ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
十六話:事件、解決です!
ゲームバランスの崩壊とか、そんなものはね。
所詮ゲームだから、余裕ぶって言えるんですよ。
より、ゲームを楽しむためにっていう、余裕の成せるワザなわけ。
命懸けの状況で、そんなこと言ってられないって話で。
つまり、何が言いたいかっていうと。
バランス崩壊、上等!
ボッコボコに、してやりました!
今、私たちの目の前で、ついさっきまで粋がってたじいさんが、土下座してます。
「申し訳ありませんでした!」
「くちだけなら、なんとでも、いえるんですよ?」
「もう、しませんから!」
「もうしないなんて、かんたんにできるひとは、はじめから、しないんですよ?」
「本当に!もう、しませんから!!」
憂いに満ちた表情で、幼女にはわからない程度にネチネチと、老獪な魔族なら当然理解できる嫌味ったらしさで、責め立てるドーラちゃん。
「おしろのひとたちは、いじめられて、くるしかったでしょうね……」
いかにも被害者を思いやって心を痛めているように、視線を落とすドーラちゃん。
「ひとのいたみは、あじわったことのないひとには、わからないんでしょうね……」
だから、もう一回。味わってみる?
という言外の意思を察知して、平伏した状態でビクッ!とするじいさん。
「どうか!!許して、ください!!」
「わたしは、ゆるすもなにも、ないですよ?かわいそうなのは、おしろの、ひとたちですから。」
許してやるなんて簡単に言ってもらえるとか、まさか思ってないよね?
ビアンカちゃんが、口を挟みます。
「ドーラ。かわいそうよ。もう、許してあげましょう?」
優しいねえ、ビアンカちゃんは。
「わたしは、おこってませんよ?」
だから許す必要なんて、無いんですよ。
ビアンカちゃんが安心したように、じいさんに声をかけます。
「おじいさん。ドーラ、怒ってないって!良かったね!」
「は、……はい……?」
恐る恐る顔を上げて、こちらの様子を窺ってくるじいさん。
……そろそろ飽きてきたし、いい加減時間も無いし、もういいか。
ビアンカちゃんに、免じて!
ニッコリと、微笑むドーラちゃん。
ビクッとする、じいさん。
失礼な!
こんなに可愛いドーラちゃんの、笑顔を前にして!
「ほんとうに?もう、しないんです、ね?」
嘘だったらわかってんだろうな?
と、目で語ります。
「はい!勿論です!!」
わかってます!当然、わかってます!!
と、目で答えます。
……まあ、いいでしょう。
「しかたないですね。それなら、おしろのひとたちも、ゆっくりねむれますから。」
許してくれるかは知らないから、勝手に代弁はしないけど。
じいさんは嬉しそうに、本当に嬉しそうに、飛び起きます。
「へへっ、ありがてえ!あんたら、立派な大人になるぜ!」
現金だなあ。
ダメな老人に言われたくないよ!
「それじゃ、あっしはこれで!お前ら!ずらかるぜ!!」
「へい!!」
どこに潜んでたのか、急に返事して現れた子分たちを引き連れて、土下座のし過ぎで痺れた足でヨロヨロと、城を立ち去るじいさん。
ずらかるってなんだよ。
口調の定まらないじいさんだな!
じいさんたちを見送って、ビアンカちゃんがぽつりと呟きます。
「……これで。お城の人たちは、天国に、行けるよね?」
その気があれば、行けるんじゃないかな?
王様に関しては、どうも無さそうな気がするけど。
「そうですね。これで、ゆっくりねむれるし、てんごくにだって、(行こうと思えば)いけますよ!」
「……そうよね!じゃ、帰ろっか!」
「はい!」
ビアンカちゃんと笑顔を見合わせたところで、体が浮かび上がり、空中庭園に運ばれます。
びっくりして言葉が出ないビアンカちゃんと、イベントが予定通りに進んでホッとする私の前に、王様と王妃様が現れます。
「よくぞ、使命を果たしてくれた。小さき戦士達よ。」
相変わらず、勿体ぶった言い回しで。
アトラクションモードはすっかり解除されてしまったので、生温かい目でしか見られません。
「ありがとう。これでこの人とふたりで、静かに眠ることができます」
王妃様は、声もキレイですね!
でもいいの?その人で?
今さらにも程があるけど。
「さらばだ。若人たちよ」
「本当に。本当に、ありがとう」
穏やかな笑顔を浮かべ、光に包まれて天に昇って行く王様と王妃様。
いかにも、昇天してる感じなんですけどねえ。
ふたりの姿が遠くなり、そろそろ視線を下ろそうとしたところで、天からキラキラと光るものが降ってきます。
……来た!
「あら?なにかしら?」
ビアンカちゃんが、降ってきた金色の宝玉を受け止め、じっと見つめます。
「……キレイね!きっと、お礼よ!持って行きましょう!ほら、ドーラ!」
金色の宝玉、ゴールドオーブを差し出してくるビアンカちゃん。
「え?いいんですか?」
それがもらえないと本当に困るので、すぐにも受け取りたいところですが、一応、遠慮してみます。
「約束したでしょ?見つけた道具は、ドーラがもらってねって!」
そうなんですよね。
これで、問題なく受け取れます!
「ありがとうございます!」
こいつの運命はわかってるので、記念にとか大事にするとかは、言いたいけど言えませんが。
「それじゃ、今度こそ!帰りましょう!」
「はい!」
色々やってるうちに、結構な時間が経っていたようで。
町に戻るとすっかり夜が明けて、人々が起き出すほどの時間ではなかったものの、門番さんは起きており。
見つかって、事の顛末が町中に広まってしまいました。
……握り潰さないんだね。
偉いね!
居眠りとか、しちゃう割には!
寝込んでるパパンにはまだ伝わってませんが、ビアンカママンと回復したダンカンさんには伝わって、軽くお小言を言われました。
結果的に町でも噂になっていた事件を解決できたことと、パパスの娘である私がついていたことで、軽くで済んだようですが。
肝っ玉母さんのビアンカママンがかなり心配そうに、これっきりにするようビアンカちゃんに言い含めていたので、相当びっくりしたんでしょうね。
……パパンに知れたら、どうなるんだろう……。
…………あとのことは、あとで!考えよう!
ひとまず、猫(?)ちゃんを!
助けに行かないとね!!
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