ソードアートオンライン VIRUS
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三ヵ月後
GGOを始めて三ヶ月。自分はその間で銃の撃ち方やナイフの扱い方をアウラや店主に教わってぐんぐんと上達していった。そして現在はアウラとともに店主に頼まれた武器を取りに来ていた。
ダンダン!と銃から弾丸が吐き出されて敵であるモンスターの弱点の額を貫く。モンスターはその一撃でポリゴン片に変わった。
「ふぅ、これで出たか?」
そう呟いてから自分のウィンドウを確認するが自分たちの探している武器、M4A1はウィンドウの中書かれてはいなかった。一回M500から薬莢を排出させて、スピードローダーをつかってリロードを終わらせるとアウラの方を見た。アウラは特に何事もないように自分の後ろでライフルを構えているだけであった。
「異常なし」
キュピーンという効果音が入りそうな感じでライフルのスコープを光らせた。それを見て苦笑すると再びウィンドウを確認する。
ここは首都SBCグロッケンの地下にあるこの巨大な遺跡のダンジョン。ここは深く行くごとにモンスターのレベルと武器のレア度が上がっていくものだ。しかし、ある程度の深さまで来たのにお目当ての武器はまったく出てこない。まあ、簡単に出たら苦労はしないだろう。ここらへんは自分のリアルラックが試されるのだが二人合わせても相当低いのか全然でない。
「ゲツガ、リアルラック低い」
「うるせぇ。お前も戦ってるんだからお前のリアルラックが低いもあるだろうが」
「ゲツガが私の運を逃がしている」
「俺のせいにするのかよ……」
溜め息を吐いてからポップしたモンスターに近づきながらバタフライナイフを取り出して斬りつけた後、M500を撃ってHPを更に減らしていく。最後は後ろで待機しているアウラのドラグノフが火を噴いて額を貫いた。だが、モンスターはそれでも倒れることはなくそのまま近くにいた自分に攻撃しようとする。
「遅い!」
伏せて足を払う。そしてそのままモンスターはヘッドスライディングみたいに地面に滑り込むような感じで倒れる。そしてすぐに立ち上がろうと背中にストンプを決める。自分はSTR一極のまま引き継がれているようで普通よりはダメージが大きい。だが、それでも削り取ることが出来なかったので、ナイフを後頭部に投げて止めを刺した。
「……ふぅ」
息を吐いてからこいつを倒した時のアイテムを確認すると中にようやく自分たちが求めていた武器M4A1があった。それを見てからポリゴン片に変わってナイフが地面に落ちたのでそれを回収してからアウラのほうに向かって言う。
「おーい、探してた武器ようやくドロップしたぞ。ついでに弾薬もある。ホラ、ライフル用の弾だ」
アウラの方に近づいて弾丸を渡す。そして自分もハンドガンの弾とマグナムの弾を取る。その中にホローポイントもあったため、それももちろん貰っておく。こういうのはあの店主からある程度残しておけば貰ってもいいと許可を得ているのでとくに怒られる問題はない。
「じゃあ、戻るか」
「ゲツガ、おなかすいた。鍋食べたい」
頼まれていたものを手にいれて後は戻ろうと言った瞬間、アウラは鍋と目を輝かせながら催促する。こんな感じでいつも仕事の帰りにはアウラとともに行きつけの店で鍋を食うことが当たり前になったりしていた。
「はいはい、わかったわかった。俺は足が遅いからゆっくりと戻ろうな~」
そう返してからダンジョンの入り口に向けて歩き出す。だが目の前を進んでいるアウラと自分のいる場所の足場が急になくなった。これはこの遺跡のトラップで地下深くまで落とされるシュート・トラップだ。こんなところにあるなんて少し油断していた。これからは罠などを発見できるようなスキルを入れておいたほうがいいなと思いながら、アウラを掴んで投げ飛ばす。
アウラは穴よりも少し奥のほうに投げ飛ばせたようで落ちずにはすんだようだ。
「アウラ!お前だけでも先に帰っとけ!グラサン店主の依頼の物はどっちかが生きてれば渡せるだろ。俺はどうにかしておくから後はよろしく!」
「ゲツガ……」
アウラは自分の名を心配そうに呼んだ。だが、大丈夫と返してからそのまま重力に沿ってそのまま穴のそこに落ちて行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
結構長い落下を味わった後、蜘蛛の巣のような物によって受け止められた。それのおかげでダメージはゼロ。良かったと思いその蜘蛛の巣のようなものから体を抜け出させるとどの位落ちたかを確認するためにマップを開く。
「どんくらい落ちたんだ……げっ、かなり深く落ちてるじゃねえか……これじゃあ上がるのにめちゃくちゃ時間がかかるな。どうせなら死んで戻るとかしたいけどさっき手に入れた弾丸とかを無駄にしたくないから死にたくはないんだよな。それにこいつも保険かけてないから死んでこんなところに置きっぱなしってのもなんかな……」
そう呟きながらあたりを見渡す。そこは石などではなく鉄を中心としたもので作られた部屋でどこか寂しげな雰囲気を持っている。そして所々には柱が立っていてここで戦うんだったら正直狙うのがめんどくさいと思いながら、その柱の間を通っていく。柱と柱の間隔はそこまで広いとはいえないが通る分には何の問題もない。
とりあえずここを抜けて出口を探さなくてはならないな。それなら留まっているよりはマップで視認できる範囲を広げて出口を見つけやすくするのがいいだろう。柱の配置を確認しながら歩いていると柱はある一定の間隔に置かれていることはわかった。柱の置き方は先が見えにくくするために柱の正面に立つと両斜めに置かれている。それが大量に置かれているため視界が悪い。だがその分モンスターにもばれない利点もある。
「ここから早く抜け出したほうがいいな。どっちにしろ結構深いところまで落ちたんならその深さに応じた強いMobが出てくるはずだしな」
ゆっくりとだが周囲に警戒しながら歩き始める。しかし、このようなだだっ広いのか壁が見えず、相当奥がありそうだ。そんなことを予想しながら進んで行くとごとに視界が悪くなっていく。特に戦いには問題はないだろうが少し奥のほうが見えなくなって狙撃手などには向かない。だが、自分はほぼ中距離、至近距離での戦闘がほとんどなので特に関係はない。
だが、すぐにその暗さが自分の所から数メートルの場所だけで他のところの明るさは最初の時の場所と変わっていない。それに気付いたと同時に横っ飛びでその場から離れると自分のいた場所に何か鋭い刃物みたいなものが突き刺さっている。その刺さっているものは上に向かって何か肉のようなものでつながっている。その先を見ると柱の上に人間の顔だったようなもの、人間の皮膚のようだが昆虫のように足が六本ある。そして刃物のようなものをたどった先にあった背中から生えたカマキリのような鎌ような何か。形容するのが難しいが、サソリに何かを宇宙人みたいなものがくっついた感じだ。
このゲームの設定的に出てきそうなモンスターだ。そしてそのモンスターの上には普通のモンスターとは量の違うHPが見える。つまり、このモンスターはここのボスモンスターである。
一度体勢を整えて更に距離を取って、腰に収納しているベレッタを抜くともう片方の空いた手でポケットに入ってるバタフライナイフを取り出して刃を出すと構えた。
「トラップ引っかかってボスに出会うなんて、SAOにいたときはどれだけ喜んだんだろうな……」
昔はレベル制だったのでこういうボスを倒した時の経験地が多くて本当に良かったのだが、今の状況は非常に好ましくない。腰にあるもう一丁の武器、M500には保険もかけていないのに死んだらなかなか使い慣れてきているこいつを無くすことになる。そんなもったいないこと出来ない。これはこのゲームで初めて買った銃だ。こんなところでなくしたくはない。
「今となっちゃ本当にこういうのは迷惑なんだよね……だからここでお前を倒させてもらうぞ」
そう呟くと、銃とナイフを下に向けて柱の上にいるそのボスモンスターに突っ込んだ。
後書き
今回出てきたボス的の姿はバイオ4に出てくるU-3と思ってくれればいいです。
さてとゲツガにどうやって倒させるか……とか考えながらがんばって行きます
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