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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  三十七話:川の流れを眺めながら

 前回のあらすじ。
 パパンのトラウマを克服するため、モモのいい仕事により目の前で魔物を倒すことに成功したドーラちゃんは、危うくキャラ崩壊の危機を迎えましたが、それすらもなんとか乗り越え、順調に旅を続けるのでした。
 あらすじ終わり。


 というわけで、その件に関しては全て丸く収まり、いまやパパンは戦いの手解きをしてくれるまでになっています!
 だいぶ慣れてきたブーメランの投げ方も、まだまだ動きにムダがあったらしく。その辺修正してくれたり、安全かつ素早く敵を倒すための間合いの測り方なんかも教えてくれたり。安全重視で、ちょっと距離取りすぎてたみたいですね!
 折角なのでひのきの棒に持ち替えて、そっちも教えてもらったり。こんなことなら、銅の剣でも買っとけば良かった。

 それはともかく、これだよ!
 こういうのが、正しい親子の旅の在り方だよね!こういう世界でなら!
 ああ、感動で涙がちょちょ切れる(心情的に)……!ここまで、本当に長かった……!
 成長したね、パパン……!(何故か親目線)

 と、充実した旅を続けて、ラインハットとの国境の川にある、関所にたどり着きます。
 関所の兵士に丁重に通され、川の下を通る地下道を抜け。
 対岸のラインハット側に出たところで、パパンが言います。

「この川は、景色がいいことで有名なんだ。あまり時間は無いが、少しだけ見ていくか」
「はい!」

 単純に見たいのもあるし、パパンとの大切な思い出の一ページですからね!
 肩車っぽい描写だったのが、女の子としてはちょっと気になるところですけど!

 と、目の前を遮る堤防を前に思っていると、パパンがひょいと私を肩に担ぎ上げて、座らせてくれました。
 ……流石、パパン!
 相手が幼い娘であろうとも、女性への気遣いを忘れない!
 なんて、出来る男!!

「ありがとうございます、おとうさん!」
「よく、見えるか?」
「はい!とっても、きれいなけしきですね!」

 有名になるだけありますね!
 時期的に花咲き乱れるということは無いけれども、芽吹いてきてる感はあるし!
 電線とかいう無粋な人工物は無いので、どこまでも長閑(のどか)で、美しい風景です!

「旅が続いて、落ち着かなくてすまないな。今回のことが終わったら、少し旅はやめて、落ち着くつもりだから。そうしたら、遊んでやれるぞ」

 景色を楽しむ私を微笑ましく見ながら、優しく言うパパン。

 それは、出来ないって。
 知ってるんですけど。

「たびも、たのしいから、だいじょうぶですけど。たのしみです!」

 にっこりと、嬉しそうに笑って答える私。
 演じ切ると決めたからには、やり切ります!
 すぐには出来なくても、ずっとずっと先。私たちだけじゃなくて、ママンも一緒に。もしかしたら孫も一緒に、そう出来るようにしてみせるという、決意込みで!
 うん、それ、いいね!
 私は偽物でも、孫ならきっと、本物だから!
 結婚も、前向きに考えてみよう!
 ヘンリー以外で!!

 と、前向きなのか後ろ向きなのか微妙な線の決意を固める私に優しく頷いて、パパンが言います。

「では、そろそろ行くか」
「あ、まってください!」

 パパンに肩から下ろしてもらい、モモを抱き上げながら言う私。

「モモにも、みせてあげたいです!」

 賢い子だし、妖精の村の景色も楽しんでたからね!
 これも、見たいと思うんだよね!
 しかしステータス的にはいけるかと思ったんだが、体格的に、ちょっと厳しいかもしれない。

 と、モモになんとか堤防の向こうの景色を見せようと四苦八苦してた私の手から、パパンがひょいとモモを引き取って持ち上げ、堤防の上に座らせて、そのまま落ちないように手で支えてくれます。

「そうだな、お前もいたんだな。気付かなくて、悪かった」
「ニャー!」
「ありがとうございます!よかったですね、モモ!」
「ミャー!」

 嬉しそうに、景色を眺めるモモ。
 この子も頑張ってくれたのに、仲間外れとか可哀想だからね!家族なんだし!
 良かった、良かった!

 と、満足する私とモモから、近くにいたじいさんに視線を移すパパン。

「もし……。どうかされたか、ご老人?」
「ほっといてくだされ。わしは川の流れを見ながら、この国の行く末を、案じているだけじゃて……」

 渋面で、尤もらしく呟くじいさん。
 なんていうか、雰囲気を楽しんでる感じですね!こんなシチュエーションで、こんなこと言っちゃうわし、カコイイ!みたいな!
 楽しそうで、結構なことですね!
 良かったね、パパンみたいなカッコいい旅人に話しかけてもらえて!

 そんなことを思ったかどうかわからないけど、特に突っ込むことも無く、話を終わらせるパパン。

「ふむ……。あまり風に当たると、身体に毒ですぞ。では、御免!」

 モモを堤防から下ろし、私に目で合図して、立ち去るパパン。
 自分の世界に入り込んでる感じで(でもたぶん聞こえてる)答えないじいさん。
 やるんですか、パパン。あれを、やるんですか?
 と、期待してパパンについていく私。

 果たして私の期待通りに、地下道に下りて。
 サンタローズ側に戻る地下道に、下りて!
 そのまま戻って行く、パパン。

 うむ!
 ありがとうございます!

 出来る男が見せる、隙!
 完璧な人間なんていないって、親近感を感じさせるみたいな?
 女であれば、ちょっと萌えちゃうみたいな?
 こういうのも、いいよね!
 ご馳走さまです!

 このままあっち側に出てしまうようなら、一応その前に止めよう(あっちの兵士に見られたらさすがに恥ずかしいと思うし)と思う私が、そんなことをするまでも無く。

「!!」

 気付いて、無言でラインハット側に引き返す、パパン。
 こういう時ってなんか言うのと言わないのとどっちがいいんだろうと思いながらも、特に上手いフォローも思い付かないので、やはり黙ってついていく、私。

 ちょっと、耳が赤いです。
 うむ!萌え!!
 やっぱり黙って、見守り続けよう!

 そんなパパンの静かな動揺も、関所を出る頃には治まり。
 流石は歴戦の強者(つわもの)ですねえ、と少々残念に思いながらも、動揺して失敗するパパンとか特に見たいわけでも無いので(見れたら見れたで萌えそうな気はするが)気を取り直して、また魔物を退けつつラインハットのお城に向かいます。

 宿敵ヘンリーとの出会いという、超重要イベントがあるところだから!
 いつまでも、萌えてる場合でも無いしね!

 首を洗って待ってろよ、ヘンリー!! 
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