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八条学園怪異譚

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第三十五話 座敷わらしその四

「十じゃきかないわよ」
「本当に仙人でも不思議じゃないですね」
「不老不死でも」
 二人も博士だけは例外ではないかと話す、例外はないがそれでもいることはいる、世の中とはそうしたものであろうか。
 そうした話をしながら保育園に来た、子供の為のブランコやアスレチック、すべり台等がある校庭が見える。
 茉莉也は夜のその校庭を見ながら二人に言った。
「じゃあいいわね」
「はい、眼鏡とヘッドホンですね」
「それですね」
「付けてね」
 まずはそれからだというのだ。
「それで見えたらね」
「それから、ですね」
「ここでは」
「そう、それからよ」
 こう二人に言うのだ、そして実際に。
 その眼鏡とヘッドホンをかけた、茉莉也は眼鏡なので自分の眼鏡を取り替えた。そのうえでこう言ったのである。
「こんな感じでね」
「何か先輩の場合あまり違和感がないですね」
 愛実は今の茉莉也の顔を見て言った、何故違和感がないかというと。
「先輩普段から眼鏡ですし」
「眼鏡の形も似てるからね」
「ヘッドホンを付けた位の違いですね」
「そうでしょ、じゃああんた達もね」
「はい、わかりました」
 愛実が頷き聖花も続く、そしてだった。
 二人も眼鏡をかけヘッドホンを付けた、聖花も部活の時等は眼鏡なので違和感がない。愛実はそうではないが。
 茉莉也はその愛実を見て少し笑ってこう言った。
「愛実ちゃんだけはね」
「違います?」
「眼鏡ってイメージじゃないから」
「そうですか、やっぱり」
「自覚してるのね」
「はい、眼鏡って感じじゃないことは」
 こう自分でも言う。
「そう思ってます」
「まあそれでも可愛いわよ」
「可愛いですか?」
「眼鏡っていうのも武器なのよ」
 これもまた、というのだ。眼鏡もだと。
「男の子に対する、ですよね」
「その通り、萌えはわかるわね」
「うちのお店じゃそういうものは売りにしてないですけれど」
 健全な食堂だ、とはいってもメイド喫茶等が健全でないかというとそうではないが。
「それでも一応は」
「眼鏡もまた萌えなのよ」
「何か萌えも色々なんですね」
「メイドだの女子高生だのってね」
「眼鏡もですか」
「眼鏡っ子って言葉は知ってるかしら」
 その眼鏡をかけている女の子の言葉だ。
「それは」
「何処かで聞いた様な」
「巫女萌えもあるから」
「何か先輩ってその眼鏡っ子で女子高生で巫女さんですから」
 愛実は茉莉也の話を聞いているうちにふと気付いた。
「萌えの塊ですか」
「うふふ、だったらいいわね」
「そうなりません?」
「じゃあ今度猫耳つけたりメイドのコスプレしてみようかしら」
「それ、物凄く危険なんじゃないですか?」
 聖花は二人の話を聞いたうえで茉莉也に問うた。
「猫耳までって」
「何となくわかるでしょ」
「はい、私も萌えとかは詳しくないですけれど」
 もっと言えば入口にも入っていない、聖花の萌えもその程度だ。
「ただ」
「ただって?」
「先輩がそう仰ると」
 茉莉也を見つつこう彼女に言う。 
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