学園黙示録 終末と武器商人
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向こう岸 高茂の本音と目的
無事に孝と少女を救出した高茂は止まることなく向こう岸を目指すことにした。本来の目的はそれなのだから。
救出した少女の名前はありす。彼女は父親と一緒にいなくなったなった母親を探すため床主大橋に行っていたが、奴らが多く集まってしまったため、断念し奴らからの被害を避けるため例の一軒家に行ったそうだ
彼女がそのことを話してくれると泣き出してしまったため、琴魅が現在話し相手になっている。冴子は疲れたのか。高茂の横に付いてる助手席にて仮眠中だ。ありすも泣きつかれてか琴魅に抱きつきながら寝ている。孝も仮眠中である
「しっかし、酷くなったもんだ。世の中がこうも変わるとは思わなかったぜ。」
高茂がタバコを吸いながら言う。上部ハッチが開けてあるのでそこから煙が出るようになっている。
「ほんとですよね。こんな子までもが襲いかかられて、ましてや、目の前で両親を殺されるとは・・・ほんとに難儀なものです」
琴魅は寝ているありすを見ながら言う
「だな。その子がちゃんと分かる年にまで守ってあげられれば良いがな。ふぅ~ 」
「そういえば高茂さん」
「んぁ?なんだ?」
「高茂さんのご両親は・・・・・」
「・・・・・死んだよ。」
「え!?ご、ごめんなさい・・・・」
「いや、十年くらいは経ってるから気にしなくていいよ。俺の両親は俺と同じ武器商人だった。だが、俺が覚えてるのは両親の笑顔だった。あの人たちも自分の子供が出来た時は嬉しかったんだろうな。だが、俺が2~3歳の時に殺された。国の政府によってな。」
「・・・・・・・・・・」
琴魅は黙って聞いていた
「両親を失った俺は、父方のじいちゃんばあちゃんに育ててもらった。そして、中学の時に親の真相を見つけた。ほんとは小学生の時から気になってはいた。だが、調べられなくてな。あれを見つけたときは思いっきり泣いたよ。涙が枯れるほどにな。そして、俺も武器商人になった。」
「なぜ、なったんですか?」
「武器商人にか?親の生きた道を見てみたかったんだよ。どういう思いで生きてきたかをな。そして、どんな風にやってきたかをな。まぁ、こんな世の中じゃあクライアントがいきてるかどうかでさえ分からない。微妙な時代になっちまったがな」
「そう・・・・なんですか」
「悪いな。ジメジメした空気にさせちまって」
「い、いえ、聞いたのは私ですし、それに・・・・」
「?」
続きが気になってつい、バックミラーを見た
「高茂さんを支えてあげたいと思っちゃいました」
と笑顔で答えた彼女は例えるなら地獄の中に咲く一輪の花だった
「!?」
[キュキュキュキュキュ]
「きゃあ!?」
「ふぇ!?」
「む!?」
「うお!?」
彼女の笑顔に見取られてハンドルが疎かになってしまい。バランスを崩しそうになったがなんとか持ちこたえた。そのせいで冴子とありすが起きた
「わ、悪ぃ!みんな大大丈夫か!?」
高茂が確認を取る
「びっくりはしたが大丈夫だ。」
「ありすもー!」
「わ、私も大丈夫です~」
「いてて・・・・僕も大丈夫だ」
全員の答えが戻ってくる
(あんな笑顔で言われるのは反則物だろぅ・・・・・はぁ、彼女は守ってやんなくちゃな・・・・オヤジ、お袋、ちゃんと見ててくれよ)
顔を赤くしている琴魅をバックミラーで見ながらそんなことを思う高茂だった
~御別橋~
高茂一行は御別橋に戻ってきた。理由は橋が通れないためである。大橋の方はもちろん、御別橋も事故車などが塞いでいて通れないため、川による渡河をしようと考えていた。幸い、どちらの車両も水陸両用になっており、川を渡ることは可能だ
その前に奴らがいないのを確認して、朝食を取った。冴子お手製の弁当が振舞われた。そして、食べ終わった後、渡河を開始した。ハンヴィーが途中で止まった時用に。ロープでストライカーと繋げてある。因みに孝・ありすはハンヴィーの方に行き、逆に沙耶がストライカーに来た
~渡河中 ストライカー~
運転はいつも通り高茂が行っているが、運転は自動にしてある。そのおかげでタバコを吸う時間ができている。そんな時、高城が話しかける。冴子と琴魅は寝ていた。
「高茂」
「なんだ?」
「このあとはどうするの?」
「んなこと俺に聞くなよ。このチームのリーダーは孝だぞ?」
「そうね。それは分かってる。でも、あんたはあんたの考えがあるんでしょ?」
「いんや?別にないけど?」
「はぁ~あんたの考えることはほんとに分かんないわ。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
「質問を変えるわ。これは私の予想だけど。あんた、日本政府に喧嘩売りに行くつもりじゃないでしょうね?自分絡みのことで」
「・・・・・・・・なぜ、そう思う?」
「確信は言えないわ。予想だから。だけど、孝をリーダーにした時から気になっていた。なぜ、自分ではなく孝をリーダーにしたのか。武器商人として、誰かの下に付くのは例外以外ないはずよ。プライドの高い生き物だってママから聞いたから」
「もし、俺が例外だとしたら?」
「いえ、それはないわね。私の勘は外れたことがない」
「勘か・・・・・ぷっくっくくくく」
「わ、笑うことないでしょ!?」
顔を赤くする高城
「いやぁ、すまんすまん。予想外の答えが来たものでな。お詫びとして俺の考えを教えよう。」
「・・・・・・」
「高城が思っていることは正解だ。だが微妙に違う。」
「微妙に?」
「ああ、政府というよりも一人の政治家だ。あの紫藤と同じくらいにうざったらしく殺そうと思ったことはなんべんもあった。」
「・・・・・・今すぐ行くつもりなの?もし、そいつがすでに奴らと化しているとしても?」
「いや、そこは安心していいぞ。しばらくはお前らと共に行動するつもりだ。前にも言ったが、友人には甘い俺なんでな。だから、手助けはできる限りしてやるつもりだ。それが達成された時に俺は行くかもしれない。それにあいつはそう簡単に死ぬような輩じゃない。ブラックな情報がありすぎるからな。必ず、生きてる。だから俺はトドメを刺しに行く。これほど、条件の良い状況は早々に無いからな」
「分かったわ。これ以上言うことはない。少し安心したわ。ありがとう高茂」
「いんや、気にするこたぁない。物好きな俺がやってるまでだ。高城も誰かに素直になったらどうだ?」
「う、うるさいわね!余計なお世話よ」
そう言って上部ハッチを開け外の空気を吸いに行った。ハンヴィーの方に乗ってる平野が替え歌をしているところを見つけ、それに対し怒鳴っていた
「自分から見つけたということか」
笑いながらタバコを吸う高茂だった
そして、無事に反対の岸にたどり着くことができた高茂達だった
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