ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
十七話:名前を付けてあげましょう
意気揚々と悪ガキ共のもとに向かい、猫(?)ちゃんを引き取ります。
なんだかんだ引き延ばしてはドーラちゃんに話しかけようとしてきましたが、ビアンカちゃんがことごとくガードしてくれまして。
妹キャラはすっかり崩壊したような気もしますが、だからと言って嫌われたということは無いようですね!
こんなところで確認できるとは、悪ガキ共もたまには役に立つものです!
恨めしそうにビアンカちゃんを、名残惜しそうにドーラちゃんを見つめる悪ガキ共を置いて、さっさと引き上げます。
用は済んだし、残り少ないビアンカちゃんとの時間を、これ以上邪魔させるわけにはいきませんよ!
邪魔されないように宿のお庭に落ち着いたところで、ビアンカちゃんが提案します。
「ネコちゃんに、名前を付けてあげないとね!」
そうなんですよね。
いつも迷うんですよね、これ。
ゲームならそれでもやり直せるけど、現実だからなあ。
一生ものだからねえ。
現実だし、自分で考えるとか、アリかな?
「ボロンゴっていうのは、どう?」
ナシですか、そうですか。
いいんですけどね、別に。
ボロンゴかー、勇ましいけど、可愛くないんだよね。
キラパンならまあいいけど、ベビパン時代はちょっと可愛さも欲しいよね。
呼ぶ側のドーラちゃんの、イメージ込みで!
「うーん……」
「ダメ?それじゃ、プックルっていうのは、どう?」
いいんですけどねえ。
選ばれ過ぎて、もはや普通だよね。
オリジナリティを求めすぎてキラキラネームと化すよりは、いいかもしれないが。
「うーん……」
「これもダメ?それじゃ、チロルっていうのは?」
ずっとベビパンのままなら、個人的にこれ一択なんですけど。
実際は、育つからなあ。
似合わないよね、あまりにも。
キラーパンサーの、チロルちゃん。
「うーん……」
「また、ダメ?それじゃ、ゲレゲレっていうのは?」
本当に提案しちゃうんだ、コレ。
ネタ度は一番なんだけど、現実的に考えて、あまりにもアレですよね。
ゲレゲレー!おいでー!なんて、いくらドーラちゃんが可愛くても台無しっていうか、センスを疑われてしまうというか。
「うーん……」
「これでもダメなの?それじゃ、アンドレっていうのは?」
これでもって、自信作だったの?それ。
そして追加選択肢アリなんですね、アンドレかー。
某古典的少女漫画の登場人物を思い出してまあ悪くないんだけど、ふとした拍子に噴き出して、不審に思われそう。
「うーん……」
「まだ、ダメ?それじゃ、リンクスっていうのは?」
プックルに続く正統派の選択肢ですよね。
悪くない、うん、悪くない。
山猫とかどこまで猫扱いなのかって感じだが、悪くは無い。
……保留で!
「うーん……」
「……ダメ?それじゃ、ソロっていうのは?」
クールな感じで、悪くないよね。
でも孤独感漂って、このあとのこの子の運命を考えると、ちょっと悲しいよね。
「うーん……」
「……それじゃ、ビビンバっていうのは?」
ビアンカちゃんも疲れてきたね。
ごめんね、でも真剣に決めないと!
ビビンバかー、なんか美味しそうだよね!
でもそういう名前の魔物が別作品にいたし、微妙!
「うーん……」
「……ギコギコっていうのは?」
擬音なのかAA由来なのかはっきりしてほしいけど、まあネタだね!
ゲレゲレと同じく、面白いけど、ドーラちゃん的には無いかな。
「うーん……」
「……モモっていうのは?……もう、これ以上、無いからね!」
ああ、ビアンカちゃんが切れた。
すまない、ビアンカちゃん。
モモかー。
女の子なら、それでいいよね。
ただ女の子であるというだけで、どんな逞しい猛獣でも、許される名前だよね。
……この子、どっちなの?(チラリ)
……女の子か!
「うん!それがいいです!」
「本当!?それじゃ、あなたはモモちゃんね!」
喜んで猫(?)ちゃん改めモモを抱き上げようとしたビアンカちゃんの手をすり抜けて、モモが私に擦り寄ってきます。
ああ、ちゃんと好かれるんだね、私。
中の人の汚れっぷりを見抜かれて、嫌われたらどうしようかと思った。
「……モモちゃんは、ドーラのほうが、好きみたいね」
本当にすまない、ビアンカちゃん。
嬉しいけど、ちょっと空気読んでくれないかね、モモちゃん?
とか思いながらモモをじっと見ると、モモが暫し私を見つめ返し。
そして、ビアンカちゃんに擦り寄って行きました。
「きゃー!モモちゃん!」
ビアンカちゃんが、大喜びでモモを抱き上げます。
……まさか、空気、読んだ?
……まさかね。
ベビパン時代は、賢さが足りなくて、命令聞いてくれないはずだし。
ゲームなら。
これは、現実ですけどね?
……ちょっと、あとで。
色々、試してみよう。
無事に名前の決まったモモを連れて、ビアンカちゃんも一緒に、かなり回復してきたパパンに会いに行きます。
……もう、バレてるかなあ。
怒られるかなあ、さすがに。
「だいじょうぶよ!怒られたら、一緒に謝ってあげるから!」
顔に出てましたか。
ビアンカちゃんに謝らせるとか、そんなつもりは全然無いんですけどね。
「ありがとうございます!だいじょうぶです!ちゃんと、あやまれます!」
謝るのは簡単だけど、もうしないとは言えないのがどうにも。
誤魔化すのはいいけど、はっきり嘘は吐きたくないんだよなあ、できれば。
パパンは、ベッドの上で起き上がってました。
「ドーラ。戻ったか」
「おとうさん。もう、だいじょうぶなんですか?」
「ああ。心配かけたな。明日には、村に帰れるだろう」
「そうですか。サンチョもきっとしんぱいしてるし、はやくかえらないと、いけませんね」
「そっか……。おじさまが治ったから、もう、帰っちゃうのね……、あ!ごめんなさい、ちがうんです!おじさまが治ったのを、悲しんでるんじゃないの!」
ビアンカちゃんが自分の言ったことに驚いて、慌てて言い直します。
「ああ、わかってる。ドーラと仲良くしてくれて、ありがとうな。村には、同じ年頃の子供がいないから。ドーラも、楽しかっただろう」
「はい!とっても!」
流石、パパンは出来る男ですね!
この程度でご機嫌を損ねることも、意味を取り違えるなんてこともありませんよ!
「私だって……。町には、お友だちも、そうでない子も、たくさんいるけど。こんなに楽しかったこと、無かった……」
ビアンカちゃんが、俯きます。
もはやお別れの時間のような雰囲気です。
「ビアンカおねえさん。まだ、きょうはいるんですから。それに、きっと、またあえますから!」
ずいぶん、先にはなるけど。
「……そうね!まだ、いるんだし。もう会えないわけじゃ、ないもんね!」
いつも通りとはいかないけど、少しは明るい笑顔です。
良かった、良かった!
……ところで、お説教はまだですかね?
「ドーラ。もう伝染ることは無いだろうから、部屋に戻ってきても大丈夫だろう。ビアンカくんとも離れ難いだろうが、話したいこともあるから。今夜は、父さんと一緒に寝よう」
「……わかりました。」
時間を改めるわけですね、了解です……。
そうよね、他所のお子さんがいる場で、説教なんか始めないよね、出来る男として!
仕方ない、腹割って話すか!
可能な範囲で!!
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