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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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第三の邂逅

 
前書き
月詠湊人さんのコラボです 

 
 あの後、真っ暗な空間で落ちるような感覚に襲われている。しかし、もうその感覚にも慣れてしまったのか、もう何も感じない。

「ようやく終わったな次は帰れるだろ、三度目の正直って奴だな」

 そして、しばらくすると下のほうに光が見えてきた。その光がどんどん大きくなりゲツガはその中に入るように落ちて行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ゲツガはあのくらい空間から出るのを感じるとすぐに目を開けて状況を確認した。ゲツガは数メートル上空に放り出されたようで後、ほんの1、2秒で地面にぶつかると言ったところだ。ゲツガはすぐに体勢を整えて地面に着地した。場所は今度はよく分からない。アルケードではなく別の場所に転移したようだ。

「帰ってきたのか?」

 ゲツガはあたりを見渡しながらそう呟く。見たことがあるような場所だがどこかはよく覚えていない。まあ帰ってきたなら自分のウィンドウもしっかりと機能しているはずだから大丈夫だろう。そう思いウィンドウを開く。

「……直ってない……?」

 ウィンドウはまだマップなどフレンドはまだ使用できていない。そして素早くポケットに手を突っ込んで一枚の紙を取り出した。先ほどのチケットだ。それに何かを書かれているか確認する。

「旅行先~黒ウサギ……まだ、この世界めぐりは終わってないのかよ、三度目の正直じゃなくて二度あることは三度あるってことかよ」

 ゲツガはため息を吐く。まだこれが続いているなら帰れない。フブキに前に大丈夫とは言ったが実際、精神的に結構きていた。ゲツガはゆっくりと地面に腰を降ろす。

「はぁ~、まだ帰れてないってことはこの平行世界をきたってことだよな~」

 暗くなり始めた空を見上げて呟いた。自分のいたと思われる世界から来て約半日ぐらいはたっただろう。実際だったら家でゆっくりしているはずなのだがここには家もあるはずもなく帰る場所もない。しかし、そんなネガティブに考えてては本当にいい方向に進まなくなるだろう。昼に、フブキたちのいたところでスープしか飲んでいないためおなかが空いてきた。

「ま、考えるより先に現在の俺の空腹を何とかするか」

 まずはゲツガは自分の腹を満して今の状況からの最善策を考えることにした。すぐに調理セットを出して調理を頤使する。夜になっているのだから少し豪華でもいいだろうと考えたので干し肉ではなく普通の肉を使う。そして簡略化された手順によりほんの数分で料理は完成した。

「よっし、完成した」

 ゲツガは完成した料理をさらに移してから地面に置く。イスとテーブルがないのが少し食べにくいが、まあそこれらへんはまったくといっていいほど気にしない。こんな生活は何度も続けてきている。

「いただきます」

 合掌して食べようとした時、後ろの草むらからがさ、っと何かが動く音が聞こえた。ゲツガはすぐに両手剣を取り出すと料理の乗った皿をゆっくりとおいてから立ち上がり、その方を向く。そこは暗くてよく見えないが何か黒いものがもぞもぞとうごめいているのが見える。

 しばらくしてその黒い物体は出てきた。黒いウサギのようなモンスターであった。ゲツガはしばらく警戒するが敵はまったく襲うそぶりを見せない。それどころかゲツガが目に入っていないかのように見えた。

「……本当にこいつモンスターか?」

 襲ってこない黒いウサギのモンスターに警戒したところで意味がないだろうと思うが、それがこのモンスターの狙いで攻撃とかしてくるんだろうとかいろいろと考えるが剣をしまわずに待っていても攻撃してこない。ゲツガはもう根負けして剣を下ろす。もしも襲ってきたときは素手で応戦すればなんとかなるだろうと思い、武器を納める。そしてゆっくりと後ろに下がりながら飯の場所まで辿り着くと腰を降ろして飯を食べ始めようとする。

 それを見ていた黒ウサギはゆっくりと近づいてくる。しかし、ゲツガにはそのウサギに敵意がないことが分かるので何もせずに飯を食べ続ける。そして、ゲツガの目の前まで来ると料理の乗ったさらを覗き込むように凝視していた。

「もしかして食べたいのか、こいつ?」

 そう呟くと黒ウサギの耳が若干動く。どうやらこいつは肉が食べたいらしい。ゲツガは一つの皿をその黒ウサギの方に押しやった。すると、黒ウサギは若干下がりその皿とゲツガを交互に見始めた。

「こいつ誰かのテイムした奴か、普通の奴ならすぐに食いつくと思うし」

 そして黒ウサギをもう一度見るとまだこちらを見ていた。

「そんな顔せずに遠慮なく食えって」

 そう言うと黒ウサギは皿の上にある料理を食べ始めた。ゲツガもその光景を微笑みながら見る。そして自分も料理を食べ始める。そして食べ終わった頃に、今度は何かの気配を複数感じた。
 
 ゲツガは両手剣を再び掴んで構えると周囲を警戒する。索敵にも反応がないが確実に誰かがいる。しばらくしてようやく索敵の範囲に一人のプレイヤーと三体のモンスターの反応が出てくる。

「モンスター三体にプレイヤー一人……襲われてるにしてはおかしいし……三体とも引き連れてるのか……?そりゃどんな強運やろうだよ、三体もモンスターをテイミングしてるなんて」

 ゲツガはそう呟いた。しかし、そのプレイヤーは敵なのそうじゃないかなんて今は分からない。だから警戒しておくべきだろう。

 そして、ようやくそのプレイヤーが姿を現した。

「……そこの人、そんなに警戒しなくてもいいんじゃないか。別に私はアンタに攻撃しようってわけじゃないんだ」

 男口調だが声の高さからしてたぶん女だろう。フード付きケープの服装で隠れて分からないが、たぶんそうだと思う。後ろには三体のモンスターを連れている。

「ちょっとは警戒するさ。緑カーソルだからってまだ大丈夫って決まったわけじゃねえんだからな」

「……ま、それもそうか。グリーンなのにオレンジって奴もいるんだしな」

「そういうことだ。で、お前は何をしにここに来たんだ?」

「私はそこにいる黒ウサギのアリスを探してここに来たんだ。別にアンタを襲おうって気はさらさらない」

「そうかい」

 ゲツガはそう言って皿を舐めている黒ウサギを持ちげてからその少女に渡す。

「ほら」

 そう言って渡すと少女はありがとうといって立ち去ろうとする。しかし、黒ウサギを下ろした瞬間にそのプレイヤーから離れてゲツガのところに戻ってきた。

「……?何でお前がこっちに来るんだよ。お前のご主人は俺じゃなくてあっちだろ?」

 そう言ってアリスを持ち上げて、先ほどの少女の方に向けると再びこっちに向いてしまった。

「なんでさ」

 少女もおかしいと思い、聞いてきた。

「アンタ、アリスになんかした?テイムしたモンスターが他のプレイヤーになつくなんて聞いたことないんだけど」

「いや、俺だってテイムされたモンスターなんて見るの二回目だし知るわけないだろ」

 テイムモンスターが他プレイヤーになつくなんて聞いたことはない、そもそも使い魔を持つプレイヤー自体が希少なためよく分かっていない。

 ふと、アリスを見てチケットに書かれていた旅行先を思い出した。黒ウサギ、たしかそれが旅行先だった。チケットをもう一度確認するため取り出す。

「旅行先は黒ウサギ、目的は黒ウサギの主人に会うか……」

 ゲツガは黒ウサギを持ち上げて言った。

「ちょっと悪いが、俺はお前に用事ができた」

「はっ?何言ってんだ、アンタ」

 さすがにいきなりだったためこいつ頭おかしいんじゃないかという目で見られるがゲツガは気にせずに言った。

「俺が元の世界に帰るために協力してくれ」

 さすがにこれを聞いた女の子はゲツガが頭おかしいと思い言った。

「アンタ、ちょっとおかしいんじゃないか?元の世界に帰すためってまるでアンタが別の世界から来たって言ってるようなもんじゃないか」

「ああ、俺は別世界から来たんだ。だから、この世界から帰るには条件を満たさなきゃならないんだ」

 そう言ってゲツガはチケットを女の子に見せる。女の子はそれを警戒しながらとると不思議そうに言った。

「何で目的に黒ウサギの主人って書いてあるんだ?」

「それが俺がまずしなきゃならない目的だ。たぶんそろそろそれが消えて新しい目的が出るはずだ」

 そう言うとすぐに目的一が消えて新しい目的が浮かび上がってくる。

「今度はなんだ?目的に新しいのが追加されたんだけど……」

「見せてくれ」

 ゲツガはそう言って少女からチケットを取る。そこには目的にと書かれていた。

「今度の目的は、アリスの主人とともに城に向かえ……か……SAOに城なんて……あっ、城ってこのアインクラッド自体のことか?」

「違うんじゃないか?それだったらこのアインクラッドのどこに向かえばいいって言うんだよ」

「まあ、そうだよな……」

 ゲツガはSAO内に城があった考えるがゲツガが今までいた世界には城なんてアインクラッド意外にはなかったと思うというより見ていない。近いといったら聖竜連合の本部ぐらいだろうか、それか紅魔宮というまだ見たことのない場所のことだろうか。

「城ねぇ……私はあそこぐらいしか思い浮かばない」

 それを聞いたゲツガはその女の子に聞いた。

「城を知ってんのか?それなら場所を教えるついでに着いてきてくんない?」

「何で私がそんなめんどくさいことをしなきゃいけないんだよ」

「頼む、俺も帰りたいんだよ。元の世界に」

「その話しに私が信用するとでも思ってるの?大体、別世界から来たなんてファンタジー過ぎるし、ありえない。ここはゲームの世界だけど、そんなことがありえると思うのか?」

 確かにこの女の子の言うとおりだ。まずは、この世界の人物ではないことを証明しなければならない。そのことを考えた瞬間、溜め息を吐きたくなる。

 リクヤのように普通に助けてくれたらよかったのだが、フブキやメルムと同じく警戒のほうが強いようだ。

「ああ、また生命の碑まで行くことになるのかよ……」

 ゲツガはまた下まで行くことに対して溜め息を吐いてしまった。

「なら、証明するためには生命の碑までいかなきゃならないからついてきてくれ」

「めんどくさい」

「まあ、そうだよな」

 ゲツガはさすがに警戒されている状態でついてきてくれなんて普通だったらこうなる。

「だけど、私の知らないイベントがあるなんて面白そうだから協力してあげる」

「……まじ?」

 さすがに何回か説得しなきゃならないと思っていたが意外にもすぐに了承してくれた。これにはゲツガも少し唖然としながら聞き返した。

「いいって言ったんだよ。私からパーティーを組むのはそこまでないと思ったけどこんな面白そうな奴だったら参加する」

 そう言ってフードを取った。

「私はミナト。しばらくの間よろしく」

「ああ、俺はゲツガって言うんだ。よろしく」

 これが二人の邂逅だった。
 
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