DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第35話:寒いの嫌いなんだよなぁ……
(ソレッタ王国 - パテギアの洞窟 平原)
シンSIDE
俺達はソレッタを即座に出立し、パテギアの種が保管されているという洞窟を目指し進んで行く。
しかしながらモンスターが多数出現し、我々の行く手を遮ってくる!
勿論、今までもモンスターの襲来があったのだが、今回は状況が違う……
何が違うのかと言うと、大声で歌い歩く人物が存在するからだ。
黙ってたってモンスターに発見されれば襲われるのに、大声で歌い余計に存在をアピールしているから、普段以上に襲いかかられてしまう。
「あの……リュカさん……歌うの、止めてくれませんか?」
俺は恐る恐るリュカさんに歌を中止するようお願いする。
尊敬するウルフさんの師匠で、彼の尊敬を一身に受けるリュカさんに馬鹿みたいなお願いをしている。
「何で? 歌嫌いなの?」
だが返ってきた答えは俺の予想と大分違った。
大先輩に向かってクレームを付けたのだから、『俺の行動に文句言うんじゃねー!』とか『何でキサマ如き若造に命令されなければならないんだ!?』とか、凄く怒られるんじゃないかと怯えていたのだが……
「いえ……あの……好き嫌いではないんですよ……ね」
本当に理由が解らないのかな?
ご家族と再会できて気分が高揚しているから、無意識のうちに歌っているのかな?
「あはははは、やっぱり言われてやんの!」
俺が心底困っていると、ウルフさんがお腹を抱えて笑い出し、リュカさんを指さして失礼な発言をする。
師弟関係にあるのに良いのかな、そんな言葉遣い……
っていうか『やっぱり』ってどういう意味だ!?
「シン……気持ちは解るが、その馬鹿に何を言っても無駄じゃよ」
疲れ切っているブライさんが、リュカさんを睨みながら俺を諭してくる。
先程までお姫様を置き去りにしてきた事に大激怒していたブライさんだが、少しも反省しないリュカさんの態度に諦め、今は黙って突いてくるだけの老人。
「どうやらブライさんも相当苦労をしてきたみたいですね(笑)」
「笑い事じゃないわい! この馬鹿タレの所為で、ワシがどれだけ苦労した事か……」
「老人! お父さんを侮辱すると許さないぞ!」
なおも歌い続けるリュカさんの側で、ウルフさんがブライさんと語り続ける……
しかしリューラさんがブライさんの言葉に反応し、凄い形相で抜刀して恫喝する。
無口な娘だから、よくは為人を知り得なかったけど、父親を侮辱されると凄く怒るんだね……でも、どう考えたってブライさんが正しいような気がするよ。
「コラコラ止めなさいリューラ。その爺さんが僕に文句を言うのは当たり前な事なんだから、武力を持って恫喝するのは良くない事なんだよ。お父さんがワザと嫌がらせをしているのだから、その事にクレームを付けた人を脅すのは悪い事なんだよ」
凄い……
自分の行いが悪い事であると自覚していて、その上それをワザと行っていると言って、娘さんの行動を叱っている。
効果が薄い様にしか見えないのは何故だろう?
「ご、ごめんなさい……」
「良いんだよリューラ。お父さんを庇ってくれてありがとうな。凄く嬉しいよ」
叱られ弱々しい声で呟き俯くリューラさんの頭を撫で、優しい口調で慰めるリュカさん。
このシーンだけ見れば、凄く頼りになるお父さんにしか見えない。
「ちょ、ちょっと……感動的に纏まってるけど、ワザとってとこが気になるんですけど!?」
普段は言いたい事をズバッと言うマーニャさんだけど、リュカさんがイケメン過ぎる所為か発言にキレがない様に感じる。
それともソレッタに馬車を預けてきた為、リュカさんがみんなの荷物を一手に引き受けてくれた事に遠慮してるのかな?
彼女に関してそれは無いのかな?
荷物持ちをしてくれているから、代わりに戦闘は行ってくれないのだし、プラマイ0って思ってるかもしれないな!
「お父さんは良いんだよ! ちょ~強いし、ちょ~頼りになるから戦わず歌っていても良いんだよ! お前等弱者の育成の場を提供しているんだから、何をやっても良いんだよ! お父さんクラスのイケメンは、何をやっても許されるんだよ!」
ヤバイ……
段々解ってきた気がする。
リューノちゃんとリューラさんの性格形成が、この父親の所為である事が解ってきた気がする!
シンSIDE END
(パテギアの洞窟)
ウルフSIDE
相変わらずのリュカ節だなぁ……
でもシン君の俺を見る目が『どうしてこんなヤツに心酔しているんだ?』って感じになってきたよ(笑)
はっはっはっはっ……一緒に旅を続けていれば、そのうちイヤでも解ってくるサ!
「寒ー! やっぱりこの洞窟寒ーよ!」
うるせぇーなぁ……相変わらず自分の欲求に正直な義父。
流石の俺もちょびっと苛つくね♥
「ほ、ホント寒いわね……何でこんな辺鄙な所に、大切な種を隠しちゃうのよ!?」
これまたうるせーのが一人……お前の寒さは、その半裸のコスチュームが原因だろう!
どうしてこう良い大人が、我が儘な事ばかり言うんだろうか?
「よーしマーニャちゃん、こうして二人で抱き合えば暖かくなるよ!」
そう言うと我が儘キングが、我が儘クイーンを自分のマント内へ抱き寄せ、二人羽織みたいな感じで暖を取り寒さを凌ぐフォーメーションを完成させる。
う、羨ましくなんか無いぞ! マーニャさんの巨乳にリュカさんの手があてがわれているけど、全然ちっとも羨ましくなんかないんだから!
「わーい、マーニャちゃんオッパイ大きい!」
「こ、こら! 抱き合って暖まるのは許可するが、乳揉むことまでOKしてないぞ!」
そうは言いながら、顔を赤めるだけで離れようとしないマーニャさん……落ちるのは時間の問題だろう。
「でもマッサージをすれば血行が良くなって、身体も直ぐに温まると思うんだ。それに美容には最適だし」
何処の民間療法だ!?
マッサージと言っても乳を揉んでいるだけじゃんか!
「そ、そうね……暖まる為にはしょうがない事よね! そ、それに美容の為なら……」
認めるんかい!
あからさまな言い訳を認め、その痴漢行為を了承するんかい!
思わず周囲を見渡すと、シン君・ブライさんが羨ましそうに見詰めている……
更にはミネアさんとリューラまでもが羨ましそうに指を咥えて眺めている。
何より困るのは、『私もしたいなぁ……』的な表情で俺の顔を見上げるリューノの存在だ。
お、俺だってしたいさ!
ウルフSIDE END
後書き
やっぱリュカさんは書いてて楽しいなぁ……
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