《ヴォルカニック・リボルバー》にすら勝てないステータスだが、シンクロ召喚によって光り輝く。

「俺はレベル4となった《レベル・ウォリアー》に、レベル2の《ニトロ・シンクロン》をチューニング!」

 ニトロ・シンクロンの頭上のメーターが振り切れていき、光の輪となってレベル・ウォリアーを包み込んでいく。

「集いし拳が、道を阻む壁を打ち破る! 光指す道となれ! シンクロ召喚! 現れろ、《マイティ・ウォリアー》!」

マイティ・ウォリアー
ATK2200
DEF2000

 巨大な片腕を持った機械戦士、文字通りに腕自慢の戦士であるシンクロモンスターが大地を叩きつけながら現れる。俺の怒りに呼応するように、大地を砕く量がいつもより多かった。

「バトル! マイティ・ウォリアーで、ヴォルカニック・リボルバーに攻撃! マイティ・ナックル!」

 ヴォルカニック・リボルバーをアッパーカットで殴り抜き、そのまま容易く破壊したものの、守備表示のためにダメージはない。だが戦闘破壊したために、マイティ・ウォリアーの効果が発動する。

「マイティ・ウォリアーが相手モンスターを戦闘破壊した時、相手モンスターの攻撃力の半分のダメージを与える! ロケット・ナックル!」

「……破壊されたヴォルカニック・リボルバーの効果。《ヴォルカニック》と名前のついたモンスターを、デッキの一番上に置く」

オブライエンLP4000→3400

 マイティ・ウォリアーの効果ダメージを微々たるものだとでも判断したのか、特に反応を見せずに《ヴォルカニック・リボルバー》の効果処理など移る。ヴォルカニックと名前の付くモンスターをデッキの一番上にサーチするという、速効性には劣るものの優秀なサーチ効果であることは違いなかった。

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー」

 《ヴォルカニック・リボルバー》の効果でサーチしたカードをドローし、オブライエンはその引いたカードを手札に入れると、他のカードをデュエル・ディスクにセットした。

「俺は《ヴォルカニック・エッジ》を守備表示で召喚!」

ヴォルカニック・エッジ
ATK1800
DEF1200

 【ヴォルカニック・バーン】の主力モンスター、《ヴォルカニック・エッジ》が通常召喚されるや否や、その口に炎を溜めていく。

「ヴォルカニック・エッジが通常召喚された時、相手プレイヤーに500ポイントのダメージを与える!」

遊矢LP4000→3500

 先のターンのオブライエンが、マイティ・ウォリアーによるダメージを微々たるものだと考えたように、こちらもそのつもりで対応する。しかも【ヴォルカニック・バーン】が恐ろしいのは、そのデッキの名前に反してバーンカードではない。

「さらに永続魔法《ブレイズ・キャノン》を発動! 攻撃力が500以下の炎族モンスターを墓地に送ることで、相手モンスターを破壊する! 《ヴォルカニック・パレット》を墓地に送り、マイティ・ウォリアーを破壊!」

「マイティ・ウォリアー……!」

 【ヴォルカニック・バーン】デッキの真骨頂である、《ブレイズ・キャノン》が起動すると、発射された《ヴォルカニック・パレット》にマイティ・ウォリアーは破壊される。発動したターンはバトルフェイズが行えない、という軽くないデメリットはあるものの、それは《ヴォルカニック・エッジ》を始めとするバーン効果があれば問題ない。

「カードを一枚伏せ、ターンを終了する」

「俺のターン、ドロー!」

 そんなデッキを相手にして俺が選んだ戦術は、奇しくも同じバーン効果による決着。こちらが相手を焼き尽くすのが先か、あちらがこちらを焼き尽くすのが先かの勝負……!

「俺のフィールドにモンスターはいない! 《アンノウン・シンクロン》を特殊召喚!」

アンノウン・シンクロン
ATK0
DEF0

 黒い円盤状のモンスターがフィールドに特殊召喚されると、更なるモンスターが俺の手札から展開される。

「俺は《チューニング・サポーター》を召喚し、《機械複製術》を発動! デッキからさらに二体特殊召喚する!」

チューニング・サポーター
ATK100
DEF300

 もはや定番となったコンボにより、チューニング・サポーターとアンノウン・シンクロンが展開したものの、当然ながら全員の攻撃力を併せても《ヴォルカニック・エッジ》には勝てない。それも当然だ、このモンスター達はシンクロ召喚専用のようなものなのだから。

「レベル2となった《チューニング・サポーター》三体に、レベル1の《アンノウン・シンクロン》をチューニング!」

 チューニング・サポーターのレベルを1から2に変更し、アンノウン・シンクロンが一筋の光の輪となると、チューニング・サポーター三体を包み込んだ。

「集いし刃が、光をも切り裂く剣となる。光差す道となれ! シンクロ召喚! 現れろ、《セブン・ソード・ウォリアー》!」

セブン・ソード・ウォリアー
ATK2300
DEF1800

 七つの剣を持つ金色の機械戦士、《セブン・ソード・ウォリアー》がシンクロ召喚され、早くもそこに新たな剣が装備される。装備カードを扱うということに限ってならば、この機械戦士に及ぶ機械戦士はいない。

「セブン・ソード・ウォリアーに《神剣-フェニックスブレード》を装備し、攻撃力が300ポイントアップ!」

 八つ目の剣を装備したことにより、攻撃力が300ポイントアップするしつつ、セブン・ソード・ウォリアーの効果が発動する。

「セブン・ソード・ウォリアーの効果! このモンスターに装備カードが装備された時、相手に800ポイントのダメージを与える! イクイップ・ショット!」

「……くっ」

オブライエンLP3400→2600

 セブン・ソード・ウォリアーが投げた小刀が命中し、オブライエンのライフポイントを更に削っていくが、まだ本命であるセブン・ソード・ウォリアーの攻撃が残っている。

「バトル! セブン・ソード・ウォリアーで――」

「甘い! リバースカード、オープン! 速攻魔法《クレイジー・ファイヤー》! 俺のライフを500ポイント払うことで、《ブレイズ・キャノン》とフィールドのモンスターを全て破壊する!」

 セブン・ソード・ウォリアーが攻撃するよりも早く、オブライエンの傍らにあった《ブレイズ・キャノン》が自爆すると、フィールドのほとんどを飲み込んで爆発した。オブライエン自身のヴォルカニック・エッジと、俺のセブン・ソード・ウォリアーもだ。

オブライエンLP2600→2100

「さらに、俺のフィールドに《クレイジー・ファイヤー・トークン》を特殊召喚する」

クレイジー・ファイヤー・トークン
ATK1000
DEF1000

 火の玉を模したトークンがオブライエンのフィールドに特殊召喚され、これで《クレイジー・ファイヤー》の効果は終了する。俺はもはや通常召喚も不可能で、ターンを終了する他なかった。

「……ターンエンドだ」

「お前のエンドフェイズ、伏せてあった《神の恵み》を発動する!」

 カードをドローする度に、ライフポイントを回復する罠カード《神の恵み》が発動され、俺のエンドフェイズへと巻き戻しが起きるが、変わらずターンを終了させるしかない。

「俺のターン、ドロー。《神の恵み》により、ライフを回復する」

オブライエンLP2100→2600

 俺のフィールドにはリバースカードが一枚であり、オブライエンのフィールドには《クレイジー・ファイヤー・トークン》と《神の恵み》……何が来るかによって、この先の展開は変わる。

「俺は《クレイジー・ファイヤー・トークン》をリリースし、《ヴォルカニック・ハンマー》をアドバンス召喚する!」

ヴォルカニック・ハンマー
ATK2400
DEF1500

 ハンマーとは言ったもののそのモンスターの姿はハンマーではなく、ヴォルカニック・エッジと同じく炎を纏った獣のような姿をしており、その効果もヴォルカニック・エッジの強化版のようなモンスターだった。

「墓地の《ヴォルカニック・パレット》の効果を発動。ライフを500ポイント払うことで手札に加え、速攻魔法《ファイヤー・サイクロン》を発動!」

オブライエンLP2600→2100

 オブライエンの発動した魔法カードとともに、オブライエンのフィールドに炎を纏った竜巻が現れると、俺のフィールドにセットされた《くず鉄のかかし》を焼き尽くした。《ファイヤー・サイクロン》は手札の炎族モンスターを捨てることで、その捨てたモンスターの数だけ、相手の魔法・罠カードを破壊する効果を持っているため、《ヴォルカニック・パレット》を捨てたのだろう。

「バトル! ヴォルカニック・ハンマーでダイレクトアタック!」

「ぐあああっ!」

遊矢LP3500→1100

 《くず鉄のかかし》という守りの要を失ってしまっていた自分は、ヴォルカニック・ハンマーのダイレクトアタックをまともに受けてしまう。やはりどこの分校であろうとチャンプの実力に変わりなく、例外なくオブライエンも強い……!

「《ファイヤー・サイクロン》の効果。発動時にコストにしたモンスターの数だけ、エンドフェイズ時にカードをドローする。……ターンを終了」

オブライエンLP2100→2600

 オブライエンがこのターン発動した魔法カード《ファイヤー・サイクロン》は、エンドフェイズ時にコストにした炎族モンスターの枚数分ドロー出来る効果を持つ。それによってカードを一枚ドローし、永続罠《神の恵み》の発動トリガーにもなる。

「俺のターン……ドロー!」

 だからといって負けるわけにはいかない。明日香に対して何かをした奴相手には、俺は負けるわけにはいかない……!

「リバースカード、オープン! 《ウィキッド・リボーン》! 800ライフを払うことで、墓地からセブン・ソード・ウォリアーを特殊召喚する!」

遊矢LP1100→300

 墓地からセブン・ソード・ウォリアーが特殊召喚されるものの、その装備はボロボロのままで効果も無効にされている。だが、セブン・ソード・ウォリアーの存在は次なるモンスターに繋ぐ。

「更に魔法カード《シンクロ・チェンジ》を発動! セブン・ソード・ウォリアーを除外することで、エクストラデッキから同レベルの《パワー・ツール・ドラゴン》を特殊召喚する!」

パワー・ツール・ドラゴン
ATK2300
DEF2500

 鎧を付けた機械竜ことシンクロモンスターであるラッキーカードが、セブン・ソード・ウォリアーと入れ違いで特殊召喚されたが、繋げるのはまだまだこれだけじゃない。

「俺はまだ通常召喚をしていない! 《エフェクト・ヴェーラー》を召喚!」

エフェクト・ヴェーラー
ATK0
DEF0

 羽衣を纏ったチューナーモンスターが召喚されたことにより、二種類のラッキーカードがフィールドに並び、更なるシンクロ召喚の構えをとった。

「レベル1の《エフェクト・ヴェーラー》に、レベル7の《パワー・ツール・ドラゴン》をチューニング!」

 エフェクト・ヴェーラーがパワー・ツール・ドラゴンの周りを旋回し、パワー・ツール・ドラゴンは力を解き放つかのようにその装甲を外すと、いななきとともに飛び上がった。

「集いし命の奔流が、絆の奇跡を照らしだす。光差す道となれ! シンクロ召喚! 現れろ、《ライフ・ストリーム・ドラゴン》!」

ライフ・ストリーム・ドラゴン
ATK2900
DEF2400

 オブライエンのデッキの主軸である、バーン効果と相手モンスターの効果破壊の双方に耐性があるモンスターであり、飛翔していった先から放たれる光は俺のライフを回復させる。

「《ライフ・ストリーム・ドラゴン》がシンクロ召喚に成功した時、俺のライフを4000にする! ゲイン・ウィータ!」

遊矢LP300→4000

 これで一旦ライフは仕切り直しとなり、ライフ・ストリーム・ドラゴンは空中から俺の元へと帰ってくる。そして、そのままヴォルカニック・ハンマーを見た。

「バトル! ライフ・ストリーム・ドラゴンで、ヴォルカニック・ハンマーに攻撃! ライフ・イズ・ビューティーホール!」

「……っ!」

オブライエンLP2600→2100

 ライフ・ストリーム・ドラゴンの光弾がヴォルカニック・ハンマーを貫き、威力は減じたもののオブライエンにも貫通した。ライフ・ストリーム・ドラゴンは、あたかも神話に出て来る竜のように佇んでいて、頼もしいことこの上ない。

「ターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー。《神の恵み》により、500ポイントのライフを回復する」

オブライエンLP2100→2600

 ドローをする度に500ポイントのライフが回復するものの、もはやその回復量は焼け石に水だ……と言いたいところだが、そんなこともない。【ヴォルカニック・バーン】デッキには、500ポイント払うことで発動する効果も多く、その分のライフコストは取り戻せるからだ。

「《マジック・プランター》を発動。《神の恵み》をコストに二枚ドロー。俺は《ヴォルカニック・ロケット》を守備表示で召喚!」

ヴォルカニック・ロケット
ATK1900
DEF1400

 《神の恵み》をコストに二枚カードをドローした後、守備表示で召喚されたのは炎を纏ったロケットのようなモンスターで、フィールドを飛び回った後にオブライエンのデッキへと近づいた。アタッカークラスのステータスがあるにも関わらず、ヴォルカニック・ロケットには驚くべき効果がある。

「ヴォルカニック・ロケットが召喚に成功した時、デッキから《ブレイズ・キャノン》を手札に加えることが出来る。ブレイズ・キャノンを発動!」

 デッキから加わってそのまま発動された、炎を打ち出す大砲こと《ブレイズ・キャノン》。二回目の発動となったオブライエンのデッキのキーカードに、俺は知らず知らずの内に歯噛みした。

「更に墓地から《ヴォルカニック・パレット》の効果を発動。500ポイント払うことで、デッキの《ヴォルカニック・パレット》を手札に加える」

オブライエンLP2600→2100

 墓地で発動する《ヴォルカニック・パレット》の効果が再び発動し、オブライエンの手札に《ブレイズ・キャノン》の弾丸が装填される。だが、もうデッキには《ヴォルカニック・パレット》はなく、今のところだが発動はもう出来ない。

「《ブレイズ・キャノン》を起動! ヴォルカニック・パレットを墓地に送り、ライフ・ストリーム・ドラゴンを破壊する。シュート!」

「ライフ・ストリーム・ドラゴンは、墓地の装備魔法を除外することで、破壊を無効にする! イクイップ・アーマード!」

 墓地の《神剣-フェニックスブレード》を除外することで、猛スピードで発射されたヴォルカニック・パレットを弾き返し、ライフ・ストリーム・ドラゴンは無傷。更に加えて、もう《ヴォルカニック・パレット》は全て墓地にいるため、オブライエンの弾切れを祈る。

「甘いな。《貪欲な壺》を発動し、墓地のモンスターをデッキに戻して二枚ドロー! さらに《ブレイズ・キャノン》を墓地に送り、《ブレイズ・キャノン-トライデント》へとモードチェンジ!」

 ……俺のその見通しは甘かったようで、《ヴォルカニック・パレット》の弾丸の補充をこなすと共に、そのブレイズ・キャノン自体も大幅な強化を遂げる。砲身は一門から三門となり、まさしくトライデントの名前に相応しい。


「ライフを500ポイント払って《ヴォルカニック・パレット》を手札に加え、《ブレイズ・キャノン-トライデント》を起動! ライフ・ストリーム・ドラゴンを破壊し、500ポイントのダメージを与える!」

オブライエンLP2100→1600

 強化されて再び《ブレイズ・キャノン-トライデント》が起動し、三門となった砲塔から増殖したヴォルカニック・パレットが打ち出され、遂にライフ・ストリーム・ドラゴンを捉えた。墓地に装備魔法カードはなく、ライフ・ストリーム・ドラゴンを守る手段は存在しない。

「ライフ・ストリーム・ドラゴン……!」

遊矢LP4000→3500

 ライフポイントへのダメージは微々たるものだが、ライフ・ストリーム・ドラゴンが破壊されてしまったのは痛い。フィールドの展開ということもあるし、オブライエンのバーンが封じられる効果もあってだ。

「ターンを終了する」

「俺のターン、ドロー!」

 しかしまだ、ライフ・ストリーム・ドラゴンが破壊されただけども言える。ライフ・ストリーム・ドラゴンに、ライフポイントを4000まで回復してくれたことに感謝すると、新たなカードをデュエルディスクにセットした。

「速攻魔法《手札断札》を発動! お互いに二枚捨てて二枚ドロー!」

 オブライエンが《神の恵み》をコストに《マジック・プランター》を使ったことが幸いし、お互いに手札を交換する《手札断札》が発動される。それに加えてこちらは、墓地に送ったカードが光るとともに、フィールドに旋風を巻き起こしたけれど。

「墓地に送った《リミッター・ブレイク》の効果を発動! デッキ・手札・墓地から《スピード・ウォリアー》を特殊召喚する! 守備表示で現れろ、マイフェイバリットカード!」

『トアアアアッ!』

スピード・ウォリアー
ATK900
DEF400

 フィールドを駆け抜けた旋風とともに現れた、マイフェイバリットカードが俺の前で守備の態勢をとる。今はマイフェイバリットが活躍する時じゃない。

「《ミスティック・バイパー》を守備表示で召喚し、《バックアップ・ウォリアー》を特殊召喚する!」

ミスティック・バイパー
ATK0
DEF0

バックアップ・ウォリアー
ATK2100
DEF0

 スピード・ウォリアーに引き続き、笛を持つ機械戦士や重火器の機械戦士が続々と召喚されていき、俺のフィールドのモンスターは三体となる。……攻撃に出れるのは《バックアップ・ウォリアー》のみであるが。

「ミスティック・バイパーの効果を発動! 自身をリリースして一枚ドロー! 俺がドローしたのは《ワンショット・ブースター》のため、もう一枚ドロー!」

 ミスティック・バイパーが笛を吹きながらリリースされ、その代償に俺はカードをもう一枚ドローし、レベル1モンスターを引いた為に更なるドローを果たす。

「バックアップ・ウォリアーに装備魔法《メテオ・ストライク》を装備し、バトル! ヴォルカニック・ロケットに攻撃、サポート・アタック!」

「貫通効果か……!」

オブライエンLP1600→900

 バックアップ・ウォリアーが放った銃弾は、守備表示だったヴォルカニック・ロケットを貫通していき、オブライエンにその弾丸を届かせた。これでオブライエンのライフは900と、迂闊に【ヴォルカニック・バーン】の特色でもある、自身のライフをコストにすることは出来ないだろう。

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 俺のフィールドには、《バックアップ・ウォリアー》と《スピード・ウォリアー》、そしてリバースカードが一枚。対するオブライエンは、《ブレイズ・キャノン-トライデント》のみではあるが、そのブレイズ・キャノン-トライデントこそがキーカードであるのだから油断は出来ない。

 しかし、ブレイズ・キャノン-トライデントでバックアップ・ウォリアーを破壊しようと、まだ俺のフィールドにはスピード・ウォリアーがいる。オブライエンの手札も今のドロー四枚だが、二体を破壊するような手札消費はしないとは思うが……

「俺は《ブレイズ・キャノン-トライデント》の効果を起動! 手札の炎族モンスターを墓地に送り、バックアップ・ウォリアーを破壊して500ポイントのダメージを与える! シュート!」

「来るか……!」

遊矢LP3500→3000

 バックアップ・ウォリアーには悪いが、ブレイズ・キャノン-トライデントが発動することは織り込み済みだ。先程までとは違う弾丸が、バックアップ・ウォリアーと俺に飛来し、双方にダメージを与える。

 ブレイズ・キャノン-トライデントの次弾が来るか、と身構えていた俺にオブライエンは一枚のカードを見せた。どうやら先程、《ブレイズ・キャノン-トライデント》の弾丸になったカードであるらしいが……

「まだだ。俺が墓地に送ったのは《ヴォルカニック・バックショット》。このカードが墓地に送られた時、500ポイントのダメージを与え、ブレイズ・キャノンの弾丸に使われた時、デッキから二枚の《ヴォルカニック・バックショット》を墓地に送ることで、相手モンスターを全て破壊する! シュート!」

「何だと!?」

 再びブレイズ・キャノン-トライデントに《ヴォルカニック・バックショット》が装填され、まるで炸裂弾かのように俺のフィールドを燃やし尽くす。その炎は俺のライフに更なるダメージを与え、スピード・ウォリアーをも破壊していく。

遊矢LP3000→2500

「そして、墓地に送った二枚の《ヴォルカニック・バックショット》のダメージも受けてもらう」

「ぐああっ!」

遊矢LP2500→1500

 俺にのみに向かって放たれる二体の炸裂弾に、俺は更なる業火に包まれることとなる。バックアップ・ウォリアーもスピード・ウォリアーも破壊され、残るはリバースカード一枚……!

「更に《ヴォルカニック・エッジ》を守備表示で召喚。効果で500ポイントのダメージを与える!」

遊矢LP1500→1000

 ライフ・ストリーム・ドラゴンに回復してもらったライフポイントが、一瞬にしてオブライエンとほぼ同じ領域に落とされた。しかも、俺のフィールドのモンスターを全て破壊する、というおまけ付きで。

「ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 フィールドとともに俺のライフをボロボロにする、これこそが【ヴォルカニック・バーン】デッキの心髄であり、オブライエンのデッキの強さなのだろう。

「カードをセット! 更に通常魔法《ブラスティック・ヴェイン》を発動し、今セットしたカードを破壊して二枚ドロー!」

 しかしオブライエンのデッキでは、俺のデッキと手札までは破壊できない。……つまり、この【機械戦士】たちの可能性までは破壊できないということに他ならない。

「破壊したカードは《リミッター・ブレイク》! デッキから《スピード・ウォリアー》を特殊召喚し――《サルベージ・ウォリアー》をアドバンス召喚する!」

サルベージ・ウォリアー
ATK1900
DEF1500

 再び《リミッター・ブレイク》によって現れたマイフェイバリットカードをリリースし、サルベージ・ウォリアーがアドバンス召喚される。フィールドに現れるやいなや、サルベージ・ウォリアーは自身の効果を発動するため、背中に収納してある網を出した。

「サルベージ・ウォリアーがアドバンス召喚に成功した時、墓地からチューナーモンスターを特殊召喚出来る! 墓地から《ロード・シンクロン》を特殊召喚!」

 サルベージ・ウォリアーの漁業に使う網のような物に引っ張り上げられた、金色のロードローラーこと《ロード・シンクロン》は、久方ぶりにフィールドへと復活する。

「レベル5の《サルベージ・ウォリアー》に、自身の効果によってレベル2となる《ロード・シンクロン》でチューニング!」

 ロード・シンクロンはその駆動系を限界まで動かしていき、二つの光の輪となってサルベージ・ウォリアーを包み込んだ。シンクロ召喚をしようとしているモンスターの影響か、その光の輪はいつもより輝いて見えた。

「集いし闇が現れし時、光の戦士が光来する! 光差す道となれ! シンクロ召喚! 現れろ、《ライトニング・ウォリアー》!」

ライトニング・ウォリアー
ATK2400
DEF1200

 光とともにライトニング・ウォリアーが光来し、その身体に電撃と光を纏わせていく。オブライエンのフィールドの《ヴォルカニック・エッジ》は守備表示だが、この光の機械戦士ならば問題ない。

「バトル! ライトニング・ウォリアーでヴォルカニック・エッジに攻撃! ライトニング・パニッシャー!」

 身体に纏っていたエネルギーを全て右腕に移動させ、ライトニング・ウォリアーは渾身の一撃をヴォルカニック・エッジに直撃させた。もちろん守備表示なので、オブライエンにダメージはないが、ライトニング・ウォリアーの効果のトリガーとなる。

「ライトニング・ウォリアーが相手モンスターを破壊した時、手札×300ポイントのダメージを与える! お前の手札は二枚、よって600ポイントのダメージ! ライトニング・レイ!」

「ぐうっ……!」

オブライエンLP900→300

 後手札をもう一枚残していれば勝てていたのだが、そうそう上手くはいかずにオブライエンのライフは300ポイント残る。

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 俺のフィールドには、ライトニング・ウォリアーとリバースカードが二枚で、残りのライフポイントは1000。オブライエンのフィールドには《ブレイズ・キャノン-トライデント》しかなく、そのライフポイントは300。

 俺の方が有利なようではあるが、オブライエンのデッキは【ヴォルカニック・バーン】なのだ、1000ポイント程度削りきれるだろう。それはこちらも同じで、オブライエンの手札が残っていれば、ライトニング・ウォリアーの効果でオブライエンのライフを0に出来る。

 つまりはこのデュエル、このターンでオブライエンが俺のライフを削りきれるか否かで決まる。俺はこの二枚のリバースカードを駆使して、オブライエンのバーンを防ぎきらなくてはならない……!

「俺は……ブレイズ・キャノン-トライデントをリリースする!」

「なっ!?」

 確実に発射されるだろうと思っていた、《ブレイズ・キャノン-トライデント》が俺たちの目の前で消えていく。ブレイズ・キャノン-トライデントをコストに発動するということは、もはや発動出来ない速攻魔法《クレイジー・ファイヤー》か――【ヴォルカニック・バーン】の切り札かである。

「現れろ、《ヴォルカニック・デビル》!」

ヴォルカニック・デビル
ATK3000
DEF1800

 その姿はまさしく炎の悪魔であり、怪物のような姿をしたモンスターが多い、【ヴォルカニック・バーン】の切り札に相応しい外見である。その攻撃力と効果も、切り札としての期待を裏切らない効果を持っている。

 相手モンスターに攻撃を強制する効果と、モンスターを破壊した際に相手の全てのモンスターを破壊し、その数×500ポイントのバーンダメージを与える効果。ライトニング・ウォリアーに攻撃し、戦闘ダメージで600ポイント、その効果によって500ポイントのバーンダメージを受けて俺は敗北する。

 そして俺のリバースカードは、ヴォルカニック・デビルの攻撃を止めるカードではない。

「バトル! ヴォルカニック・デビルでライトニング・ウォリアーに攻撃! ヴォルカニック・キャノン!」

 内蔵されたかのような《ブレイズ・キャノン-トライデント》が、ヴォルカニック・デビルの腕から現れると、ライトニング・ウォリアーに炎の弾丸が発射されていく。

「……かかったな」

「……なに?」

 俺がぼそりと呟いた台詞にオブライエンが反応し、こちらを疑惑の眼差しで見るとともに疑問の意を示す。

「簡単なことさ。俺はヴォルカニック・デビルを召喚することのみを対策していた。リバースカード、オープン! 《機械仕掛けのマジックミラー》!」

 その名前の通り、機械仕掛けで作られたマジックミラーが、ヴォルカニック・デビルの進路を阻むように前に現れる。マジックミラーであるにもかかわらず、その鏡面には何も移ってはいなかったが。

「マジックミラー……だと?」

「この罠カードは、相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来る。お前の墓地の魔法カードを選択し、このタイミングで発動出来る!」

 俺の説明とともに、マジックミラーにヴォルカニック・デビル以外の姿が映っていき、それは左右が反転した《ブレイズ・キャノン-トライデント》だった。

「《機械仕掛けのマジックミラー》の効果により、お前の墓地の《ブレイズ・キャノン-トライデント》を発動する!」

 オブライエンが切り札である、《ヴォルカニック・デビル》の召喚に賭けた故に出来た行動。ブレイズ・キャノン-トライデントは、相手モンスターを破壊しつつ500ポイントのダメージを与える……!

「残念だが、ブレイズ・キャノン-トライデントは炎族モンスターをコストにしなければ、発動は出来ても起動はしない。お前の手札は、《ミスティック・バイパー》の効果でドローした《ワンショット・ブースター》のみ。ブレイズ・キャノン-トライデントの発動は出来ないはずだ」

 何から何までオブライエンの言う通りであり、俺の手札は《ワンショット・ブースター》のみであり、これでは《ブレイズ・キャノン-トライデント》の起動は不可能だ。そもそも俺のデッキに、炎族モンスターは入っていないが。

「それはどうかな。チェーンしてリバースカード、《コード・チェンジ》! カードに記された種族を変更する!」

 最後のリバースカードは《コード・チェンジ》と呼ばれる魔法カードで、カードに記されている種族を変更することが出来る効果を持っている。その効果の対象はもちろん、マジックミラーの中にある偽物の《ブレイズ・キャノン-トライデント》。

「俺が選択するのは機械族モンスター。よって、ワンショット・ブースターを捨てて《ブレイズ・キャノン-トライデント》を起動する!」

 俺の手札からワンショット・ブースターが装填され、マジックミラーへと向かって来ていたヴォルカニック・デビルに、ブレイズ・キャノン-トライデントが火を噴いた。【ヴォルカニック・バーン】の切り札たる炎の悪魔は、自身のデッキのキーカードの一撃を耐えることが出来ず、その身体に大きな風穴を開けた。

「蹴散らせ、ワンショット・ブースター!」

 ヴォルカニック・デビルを破壊しても、未だに勢いを衰えさせないワンショット・ブースターは、そのままオブライエンへと直撃する……!」

「うおおおっ!」

オブライエンLP300→0

 俺のフィールドのライトニング・ウォリアーと、機械仕掛けのマジックミラーが消えていき、後には何も残らずに終わる。そこにあるのは、先程まで炎がまき散らされていたとは思えない、いつも通りのアカデミアの森林だった。

「さあ、明日香を返してもら――ッ!?」

 突如として身体から力という力が抜けていき、立っているのも困難となってそのまま森に倒れ込んだ。そう、俺の身体中のエネルギーがどこかに吸い取られているような……そんな感覚。

「オブライエン……お前……」

 デュエルをしてる間に、俺に何かやったのか――そう問いかける体力も残っておらず、そのまま俺は意識を失った。
 
 

 
後書き
デスデュエル編も、ようやく本格的に始まりました。

そろそろ異世界に行くことになると思うと、かなり気が重いですが……ここはあえて異世界に行かな(ry

それと、遊矢のデッキの強化案を募集したいと思います。【機械戦士】のままでどう強化するか……私には、今のところ思いつきません(笑)

相性が良い、と思うカードでも良いので、どうかよろしくお願いします。 
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