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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第37話:目的が一緒って言うけども、僕の目的はビアンカ探しだからね!

(ミントス)
シンSIDE

無事パテギアの根っこを手に入れ、病気のクリフトさんを助けた翌日……
病み上がりのクリフトさんは、まだお粥みたいな消化の良い食事なので、部屋でアリーナ姫に看病されておりますが、その他の我々はヒルタンホテルのレストランでお食事です。

朝から結構豪勢な食事を振る舞わられ、田舎者の俺なんかは恐縮中なのに、ウルフさんを初め彼の師匠のご家族達は、一切気にする事無くモリモリ食事を進めて行く。
俺も、昨日まで人間だと思っていたアロー君も、彼らの神経の図太さに脱帽気味です。

「で……リュカさんはまだビアンカさんとは合流してないんですよね?」
「まだだねぇ……何処に飛ばされちゃったのか? ヒゲメガネの野郎……今度会ったらぜってーブッ飛ばす!」
ヒゲメガネさんが誰で、何をしでかした人なのかは判りませんが、何だかとても気の毒な気がします。

「ところでリュカ……家族との再会を果たしたのじゃし、お前はこれからどうするのだ? ワシ等と別行動をするつもりなら、姫様が戻られる前に何処かに消えてもらいたいのじゃが……」
「お……何かそう言う言い方されると、意地になって同行したくなるね(笑)」
言外に“もう拘わりたくない”と含まれるブライさんの言葉……それを100%汲み取るリュカさん。

俺の想像していた人柄と違う……
尊敬するウルフさんが全幅の信頼を寄せる師匠、そんなリュカさんは、もっと頼りがいのある器の広い人物かと思っていたのに……

「ダメですよリュカさん。俺達と一緒にキングレオに来て下さいよ! 俺、あそこで酷い目に遭っちゃって、その復讐をしたいんです。手を貸して下さいよ」
え、ウルフさんほどの実力者が酷い目に遭ったって……この人に頼っても大丈夫なの?

「え~……めんどくせー! 僕には関係ないじゃん。気を抜いてたウルフが悪いんじゃないの?」
「しょうがないでしょ……馬鹿な味方の所為で実力を発揮出来なかったんですから! それより、義理の息子がイジメられたのに『めんどくせー』はないでしょ!? 『よ~し、パパがブッ飛ばしてやるぅ!』くらい言ってよ」
本当にそんな事を言われたいのか?

「え~……それもめんどくせー。実の息子がイジメられてても、多分言わない台詞だし……義理の息子じゃなぁ」
酷くね?
確かウルフさんはリュカさんの、部下で弟子で義息だと聞いてたけど、この反応は酷くないですか?

「そうよ……リュカは私達と共に、魔族の城……デスパレスを目指し旅しているのよ!」
不意にレストラン入り口の方から声が聞こえてきた為、みんなで一斉に振り向くと……
そこにはアリーナ姫様が真剣な表情で此方に歩んできました。

「はぁ~? オイオイお姫ちゃん、何勝手な事を言ってんだ? 家族と再会した今、我が家は揃って行動するに決まってるだろ! 他の家族が居そうに無い魔族の城より、俺が暴れてきたキングレオに戻って、他の家族が立ち寄ってないか調べるのが先決だろう!」

そっか……
リュカさんと合流出来た今、俺達と一緒に旅をする必要性が無くなっちゃたんだ。
俺としては魔族の王デスピサロを倒す為に旅立ったんだし、アリーナ姫様と一緒にデスパレスを目指しても問題ないなぁ……

「ふざけないでよ! 私の国は魔族の王にお父様達を消されちゃったのよ! それに、もしかしたらデスパレスにアンタ達の家族が居るかもしれないでしょ!」
そうかなぁ?

「居る訳ねーだろ! 仮にデスパレスとやらにマリーかビアンカさんが召喚されたとして、今現在まで無事でいる訳がない! 俺達の時代の神が度し難い馬鹿でも、いきなりそんな危険地帯に誰かを配置する訳ない……と思う」

「もし……ビアンカがデスパレスに飛ばされて、掠り傷でも負っていたら………あのヒゲメガネ殺す! 羽の生えた連中も皆殺しにする! そして気合いでアレフガルドに行き、ルビスのアホも……」

静かな……とっても静かな口調でリュカさんは語り出した。
しかし内容と彼から感じてくる気配が、チビリそうになるほど恐ろしい……
リュカさんの言う方々が誰なのか判らないが、怖くて声を出す事が出来ない。

「リュ、リュカ……さん……ご、ごめんなさい。大丈夫だよ……絶対にビアンカさんは怪我一つしておらず、元気にこの時代の何処かに居るよ……だ、だから落ち着いて……お、俺達で、残りの二人を探し出そう」

ウルフさんの言葉を聞き手元の水を一口飲むと、リュカさんは怒気を収めてコクリと頷く。
こえ~……滅茶苦茶こえ~よ!
さっきまでは不真面目なチャラ男にしか見えなかったのに……

この人怖すぎるよ。
もう良いよ、ここでウルフさん達とお別れでも構わないよ!
戦闘はしないどころか、歌で誘発するトラブルメーカな上、怒るとハンパなく恐ろしい人となんて、一緒に冒険するのはイヤだよ(泣)

「あ、あの……じゃぁ俺達はここでお別れですね。俺はアリーナ姫様達と魔族の城デスパレスを目指したいと思います。きっとそこに俺の村を滅ぼし、大好きだったシンシアを殺したデスピサロが居るはずですから」

俺は一刻も早くリュカさんから別れたかったので、早々に話を纏めて別行動を示唆する。よく考えたら当初からの予定も、リューノちゃんをお父さんに再会させて、その後は復讐の旅にする予定だったのだし……

「ん? シン君……今デスピサロって言ったか?」
「え? は、はい!」
俺の総纏めを聞き、ウルフさんが何かに気付き話しかけてくる。
どうしよう……何だか嫌な予感がする。

「マーニャさん……ミネアさん……確かキングレオのヤツ、デスピサロの事を口にしてましたよね?」
「確かに……言ってたわね。『デスピサロに報告して、進化の秘法を改良してもらう』って言ってたわ!」

ウルフさんに話を振られ、ミネアさんと頷き合いながらキングレオの事を語るマーニャさん。
あれぇ?
俺達って目的が似ているのかなぁ?

「リュカ! そう言えばミーちゃんが言ってたわよね……『リュカにそっくりな魔族が居た』って。しかもエンドールの武術大会に出ていたデスピサロって選手は、みんながリュカと間違えるほど似ているって話しだったわよね!?」

「そ、それって……俺達全員、デスピサロを探してるって事なのか?」
どうしよう……ウルフさんが最悪な結論を導き出した。
言いたく無いけど“つまり”って事を俺が言わなきゃダメなのかなぁ?

「つ、つまり……みんな揃ってキングレオに赴き、デスピサロの情報を得た方が、効率的なのかなぁ……?」

シンSIDE END



 
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