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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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レーヴァティン~クロスクエスト~
  焔の魔王

『何奴だ』

 《ドラグ》周辺に辿り着いたその瞬間に、その声は響いた。

「!?」

 各々が武器を構える。

 

 周辺のエネルギーが一気に凝縮した。情報圧が高まった……次の瞬間。

 大気が、爆発した。

「うわぁ!?」
「きゃぁっ!」


 爆発の衝撃が収まると……そこには、真紅の鎧に身を包んだ巨人が立っていた。

 巨大だ。巨人なのだから当然だが、それでもなお巨大だった。巨人の中でも群を抜いてでかいのではないだろうか。

 その巨人の周辺には真っ赤な炎が渦巻き、余計に威圧感を増していた。真紅の双眸でセモン達をにらむ。

「――――貴様らは何奴だ。なぜここに来た」
「……僕達は妖精郷(アルヴヘイム)の剣士だ。あんたは?」

 シャノンが恐れを感じさせない声ではっきりと聞いた。すると、巨人は多少は予想できていた答えを返した。


「――――――我が名はスルト。このムスペルヘイムの王にして、九界を手中に収めることとなるものだ!!」


「(こいつが……スルト!?道理ででかいわけだ…!)」

 セモンが胸中で呟いたのと同時に、スルトが口を再び開いた。

「貴様らはなぜここにいる?我が全世界を手にする祝宴をあげに来たのか?」

 するとシャノンが苦笑して言った。

「残念だけど違うんだよね。あんたの奥さんに頼まれて、あんたをぶっ倒しに来たんだ」

 
 スルトはしばし沈黙すると

「……ク」
「?」
「ククク……クハハハ……クハハハハハハハハハハッ!!!貴様らが!!この我を?全世界の王となるこの我を倒すだと!?あり得ん!!」

 スルトが腰の大剣を音高く抜き放った。

 灼熱の世界(ムスペルヘイム)の炎の光を受けて輝くそれは、まるで本物の神の作ったもののような迫力を感じさせた……あれが…

「…《魔剣レーヴァティン》」
「ほう、よく知っているな。そう、これこそ我が《総てを焼き払う業炎(レーヴァティン)》なり!」

 さらにスルトがその剣を天高く掲げると……どこからともなく、バサッ…バサッ…とはばたきの音が聞こえてきた。

 そして……ズゥン……という重々しい地響きとともに、スルトの後ろに三体の龍が着陸した。そのサイズはスルトの約三倍ちかくあるのではないだろうか。

「……《焔の龍騎士団》……」

 横でシャノンが呟いた。

 巨人族最大と思しきスルトでさえもセモン達妖精族(プレイヤー)の五倍はあろうかという身長だというのに、ここまででかいとそろそろ背をそらさないと全容を見ることができなくなりつつある。ヨツンヘイムの元・邪神族や、ニヴルヘイムの巨人(おっさん)族よりもでかいのでは、と予想される。

「我が選りすぐりの三騎士だ。貴様らに奴らを倒すことができたのであれば、それ相応の力があるとみて我も貴様らの相手をしてやろう」
「……上等だ」

 ゲツガが大剣を構える。

 それを受けて、セモンが刀を。コハクが長槍を。シャノンが巨剣を。ハザードが大剣を。ゲイザーが自らの拳を。それぞれ構えた。

 龍騎士たちも戦闘態勢に入った。


 一触即発の状況。

 ファーストアタックは……





 どこからともなく伸びてきたワイヤーだった。

「え?」

 そのワイヤーは騎士の一人の首に巻きつくと、知よりもなお濃いどす黒い焔を宿し、直後、その頭を吹っ飛ばした。

 
「な……」

 龍騎士が……一瞬にして?

 全員が竜騎士よりなお向こう側を見つめると。

 そこに、先ほどまでいなかった小柄な少年が立っていた。

 
 年のころは十二歳くらいだろうか。黒いマフラーに血色のフードつきコート、その上に黒いロングコートを羽織っている。頭にはネコ耳…ケットシーだ。

 そしてその隣には、ボスモンスターかと見まがうほどに巨大な狼…いや、よくみると犬が立っていた。

 少年はこちらを見ると、無邪気な、しかし底なしの邪悪さをはらんだ表情ででにっこり笑った。


「久しぶり、セモン兄ちゃん!ゲツガ兄ちゃん!」


「……レンホウ」

 
 かつてSAOで《六王》と呼ばれた超強力プレイヤーの一角。《冥界の覇王》。《無邪気な暗殺者(イノセント・アサシン)》レンホウ。 
 

 
後書き
 はい、約二週間ぶりくらいの投稿です。ついにスルトとご対面。さらにはレン君も登場。

 ちなみにレン君にぶっ殺された竜騎士ですが、弱点であった首を心意技でぶった切られたことが敗因だったようです。乗ってたドラゴンはまだ生きてるので、次回の戦闘で登場しますよ?

 それでは次回もお楽しみに。


*追記*

 なべさん先生、レン君の心意技がオーバーパワーなのであんまり使わない方針で行きます。

 
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