DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第36話:結果が全て……まぁそれもアリ!
(パテギアの洞窟)
アリーナSIDE
思いの外この洞窟が広くて手こずっている。
奇妙に動く仕掛け床の所為で、ちっとも先に進めない私達。
苛ついて『全然種を見つけられないじゃない!』と、荷物持ちの4人衆に八つ当たりをしてしまいました。
そうしたら筋肉大男が突然『だったら俺様の種を注いでやるよ!』と私を押し倒してきたので、股間を蹴り上げマウントポジションを奪い、ボッコボコにしてやりました!
だから今、私達は4人パーティーです。
元々戦力としては当てにしてなかった4人(現在3人)だけど、難解なダンジョンに荷物持ちとしての体力も尽きてきたらしく、そろそろ町(ソレッタ)に戻らざるを得なさそうです。
役に立たないだけで無く、足手纏いになるとは……
もう、リュカがさっさと帰っちゃうから、私がこんなに苦労をするのよ!!
頭にきている私は、荷物持ち元4人衆を急かし洞窟から出ると、荷物を返してもらいソレッタまでダッシュします。
情けない声で『ま、待ってくれ~』と聞こえたけど、そんな余裕は皆無なので聞こえないフリをして置いてきました。
3日ぶりにソレッタに戻ってきたのだけど、驚いたことに畑には青々しい植物が覆い茂り、国中みんなで喜び合ってました。
何が起きてるのか解らず、なおも畑で仕事をする王様に状況を確認すると……
アリーナSIDE END
(ミントス)
トルネコSIDE
僅か5日でソレッタ王国より薬を手に入れて戻ってきた一行。
しかも薬を手に入れた経緯を聞くと、わざわざダンジョンに入り薬の元となる種を入手したそうではないですか!
それほど大事になっていたのに、僅かな期間で成し遂げてくるとは……
このパーティーは底知れない実力を秘めてますね。
その一員に名を連ねている私は、とっても運が良いと言えるでしょう!
私の目の前では、手に入れた『パテギアの根っこ』を煎じて、病人であるクリフトさんに飲ませている。
すると見る見る顔色が回復し、クリフトさんの身体を蝕む病は消え去ったみたいです。
しかし当分は安静にしてなければならない様で、彼が目覚めるまで私達は一旦廊下(1フロア貸し切りなので、廊下にソファー等を設置してある)に出て待つことになります。
ちょうど良いタイミングなので、初対面のリュカさん(リューラさんのお父上)にご挨拶をしようと思います。
ウルフさんの言う事を信じれば、大変目敏く怖いお人だとの事……
第一印象は十分に注意して挨拶をせねばならないでしょう!
「あ、あの初めまして……私はトルネコと申します。世界一の武器屋を目指し、リューラさんのお力を借りてここまで来ました。皆様のお力になれれば幸いと思い、今後の旅もご一緒させて頂きます。どうぞよろしくお願いします」
私は出来るだけ低姿勢に、そして娘さんとの関係を明確にして、今後の立ち位置をアピールしました。
もっと詳しい話は、会話が弾みだしたら追々するということで……
今は手堅く挨拶を!
「……何このデブ?」
リュカさんは設置されているソファーに腰掛け、右にマーニャさん・左にミネアさんを侍らせた状態で私を指さします。
もう第一印象最悪です。これが大人の挨拶ですか?
「あ、あのねお父さん……その人は「悪たれ饅頭デブです!」
失礼な言葉で私の事をリューラさんに尋ねるリュカさん。
一生懸命説明をしようとする彼女の言葉を遮って、アローの馬鹿が勝手な事を言う。
「あはははは、獣少年は面白い事を言うなぁ……それで、どのくらい饅頭なんだ?」
「い、いや……饅頭の度合いは関係ないから! ってか、何でオイラが獣だって判ったの?」
おや、そう言えばそうですね……ウルフさんあたりが知らせたのなら“獣”とは言わず“狐”と言うでしょうに……
「う~ん……まぁ目を見れば人間じゃない事は判るし、モンスターの類でもなさそうだから、獣かなって思っただけ。別に他意は無いよ」
……本当か!? 本当に目を見てアローの正体を見破ったのか!?
「あ、あのリュカさん、彼は……アローは妖狐なんですよ! 私とリューラさんがボンモール付近の森で出会った狐なんですよ」
これ以上私の悪い印象を与えない様に、慌てて経緯を簡潔に話す。
「狐かぁ……じゃぁ今の姿は化けているって事?」
「そ、そうなのよお父さん! アローは沢山の人を化かす事が出来るのよ!」
「人を化かすと言いましても、今は改心をしており私達に協力しているんですよ!」
本来なら馬鹿狐を庇う事などしたくはないのですが、一緒に旅をしてきた仲間を守る良い奴ぶりを見せる為、私は賢明にアローの事を擁護します。
そんな私の姿に、アローはビックリ仰天です。
トルネコSIDE END
(ミントス)
リュカSIDE
随分グイグイ迫るオッサンだな!?
アローと呼ばれる少年をチラッと見たが、オッサンの態度に驚いている……
ウルフの反応を横目で確認すると、困った表情で首を横に振っている。
どうやらウルフの奴が俺を使ってオッサンを脅した様だ。
まぁ“武器屋”とか“商人”とかとは昔から相性が悪かったから、それを恐れての事前脅しだろうけど……
こんな必死に怯えられると、此方としても良い気分はしない。
リューラも庇いたがっている事だし、いぢめるのは控えてやろうかなぁ……
エコナみたいな女商人だったら、俺も優しく出来るのになぁ……ベッドでは激しいけど(笑)
元気かなぁエコナ?
(たったったったったっ……バン!)
俺が別世界に残してきた愛人の事に思いを馳せていると、突然アリーナが階段を駆け上がり俺達の前に姿を現した。
「パ、パテギアの種を手に入れたのはリュカ達!?」
「アリーナお帰り~」
「挨拶なんかどうでも良いのよ! 種を手に入れて薬を持ち帰ってきたのか聞いてるの!?」
愛しの彼氏の為だから当然なのだが、その必至さが笑えてくる。
「何笑ってんのよ!? クリフトは無事なの?」
「姫様……クリフトめは無事です。リュカを初め、この勇者ご一行のお力添えでパテギアの根っこを手に入れ、先程クリフトに飲ませたところです。ですので今は安静に寝かせておく事が重要……はしたなく騒がれては困りますぞ!」
興奮気味のアリーナは、ブライに叱られ力なく座り込むと、
「な、何よ……『寒いから帰る』って言ったクセに、私を差し置いて薬を手に入れてんじゃないわよ! 私……頑張ったのに見つけられなくて、凄く不安だったんだからね!」
「メンゴメンゴ(笑) 本当は僕も洞窟に入りたく無かったんだけど、ソレッタに戻ったら娘達に再会しちゃってさぁ……ついでに心配になったブライにも出会して、すんごく怒られちゃったワケ(大笑) だから渋々アリーナを出し抜いちゃったんだ。ごめんね心配させて」
「い、良いわよそう言うことなら……結果的にクリフトが無事なら、私はそれで構わないんだから」
俺はへたれこむアリーナに近付き、優しく頭を撫でながら経緯を説明する。
泣かれるのは厄介だから。
アリーナは静かに立ち上がり頷くと、ソッとクリフトの眠る部屋に入って行き、椅子に腰掛けヤツを見詰め続ける。
気の利く俺は無言で扉を閉め、病人をアリーナに託した。
流石のブライも『若い男女が二人きりで部屋に籠もるなど……』とは言わず、黙って頷いてくれたよ。
リュカSIDE END
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