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八条学園怪異譚

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第三十七話 テケテケその五

「だから、お酒とかは何かをしてから」
「一日の最後よ」 
 その時にだというのだ、それでだった。
 二人はまずは鉄道博物館に入ることにした、そのうえでテケテケに対して尋ねたのだった。
「あの、それでね」
「泉の候補地だけれど」
「あれね、面白い場所なのよ」
「面白い場所?」
「何処なの、それって」
「まあこの鉄道博物館は私のお家でもあるけれど」
 そうなっているのだ、ろく子の図書館や花子さんのトイレと同じである。
「例によって十二時になったら怪異がある場所があって」
「そこが泉かも知れないのね」
「そうなのね」
「十二時になったらエスエルが動くのよ」
 懐かしの蒸気機関車がだというのだ。
「線路の上でね」
「それで走るのね」
「そうなのね」
「そう、学園中をね」
 鉄道は線路の上を走るものだ、だがそのエスエルはというのだ。
「走るのよ、空中を浮かんでね」
「何かそれって銀河鉄道みたいね」
「そんな感じよね」
「そうでしょ、漫画そっくりでしょ」
 テケテケは右手を少し上に出してそのうえで二人に語った。
「そういうのって」
「あの漫画もエスエルだったし」
「そこまで一緒なのね」
「そうなのよ、ただね」
「それでもなのね」
「違うところがあるのね」
「宇宙は走らないから」
 そこが違うというのだ。
「それに走るのはエスエルだけで後ろに車両はないから」
「つまり列車の先頭だけなのね」
「そこだけが走るのね」
「そうなの、他は走らないから」
「そこが銀河鉄道と違うわね」
「首だけで走る感じなのね」
 二人はテケテケの考えを聞いてそれで納得した、そうしてだった。
 二人同時にだ、こう言ったのだった。
「じゃあ、だけれど」
「そのエスエルに乗ればなのね」
「多分学園中を走る時、この時校舎の壁でも何でも通り抜けるけれど」
「その時に、なの」
「泉の候補地があるのね」
「博物館に帰る時ね」
 まさにその時にだというのだ。
「博物館の裏口、トンネルの形を模した場所だけれど」
「そこを潜った時にどうなるか」
「そういうことね」
「多分そうだと思うわ」
 テケテケは予想を述べた。
「あくまで予想だけれどね」
「じゃあ十二時にエスエルに乗って」
「それからなのね」
「そうよ、とはいってもね」
 テケテケはここで自分の左手を見た、そこには小さな可愛らしい腕時計があった。
 その腕時計を見てだ、こう二人に言った。
「まだ六時ね」
「十二時よね、エスエルが動くのは」
「かなり先よね」
「その間どうする?飲んでる?」
「だから飲むのは最後よ」
「まだ先よ」
 二人はここでも酒を出したテケテケにすぐに言い返した、しかもむっとした顔になって。 
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