ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
十八話:お父さんとお話をしましょう
前書き
昨日付けでパパスさん視点が含まれる外伝を公開しておきましたので、まだ見てなくて見てやってもいいよ!という方は、先にそっち見るといいかもしれません。
見なくても、まあ大丈夫です。
後でも、当然大丈夫です。
ダンカンさんもパパンも病気から回復して、今回のアルカパ訪問では初めて、ビアンカちゃん一家にパパンと私が揃って、食卓を囲みます。
そしてこのメンバーでは、たぶん最後の。
そう考えると、かなりくるものがありますが。
お別れを前にしてただでさえ落ち込み気味のビアンカちゃんが、私まで沈んだ様子を見せたらそれこそどん底にまで落ち込んでしまいそうなので、努めて明るく振る舞います。
一時の別れなら、そんなに深刻に悲しまない程度の年の功はあるんだけどなあ。
こういうのは、やっぱりなあ。
足掻けるところは足掻くけど、ビアンカママンのことは、きっと私にはどうにもできない。
知ってるのに、なにも、できない……ってヤバい顔に出る!
後だ!後!
今は、考えるな!
いっそ不自然なほど明るく振る舞って、大人たちにはその不自然さに気付かれたかもしれないけど、ドーラちゃんも悲しんでたって状況的に何もおかしくは無いわけで。
特に指摘されたり、ビアンカちゃんを悲しみのどつぼに落とし込んだりすることなく、なんとか無難に夕食を終えました。
折角ビアンカママンが腕によりをかけて作ってくれた料理の味は、あまりわかりませんでしたが。
しっかり覚えておきたかったのになあ……って、だから後だって!
これからパパンと、お話をしないといけないんだから!
お風呂に入り、寝る準備をすっかり整えて、パパンと一緒に宿の特別室でベッドに入ります。
モモもしっかりお風呂で洗って乾かして(おとなしく洗わせてくれました。やっぱこの子……賢い?)、ベッドの足元で丸くなります。
……ってヤバい眠い。
昨日の昼間によく寝ておいたとは言え、昨夜はほぼ寝てないわけで。
明日は村に帰るから、ビアンカちゃんとの最後の時間を惜しんで、昼寝もせずにずっと起きてたんだよね……。
六歳の身体が、眠りを欲してる!
頑張れ!中の私!
大人の意地を見せろ!!
眠気を振り払うように、あと会話の流れを持っていかれないように、パパンに言われる前にこちらから話を切り出します。
「あの、おとうさん。きのうの、よるのことですけど。……おこってますか?」
「……ドーラは、父さんが、怒ってると思うのか?」
出た!質問返し!
一方的に言い聞かせるのでは無く、あくまで子供に考えさせる……やはり、パパン!
出来る男!
……まあ、適当に聞き流して済まそうなんて思って無かったので!
好都合ですけどね!
「……わかりません。でも、しんぱいさせて、ごめんなさい」
怒ってても、おかしくは無いとは思うんですけどね。
怒っては無いんじゃないかとも、思うんですよね。
ただ、間違いなく心配はしただろう。
事後ですけど!
「父さんが心配するとわかっていたのに、どうして行ったんだ?」
あくまで静かに、問いかけてくるパパン。
実際どうなの?怒ってるの??
……まあ、ひとまず置いとくか。
「モモを、たすけてあげたかったんです」
ハーレムどうこうは、言えない!
でもこれも、嘘では無いから!
「おとうさんが、わたしがたたかうのを、いやがるって、しってたけど。おとうさんがたたかうのを、よくみて。じぶんで、たたかうれんしゅうも、して。わたしも、たたかえるって、おもったから。ビアンカおねえさんは、ひとりでも、いっちゃうっておもったから。わたしにできることがあるなら、たすけたいって、おもいました」
パパンがドーラちゃんを戦わせたくない気持ちも、よくわかるんだけどね。
ドーラちゃんにはドーラちゃんの人生が、私には私の気持ちがあるんですよ。
パパンの大事な娘の中身がこんな残念な奴なのももうどうしようも無い事実なので、そこは割り切るしか無い。
第三者的な視点で見たとしても、箱にしまい込むように過保護に守ることが、いいとは思えない。
パパンだって、ホントはわかってるんでしょ?
わかってなかったら、旅に連れ歩いたり、しないよね。
そこまでわかってるのに、ちゃんと話さないでここまで引っ張って。
黙って脱け出すようなことをしたのは、良くは無かったけど。
事実を重ねることで、やっと受け容れられるようになることも、あると思う。
ここまでいつもの表情を崩さなかったパパンが、ちょっと目を見開きます。
……言い過ぎただろうか。
大丈夫?私。
六歳児として。
「……気付いてたのか」
いやー、わかるでしょ、あれは。
……ビスタのスライムイベントまで、気付きませんでしたがね!
ただの六歳児なら、気付かないままだったかもね!
……大丈夫?私。
……言ってしまったものは、仕方ない!
このまま進めよう!
「はい。おとうさんが、いやがることをしてしまって、ごめんなさい」
謝りつつも、これはある種の問いかけなわけですが。
私を守るのは、誰のため?
ドーラちゃんのため?それとも、自分のため?
私が戦ってはいけないのは、危ないから?
貴方が、嫌だから?
ドーラちゃんのためだとしたら、ホントにそれは正しいの?
そう、思ってるの?
少しの沈黙の後、パパンが静かに口を開きます。
「……いや。……そうだな、ドーラには、ドーラの意思がある。父さんも、悪かったな」
きっちり気付くあたり、流石の出来る男ですね!
できれば意図してやったことには、気付かないでくれてるとありがたいんですけど!
結構痛いとこ突いてしまったとも思うんですが、素直に認めてしまえるのも、すごいわ。
「父さんが、ドーラを戦わせないから。戦おうと思ったら、脱け出すしか無いな」
六歳児が積極的に戦おうとするのも実際どうかとは思うんですが、そういう意思は示しておいたしね。
そういうことですね。
「ドーラの気持ちはわかった。今回のことを叱るのは、やめにしよう。父さんも、少し考えてみるとしよう」
不問に処してくれるわけですか!
やっぱ怒られる可能性もあったわけね、危ない危ない。
基本的には良い子にしてたから怒られたこと無いんで、どれほど怖いのか全く想像が……想像が……?
……さすがにあそこまで、怖くはしない、よね?(ガクガクブルブル)
……ともかく!
言うべきことは言って、たぶん怪しまれることも無く、無事にやり遂げました!
……ああ、気が抜けたら眠気が、一気に……ぐう。
パパンとのお話を終え、途端に眠りに落ちるドーラちゃん。
その寝顔をパパンが感慨深げに見守っていたことなんか、当然知りません。
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