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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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予想外の珍事

 
前書き
最初に言っておきます

ごめんなさい! 

 
キリトとアスナの住む家に着いたのはだいたい正午の十分くらい前だった

ドアをノックする
すると、中からアスナの声で応答があった

「はーい、誰かな?」

「リンとその他だが、入ってもいいか?」

「いらっしゃい、リンくんにリズも。……えっと?」

扉を開けてくれたアスナは俺とリズベットを見て微笑むが、俺たちの後ろにいたユウキを見て戸惑ったように俺の顔を見た

「さっき知り合ったばかりのユウキだ。仲良くなったばかりで即さよならってのも味気ないしな」

「そうだったんだ。歓迎するよ」

そう言ってユウキにも微笑むアスナ

「まあ、ユウキの自己紹介は後にして……俺たちで最後か?」

「うん、キリトくんから聞いていた人は全員揃ったかな。さあ、中に入って」

アスナに続いて中に入る
居間に入ると中にいた面々が挨拶してくるので、適当に返しつつ空いている椅子に座る
リズベットは俺に倣うが、ユウキは途方に暮れたように立ち尽くした
知らない家、知らない人に囲まれて無理もないが

「さてと、恐らく全員が気になってるだろうから自己紹介と行こうか」

軽く手を叩きつつフォローを入れておく
その言葉にユウキは緊張しながらも笑顔を浮かべた

「えっと、ボクの名前はユウキだよ。リンについて来ちゃいました!」

「そうだな……。色々と事情はあるが、人格については俺が保証する」

「色々な事情ってところが気になるところだけど……リンのお墨付きならいいんじゃないか?」

事情を話すことはユウキから許可をもらわないとさすがに無理だ
とはいえ、キリトの能天気な言葉で一応は受け入れられたみたいだ

「さてと……こっちも自己紹介をした方がいいんじゃないかな?」

「そうだな。じゃあ、まずは……俺はキリト。よろしくな」

アスナの言葉にキリトが頷き、立ち上がる
この後も各自、自己紹介をしていき最後にはクラインとシノンが残った

「俺はクラインってもんだ! よければ俺と……」

言い忘れていたのだが、ユウキはかなりの美少女といえる
いつも、顔に浮かべている笑みと、どこか儚げな様子は妙な保護欲と魅力を醸し出している
美女、美少女には節操なくアタックするという困った趣味を持つクラインが言わんとしていることを予測していた俺は、余計なことを言う前に鋼糸で喉を強襲
強制的に言葉を止めさせた

「ゲホッ……な、なにしやがる。リン!」

「もう少し自重しろよ」

文句を言うクラインにそう一言かけ、反論をしようとするクラインを鋼糸でミノムシにして天井の梁に吊して視界に入らないようにする
ついでに闇魔法の一種で、相手に詠唱が聞こえないようにするためにある遮音魔法をかけて、一応一段落

「えっと、リン?」

「気にするな」

ユウキが俺に驚いた様な声色で話しかけてくる

「……えっと……」

「気にするな」

「……うん、わかったよ」

クラインの扱い方を認識して、いろいろ諦めたようでなにより
団体が変わればマナーも変わる
いわゆる、郷に入っては郷に従えってやつだな

「最後は私か……。私はシノン。よろしくね」

「うん、よろしく!」

元気に挨拶して、シノンの顔をじっと見つめるユウキ
数十秒が過ぎたくらいでシノンは沈黙に耐えられなくなったのか、小首を傾けた

「なに?」

「ううん、何でもない」

ユウキはそう言うとシノンから目線を外してキョロキョロと興味深そうに家の内装を眺め始めた

「じゃあ、質問タイムといこうよ」

ね?とユウキに向かって微笑む明日奈
……転校生イベントか?

「じゃあ、ボクから一つ質問してもいい?」

「うん。答えられる範囲なら答えるよ」

すぐさま手を挙げたのはユウキだった
……嫌な予感がする

「リンの彼女って誰?」

「私だけど……」

ユウキの質問にシノンが反応する
軽く手を挙げたシノンの眼はユウキの質問の真意を見極めようとしているのか、少し細められていた

「ボクを妾として認めてください!」

「えっ……?」

予想の斜め上を飛んで行きやがった……
先ほどまでニヤニヤしていたリズベットもこれには予想外だったのか口を開けて唖然としている
当然、なんの背景も知らない他の面々も唖然としている

「ボクを妾として認めてください!」

反応がなかったのを聞こえていなかったのと解釈したのか、先ほどよりも大きな声で同じ言葉を言ったユウキ
シノンは何度か目を瞬かせると口を開いた

「えっと……それって、リンの事が好きってこと?」

「うん! でも、リンには彼女がいるんでしょ?ボクはその仲を壊す気もなかったし勝てる気もしないしね。でも、リンの側に居たいし……。ダメ……かな?」

上目遣い気味に小動物のようなオーラを出すユウキにたじたじのシノン
困った顔で俺の方を見るが、俺は苦笑いを浮かべているのを見てユウキに視線を戻す

「……ちょっと、話し合おうか。リーファも来て」

「え……私も?!」

「うん。アスナ、ちょっと部屋を借りるね」

「わかった。ごゆっくりね」

扉の向こうに三人の姿が消えるとリズベットはニヤニヤと笑いながら俺を見てきた

「妾でもいいから側に居たいなんて言葉を今日初めて会った娘に言われるなんて、リンはプレイボーイねぇ……」

「嬉しいことだ。でも、俺は彼女がいるって言ったんだが……。まさか、あんな発言をするとは思わなかった」

「それで、リン君はどうするつもりなのかな?」

アスナがお茶を淹れながら、小首を傾げて俺に問いかけてくる

「そうだな……。とりあえずシノン次第だ。丸投げかと思われるかもしれないが、断る理由がシノンと付き合ってるからって位しかないからな。ユウキにはまだ判断つかないが、リーファには彼女にしたいってレベルの好意は抱いてる。シノンが許すならば、付き合わない道理はないさ」

一番はもちろんシノンだ
これは揺るがない

「は~……どこかの誰かさんもリンくらい甲斐性があったらねぇ……」

リズベットがキリトをちらりと見ながら言った
視線を向けられたキリトはというと頭上にクエスチョンマークを浮かべている
その様子を見てリズベットは深いため息をついた

「どうしたの、リズ?」

「なんでもないわよ」

恋愛に対する機微に疎い夫婦の片割れ、アスナがそんなリズベットの様子に心配したような声をかける
自分が原因だとは夢にも思ってないんだろうな

「リズはもっと積極的に行くべきだと俺は思うがな。相手は難攻不落の鈍感男だぞ」

本当に、よく彼女ができたのか不思議なくらい

「うっ……。確かにそうだと思うんだけど……」

「まあ、シリカと相談して決めろ。告白するか、さっさと諦めるか」

「えー! リズって好きな人、いるの?」

「…………」

思わず沈黙する俺とリズベット
リズベットとシリカの好きな人は貴女の彼氏さんですけどね

「まあ……これがアスナよね」

「そうだな」

「ちょっと二人とも?なんか軽く私をバカにしてない?」

「してるが……それがどうしたのか?」

「少しはオブラートに包んでよ……」

ガクッと肩を落とすアスナ
その様子を見て、リズベットは再びため息をついた

「えっと、なにが起こったの?」

話し合いが終わったのか、奥の部屋から出てきたシノンは開口一番にそう言った

「こっちの話だ。それで、結論は出たのか?」

「うん。リンはついてきて」
「了解」

シノンの手招きにしたがって、部屋に足を踏み入れると、緊張した様子のリーファと、ニコニコといつもの笑顔を浮かべたユウキがいた

「さてと、どんな結論が出たんだ?」

「ちょっと話をしたけど、リーファもユウキも、気持ちは本物だった。それに、ユウキの事情ってのも聞いた」

リーファとユウキが軽く頷いた
俺が目でシノンに先に進める言う

「本当はリンを独占したいんだけど……ね。私も好きな人と離ればなれになる悲しみってのを知ってるから……」

自分が壮絶な過去を持つからか、他人の気持ちに鋭敏になったシノン
今までは優しさや思いやりといった暖かい感情を冷たい氷の中に封印してきたが、本来のシノンはとても優しい人格なのだ
それ故に、こういう自分が体験したことのある悲しみを他人に味あわせることへはかなりの抵抗を感じるらしい

「だから、私は二人を認めようと思う。リーファとユウキがリンとどんな関係を気付いても、それを認める。でも……」

シノンは今まで浮かべていた微笑を引っ込め、どこか拗ねたように、でも恥ずかしげに顔を赤らめながら口を尖らせた

「私のことも忘れずに愛して欲しい」

「……そんなことは当然だろ? 三人とも支えられる程度には成長してみせるさ」

そう言うとリーファは突然涙を流し始めた
理由を聞くと微笑みながら答える

「だって……私、リンのこと、ずっと好きだったんだよ?告白を断られてもこの気持ちはずっと燻ってたしね。ちょっと思い描いていた状況とは違うけど、本当に嬉しいんだよ」

「はぁ……俺はそんなに慕われるような性格をしてないと思うがな……」

「現に三人いるじゃん! それに精神的に弱ってる時にあんな言葉をかけられて落ちない人はいないと思う」

先ほどからの笑顔とは一転、じとーとした眼で俺を見るユウキ
その言い方だと、俺が弱みに付け込む外道だと思われないか?

「あー……確かにリンってたまにそんなこと言うよね」

「シノンさんもそんな感じですか?」

「シノンでいいよ。リアルでも呼び捨てでいいからね。っと話を戻すと、その通り。あれは本当に嬉しかったな……」

遠い目をしてボーっと夢見心地になるシノン
それを見て黄色い歓声をあげるリーファとユウキ

「ガールズトークはその辺にしてくれ。俺がついていけん」

「あ……ごめんなさい」

「うう……ごめんね?」

「……ごめん」

俺は軽く手を叩いて、確実に俺の存在を忘れているであろう三人の意識をこちらに向けさせる
三人の会話がエスカレートした場合、確実に俺はいたたまれなくなって遁走していただろう
過去を振り返ることは大事だが、なかには振り返ってはいけないこともある
別に後悔したり、恥ずかしかったりすることはないのだが、目の前で延々と聞かされるのはさすがにごめんこうむる

「さてと、そろそろあっちに戻ってキャリバーの話をしなくちゃいかんな」

「あー……そういえば……」

「キャリバー?」

「ここで説明するのは二度手間になるからな。あっちで説明するよ」

無駄な波風が立たずに済んで、一安心といったところだろう
ハーレムね……現代日本でなにを考えてるんだか
まあ、後悔はしてないし、これからもしないさ

俺は俺だ 
 

 
後書き
どうも蕾姫です

なぜ、こうなったか私にもわかりませぬ
元々の計画では軽い痴話喧嘩をして、リーファが便乗、キリトとリンの乱闘ーという流れだったのにどうしてこうなった
ユウキやリン、リーファ、シノンの性格を考えたらこの結末が最適解な気がしまして……はい、ごめんなさいぃぃ(土下座

異世界でもないのにハーレムを築いてしまったリンですが、あくまでも主妻はシノンです

最初はシノン一筋にする積もりが、どうしてこうなった……
多分最初のミスはキリトとの喧嘩ネタを盛り込むためにリーファをヒロインに入れたことですね
ニヤニヤしていた過去の自分を殴りたい……
あれ……なんかユウキの保護者(シウネー)とリンがガチバトルする情景が思い浮かんできたんだが……
おとなしい人って怒ると怖いよね
でも、蕾姫としてはシウネーさんてキャラ的に好きなんだけど(ジュルリ←

ゴッドイーターバースト(←いまさら)のラスボスを狩った直後かつ深夜(午前三時位)に書いたからとかそんな理由じゃないと信じたい
それにしてもカノンいいなぁ……。普通に蜂の巣にされまくってるけど……多分うちのアバター(♀)は目覚めたと思うんだ

まあ、余談はさておき……
そろそろ霧の巨人(変態)を倒しにいかないと……キャリバー編で燻ってたら原作にますますおいていかれる
でも三人の女性(シノン、リーファ、ユウキ)による姦しい騒ぎも書きたいしなぁ……
まあ、ボチボチ更新していきますので、こんな小説でよければ応援してください

感想等待ってますね。ではでは 
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