DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第34話:身勝手とか言うな……放任主義なんだよ!
(ソレッタ王国)
リュカSIDE
「おいリュカ……そろそろ秘密の相談を切り上げて、姫様を呼んできてくれんか?」
義息の真剣な相談事を邪魔する様に、老いぼれ魔同士が横槍を入れてきた。
こっちの相談はかなり本気なのに……
「何だ……ブライも来てたんだ!? って事は……そっか、クリフトのヤツ死んだか! 良いヤツだったのになぁ……」
俺はさめざめ遠い目をして感傷に浸る。
「死んどらんわ! 縁起でもない……滅多な事を言うでない!」
相変わらずジョークの通じない爺さんだ(笑)
だからからかいたくなる。
「何だ……まだ生きてたか。意外にしぶとい……童貞のままじゃ死ねないのかな?」
「キサマ……どうあってもクリフトを殺したい様じゃな!?」
ここまで冗談が通じない人種も珍しい。ある意味珍獣だ!
「あのブライさん……リュカさんは貴方が怒る事を見越してふざけてるんですよ。怒れば怒るほど不真面目になって行く……逆効果です!」
「む……う、うむ……」
ウルフに宥められ口籠もる爺さま。
流石は俺の義息……良く解ってらっしゃる(笑)
「と、ともかく……姫様は何処じゃ? 薬は手に入れたんじゃろ?」
ちっ……冷静さを回復しやがった。
だがしかぁし、勝負はこれからだぜぃ!
「薬? ……あぁ『パンチラのモッコリ』だっけ?」
「リュカさん『パテギアの根っこ』です」
くそ……ウルフが素早くツッコミやがった。
これではブライを苛つかせられないじゃんか!
「そうじゃ、その根っこを手に入れたんじゃろ!? さっさと姫様と一緒に、クリフトの下に帰るぞ!」
「根っこなら無くなっちゃったってさ!」
「無くなった……って、どういう事じゃ?」
「うん。あっちで畑を耕しているオッサンが居るだろ。あのオッサンに聞いたんだけど、数年前に干ばつがあって、作物の殆どが全滅したらしいんだ。その全滅した作物の中に、パンチラの「パデギアの根っこです」
「……そう、その根っこも含まれてたらしく、今はもうこの村に無いんだってさ」
ワザと間違えようとすると、ウルフが素早く修正してくる。
有能だがムカツクぅ!
「こ、この村には無い……では何処に……!?」
「うん。あのオッサンが言うには、ここから南西にある洞窟に『パテギアの種』が保管されているらしい。パテギアは直ぐに成長するから、それがあれば根っこを渡せるって言われた」
「何と!? そんな物が存在するのに、誰も取りに行かず数年間も大根等を栽培しているのか!? そんな無駄な事をしているから、こんな貧困に喘ぐ国家へと落ちぶれてしまうんじゃ!」
この爺さんの悪い癖だ……全てに置いて自分本位。
「しょうがないじゃん、洞窟にはモンスターが蔓延ってて、一般人には危険極まりないんだから! あのオッサンだって、本当は直ぐにでも種を取りに行きたかったんだよ!」
「う……うむ……そうか……」
「それでリュカさん……貴方はパテギアの種の情報を仕入れたのに、何で此処に留まっているんですか?」
「え? ……だってあの洞窟 寒ーんだもん!」
留まっている訳ではない。
一度行ったが戻って来たんだ!
「何じゃ、一度は赴いたのか!?」
「うん。でも寒ーから帰ってきた……先ほど」
ホント先ほど……
「先ほど!? では姫様は何処に?」
「何処って……種を探してるよ」
何が疑問なんだ?
「待て待て待て……お前は寒いからと言ってソレッタに戻ってきた。しかし姫様は種を探してる……」
「うん!」
俺は明るく返事をする。
「キ、キサマー! 姫様一人を危険な洞窟に置き去りにしてきたのか!?」
「違うよ。一人じゃなく、自称勇者一行が一緒だよ。頭の悪そうな四人組がアリーナと一緒に、パテギアの洞窟で一緒に種を探してるよ」
「誰じゃ其奴等は!?」
「あ、うん。説明するとね……」
・
・
・
(ソレッタ王国=数時間前)
俺とアリーナは辿り着いたばかりのソレッタ王国を探索し、畑仕事をしている貧相なオッサンがこの国の王様である事を突き止めた。
そして『パテギアの根っこ』が既に全滅しており、モンスターの居る『パテギアの洞窟』に保管してある『パテギアの種』を手に入れなければ、根っこは入手できないと知る。
「よーし、じゃぁこのまま洞窟へ赴いて、パテギアの種を手に入れちゃいましょう!」
俺的には面倒臭い事この上ない事態なのだが、愛しのクリフトのため『パテギアの種』入手に燃える少女のテンションがウザい。
するとそこに、4人組の頭の悪そうな集団がボロボロのヨレヨレ状態でソレッタに入ってきた。
「お、こんな田舎に美少女が居るぜ! よう嬢ちゃん、俺と宿屋で○○○しねーか?」
中でも一際馬鹿丸出しが、アソコ丸出しにしそうな勢いでアリーナをナンパし始めた。
「はぁ? 邪魔よ馬鹿共! 私はこれからパテギアの種を手に入れる為、忙しいの……アンタら馬鹿共の相手をしている暇は無いのよ!」
可哀想に……一人の筋肉馬鹿の所為で残りの面子まで馬鹿者扱いされている(笑)
ちなみに……戦士っぽい筋肉馬鹿の他に、真面目っぽそうな細身の剣士と、インチキ臭そうな僧侶系のオッサンと、大袈裟なローブを着込んだ気の弱そうな魔道士系の若者で構成されたパーティーだ。
何処からどのくらいの距離を冒険してきたのかは解らないが、ここら辺のモンスターごときで身形をボロボロにしているようじゃ、実力の方は期待できない(笑)
「おいおい……お嬢ちゃんとそっちの優男だけで、俺達が断念した『パテギアの洞窟』に挑もうって言うのか? 止めておけよ……痛い思いをするだけだぜ。それより俺が気持ちい思いをさせてやるから、服脱いで股を開けよ(下品な笑)」
うふふ……どうする、この馬鹿?
“ボキッ”とやってベホマかな?
それとも“ゴキャッ”としてからのベホマですかねぇ?
(ゴスッ!)「ゴチャゴチャうるさいわね! 洞窟に行った事があるのなら、私達を案内しなさいよ」
俺が妄想の中でこの馬鹿を痛めつけていると、頑丈そうな鎧を着込んだ筋肉馬鹿の鳩尾に、強烈な正拳突きを打ち込むアリーナ……鎧をヘコませて、筋肉馬鹿を蹲らせる。
「お、おいゴンザレス……だ、大丈夫か!?」
剣士君が慌てて筋肉戦士馬鹿君の鎧を脱がせ、背中を擦って労っている。
他二人の魔法派は、顔面蒼白でブルってる。
「あ、あの勘弁してください……僕達、先程まで『パテギアの洞窟』を探検してたのですが、モンスターが強すぎて逃げてきたんです……もうあの洞窟には近付きたくない(涙)」
すげー……そんなボロ負け精神状態で女をナンパしてたんだ。
「うるさいわね! そんな事知らないわよ……私が居れば問題ないのだから、アンタ達は大人しく私を案内しなさいよ! 種を手に入れたら、根っこを少しは分けてあげるから、グダグダ言ってないで案内しなさい!」
「あ、あの……俺達二人は魔法での戦闘が専門なんです……もう魔法力が底を尽きてしまって、戦闘では何の役にも立てそうにありません。ここに残っても良いですか?」
気の弱そうな魔道士君が、恐る恐るの口調で暴君に問いかける。
「はぁ? どうせ魔法力全快だって、たいした役には立たないでしょ! 荷物持ち要員なのだから、大人しく付いてきなさいよ! 断ったらブッ飛ばすわよ!」
あはははは……よ~し、これからは“タイラント・アリーナ”ってコッソリ呼ぼう。
と、まぁ……
そんな訳で、洩れなくベソかき4人衆と共に、お目当ての『パテギアの洞窟』へ辿り着いた俺達。
「俺達ここまでで良いでしょ!?」と逃げ腰の4人に「荷物持ちがこんな所で引き返してどうすんのよ!?」と、暴君節全開のタイラント・アリーナ様(笑)
総勢6名で洞窟内に入り、早速後悔を口に出したのは……
「寒ー! 僕帰る。寒いからお家帰る!」
ベソかき4人衆ではなく、寒さに弱い俺なのさ!(テヘ♥)
返事を待たずに踵を返す俺。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! この洞窟の奥に、クリフトを助ける『パテギアの種』があるのよ! 寒いだけで帰れる訳ないでしょ!」
「いやぁ~……僕には関係ないし。クリフトがどうなろうと興味ないし。寒いの嫌いだし!」
「な、何言ってるのよ!? 危険な洞窟に私を一人残して帰る気? 身勝手しぎるんじゃないのリュカ!?」
「身勝手じゃないよ。放任主義なんだ。君は強いから大丈夫だよ。それにアリーナは一人じゃないし……頼りになる荷物持ちが4人も居るじゃん! いざとなったら身代わりにして逃げてくれば良いんだし……」
そして俺は洞窟を後にした。
可愛い田舎娘でもナンパしようと思い、ルーラを使ってソレッタ王国へ舞い戻ってきたところなのさ。
リュカSIDE END
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