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【新約】魔導循環~Magical circulation~

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Første historie/Hvordan å tilkalle en demon/Gamle magiker

『Kom, djevelen. kongen av fremmed verden.
 På sin majestet, velsigne oss.
 Hvem skal velge oss, deg. Hva vi velger, deg.

 The Come, kontrakt.

 Yi kontrakt kreft, djevel-tre kandidat.』


 悪魔というものは、常に自分のことしか考えていない。

 彼らは皆自らが王である《魔王》となることのみを考え、眷属を増やし、自らの力をより強固にすることしか考えない。まさしく愛染自の手本であるのだ。

 彼らに呼び掛けるときは、六問の神に呼び掛ける時とはまた違った契約を結ばなければならない。

 まず、悪魔に呼び掛ける。これはどの術式であろうと同じだ。召喚術にとどまらず、普通の魔術ですら六門の神に語りかけることが必要なのだから。

『Kom, djevelen. kongen av fremmed verden.』

 次に、その偉大さをほめたたえる。悪魔は自らがいかに偉大であるかという賛美を聞くことを楽しみとしている。良好な関係を結び、強固な契約を望むのであれば、彼らをひたすらほめちぎらなければならない。このときたとえ嘘であってもできるだけ尊大な賛美を、心の底から言わなければならない。そうしなければ、彼らとの契約は薄く、弱いものとなってしまうからだ。

『På sin majestet, velsigne oss.』

 それが終わったら、次は自分がその悪魔の支持者……すなわちその悪魔を《魔王》に推薦する心づもりであることを言う。彼らは支持者が多ければ多いほど気分を良くする。

『Hvem skal velge oss, deg. Hva vi velger, deg.』

 最後に、契約の言葉を述べる。

 彼らには簡易的な《契約願》の言葉である『Fadira』が通じない。これは比較的新しい魔術であり、彼らはその魔術を知らない。

 だからきちんと『契約願』を述べなくてはならない。

 加えて、彼らの名前をきちんと読んでやらなければならない。しかし悪魔の『真名』を呼ぶことはすなわちその悪魔を束縛することになり、たいへん失礼な行為であるということになる。

 代わりに、その悪魔の『座』を呼ぶ。

『Yi kontrakt kreft, djevel-tre kandidat.』

 これで術式は完成。

 その悪魔は術者のもとに現れ、加護を授けてくれる。

『Kom, djevelen. kongen av fremmed verden.
På sin majestet, velsigne oss.
Hvem skal velge oss, deg. Hva vi velger, deg.

The Come, kontrakt.

Yi kontrakt kreft, djevel-tre kandidat.』

 悪魔とのつながりを持つにあたって大切なのは、できるだけ多くの悪魔との関係を持たないことだ。最大でも三人、それもお互いに中の良い者たちを選ぶ必要がある。

 なぜならば、彼らは《魔王》の『座』を狙って争っているのだ。自分の契約者が、自分を支持すると言っておきながら敵対するライバルを同時に支持していたら、悪魔だっていい気にはならない。
 
 だから、契約できる悪魔は三人まで。それも、一人目と仲の良いか、もしくは一人目の眷属に当たる悪魔と契約することが望ましいのだ。

 以上が、悪魔と契約を結ぶにあたっての基本。ここから契約した悪魔とどう付き合っていくかは、契約者たるあなた次第だ。



 ***


 《旧魔術師》たちが操るのは彼らにとっての《真なる魔術》だ。

 《黒魔術》と呼ばれる大がかりな儀式魔術系統の魔術と、《白魔術》と呼ばれる一般的な魔術の二種類に大まかに分類されるそれは、はるか古来、まだマナが世界にあふれ、《魔術》が《魔法》だった時代から既に存在していた。

 たび重なる世界転生によってマナが世界から枯渇してからは、少量のマナで《魔法》……すなわちは《奇跡》の一部を借り受けて小さな《奇跡》を起こす《魔術》が開発された。

 《旧魔術師》が使う《真なる魔術》は、一般的に《六門魔術》と呼ばれる。これは世界を構成する六つの属性それぞれの“座”に至った神々の加護を借り受け、奇跡を起こすという基本的なものである。

 火の六門神。

 水の六門神。

 風の六門神。

 地の六門神。

 光の六門神。

 闇の六門神。

 それぞれに司る魔術元素があり、魔術元素は発動する魔術の性質にも左右する。

 六門魔術は基本的な魔術の要素全てを備えている。

 六門神による加護を具現化させる《通常魔術》。

 六門神の眷属を借り受ける《精霊術》。

 闇の六門神の加護を借り受け、使い魔を呼ぶ《召喚術》。

 《召喚術》の中でも高位の《降霊術》。

 術式を自らに反映させる《完全神導体》は《新魔術師》にも重宝されるほどの高位の魔術だ。

 
 これらの魔術を操る《旧魔術師》達。彼らの戦う理由はただひとつ。

 
 すなわち、『新参者なんぞに負けてたまるものか』。

 
 彼らは、《新魔術師》の台頭で、社会的な地位を失った。彼らの本拠地であった《時計塔》のみが彼らの居場所となり、残ったものは地下世界の錬金都市に逃げ込んだ。

 《新魔術師》を打倒し、再び社会の頂点に君臨すること。これが、旧魔術師たちの望みである。 
 

 
後書き
 今回は《悪魔を召喚する方法》と《旧魔術師とは》を収録しました。

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