ソードアートオンライン VIRUS
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武器
少女の後についていくと街の中央の少し離れたところにある店に案内された。そこは最初に入った店とは違いかなり小さめの店で正直いいと思うものが置いてあるかはわからない。しかし、この少女は結構やっていると思われるため少しは期待していてもいいかもしれない。少女が入りその後に入る。
中は思った以上に武器が所狭しと置かれている。マシンガンにライフル、ロケランにハンドガンにサブマシンガン。入った瞬間、そんな武器が自分の目に入ってくる。しかしさすがに武器が大量に置かれているため正直二人入るのが精一杯だ。
「ここ」
「そりゃ、これだけの武器を見ればわかるって。しかしこんなところもあるんだな」
狭い店内を首だけ動かしてどうにかあたりを見回していると奥のほうから威厳のある声がする。
「どうしたんだ、アウラ?この前かなり弾丸を買ったからもう金がないんじゃなかったのか?」
そういいながらカウンターの奥から一人の男が出てきた。男は体格がよく褐色肌、そしてスキンヘッドにサングラスをかけた正直どこぞの街の狩り人に出てくる坊主頭のやつを思い出してしまった。というよりもエギルにサングラスをかけさせればそんな感じにあるのではと考え、今度やってもらおうと思う。
「ん?アウラが男を連れてきたなんて珍しい。もしかしてこれか?」
ガタイのいい男は小指を立ててアウラという少女にカウンター越しからそう言った。アウラは首をブンブンと振って否定する。しかし、こんなところで長いツインテールを振り回すとこっちに被害が来るためすぐに停止させた。
「違うから。えっと……アンタがここの店主?」
「ああ。ここは俺が構える店だ。ほとんどの武器を取り扱ってるぜ。無いと言ったら中央のレアドロップ品と光学兵器ぐらいだ。それ以外だったらほとんど揃ってるぜ。アウラの背負っているそのドラグノフもうちの商品だったものだ」
そう言ってガタイのいい男はアウラの持っている狙撃銃を指した。こんな銃もいいなとか思いながら銃を見ているとカウンターから男が言った。
「今回はアウラじゃなくてお前さんが客ってことだな。正直、初心者じゃうちで買える武器なんて中古しかないぞ?まあ、アウラとの始めての来店で少しは安くしてやるけど。こいつあれだろ?ゲームなのに無口だから正直フレンドがいるか心配していいたんだけどな」
「いや、こいつとは本当に運悪く会っちまったって感じ。そのせいでせっかくあの弾丸を避けるゲームで手に入れた金を少し失ったんだよ」
「それは災難だったな。しかし、お前初心者のくせによくあれを初見でクリアできたな。俺なんて八メートル時点ですでにゲームオーバーだったんだぜ?ついでにアウラは十メートル」
アウラはそれを聞いてこくりと頷いていた。しかし、ここに来たのは世間話などではなく、自分の武器を選びに来たのだ。とりあえず片手で扱えるやつがなるべくいいなと思う。そして、そのことを察したのか店主の男は聞いてくる。
「で、今回の客はお前さんなんだろ?名前は?」
「ゲツガだ」
短く答えると何か取り出して。こちらに向けて投げてきた。それを片手で受け取るとそれはカードのようなものでそこにはプレイヤーネームなどが書かれていた。
「まあ、うちの客には渡してるんでな。別に気にしないでくれ。それでどんな武器がお好みだ?俺的にはお前のようなタイプなら重量武器がオススメだな」
この店主は自分を見ただけでどんな武器を装備したかわかるなんてこの店主は出来るなと感じながらあたりの武器を見渡す。しかし、自分はここの武器で見た感じまだわからないものばかりなので今もっているベレッタと同じハンドガンにしようと決めた。
「まだ初めてだから片手で扱えるやつがいい。えっと、威力が強いのはどれだ?」
そう言うと店主はそれならと言ってウィンドウを開く。そして手馴れた動きで素早く動かして目的のぶつを見つけたのか指を止めた。そしてそれを実体化させる。実体化させたのは二つの拳銃。一つは自分でも知っているデザートイーグルと呼ばれるハンドガン。そしてもう一つは大き目の回転式拳銃。こっちは名前は知らない。
「片手で扱おうと思ったら相当なSTRが必要だ。それでもいいならこいつらがたぶんうちにおいているやつではここらへんだな。こっちはDE、でこっちはM500だ。どっちも片手で扱えるもんじゃないが頑張ればなんとか使えるぜ」
そういわれてまずはDEを手に取る。ずしりと剣とは違う感覚の重さが自分の腕にかかるがその重さはどことなく安心感を与えてくれる。だがDEはなんとなく腕に僅かながらあっていない感覚がある。DEをカウンターに戻して今度はM500を取る。こっちもずしりと重い。そしてこっちのほうがDEよりもしっくりときていた。試しに構えてみる。
「うん、見た感じそっちのほうがあったみたいだな。そっちをお買い上げか?そっちを買うならスピードローダーを一緒に買ったほうがオススメだぜ。一発一発弾を込めている時間に攻撃されたら終わりだからな。ついでに代金はあわせて八メガクレジットだ。ウィンドウの中にある財布の残高は足りるか?」
鍋が一杯二千五百クレジットだった気がする。それを二杯と自分も五百ぐらいの飲み物で九,五メガクレジット残っている。何とか買える値段だ。それでしばらくは一番安い防具などを買えば何とかなるだろうと考え、買った。
「まいど。それで防具はどうする?大体金は使ったと思うから少々心許ない中古の装備しか買えないけどな」
「別に良いって。どうせ、まだ始めたばっかでそこまで難易度の高いダンジョンとかいかないから大丈夫だろ」
「まあPKに会わなければどうってことないだろうな。でも、外のモブとか狩るんだったらレーザーとかも良かったんだろうけどあいにくうちの店は最初に言ったとおり、光学兵器は置かないんでね。そちらを取り扱ってる店に行ったほうがいいぜ」
「いや、銃ならモンスター倒せるんだろ?後はダメージの問題なら光学兵器に劣らないような戦法を見つけるから」
「まあ頑張るんだな。それといくら残ってるんだ?残りの残金でいいと思える装備ぐらいならこっちで整えてやるからよ」
「装備はいい」
急に今まで黙っていたアウラが言った。何故と思い、店主はアウラを見る。するとすぐに分かったのか、溜め息を吐いた。
「まさか、アウラと何か約束したんじゃないだろうな?内容は完璧にわかっているが……」
苦笑しながら店主は自分に言った。そういえばこの少女武器を選んで気に入ったら奢る約束をしていた。だが、自分は確かに言ったはずだから言い返した。
「確かにお前とは約束したが、お前がちゃんと選んだときって言っただろ?選んだのはこのゴツイグラサン店主でお前じゃない。だから俺はお前に鍋を奢らなくてもいいはずだが」
「つれてきた=いい武器を選んだに入る」
「ただの屁理屈じゃねえか」
「おいおい、初心者に奢らせんなよ、アウラ」
店主が仲裁に入りそこでは何も起きなかった。
「とりあえず、金がないならそこら辺のMob狩って金でもためとけ。俺はこっちの装備を整えるから。それと取れたらでいいからこいつを取ってきてくれ。弾丸はいつもどおりで」
そして店主はアウラに一枚の紙を渡すとアウラはそれを見てからすぐに外に出て行った。それを見た店主はそのまま溜め息を吐いてから自分のほうを見た。
「よし、これでいいだろ」
「何を渡したんだ?」
「ああ、あれは他の常連に頼まれていた武器を書いたメモだ。あいつには時々こうやって武器を取ってきてもらうんだよ。あいつ、ああ見えてもなかなか上位に入るプレイヤーだからこういうのはあいつに頼んでるんだ」
そう言ってカウンターにいる店主はウィンドウを開くとある程度の装備を取り出しながら値段のことをぶつぶつ呟いている。そして自分の懐に見合う値段の装備を出すとそれを少し考えてから買った。
「まあそれで大丈夫だろ。まあ、武器は初期装備とそれでしばらくは何とかしてくれ。一応弾薬はセットで渡しているはずだから何とかなるはずだろ。まあ、無いときはナイフだけで頑張りな」
「OK。まあこれだけあれば何とかできると思う。まあ弾の無駄遣いさえなければ何とかな。とりあえず装備ありがとな。こんな装備を紹介してもらったんだからアウラには少し感謝しとかなきゃな。だけど鍋は奢らん」
「そうしとけ。あいつは鍋に対してはおかしいほどの食欲を発揮するからな。そしてこれからもご贔屓に」
装備が整ったところでゲツガのGGOが始まる。
後書き
とりあえず買った装備はスピードローダーとS&W M500です。だがこれで装備が決まりってわけじゃないんですよ。まあこれ以外はお楽しみで
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