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久遠の神話

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第四十四話 不老不死その八

「だからだ」
「じゃあ今はまだ」
「彼と戦うことにもなる」
「それも覚悟しないといけないんですね」
「その場合は俺も高橋君もな」
「戦うよ」
 高橋は微笑んで工藤の言葉に応えて上城に言った。
「彼を止める為にね」
「そうするんですね」
「その場合止むを得ない場合もあるだろう」
「その可能性は否定できないよ」
 作戦ならばそうしたことも想定済みだった。二人の間では。
「しかしそれでもだ」
「俺達は戦いを止めるからね」
「そうですか」
 上城はここまで聞いて呟く様に述べた。それからだった。
 遠い目になりそのうえでこう二人に述べた。
「じゃあ僕も今は」
「彼と会えば闘うのか」
「そうするんだね」
「戦いを終わらせたいですから」
 剣士の戦いそのものをという言葉だった。
「その時は」
「わかった」
 工藤が上城のその言葉に頷く、そうしてだった。
 三人は戦いのこと、剣士のことについてさらに話した。そのうえでこれからのことについての打ち合わせもした。それが終わってから上城は地連を後にした。
 それから街の商店街に行きそこで本屋を探した。しかしここで。
 前から聡美が来た。ラフなジーンズ姿だ。
 向こうも上城に気付いて二人同時に言った。
「あっ、こんにちは」
「はい、こんにちは」
 昼の挨拶を交えた。それからだった。
 聡美の方からこう言ってきたのだ。
「さっきまで。若しかして」
「はい、他の剣士の方とお話していました」
「戦いを止めたいという考えの剣士の人達ね」
「そうです」
 上城は真剣な顔で聡美に話した。そしてだった。
 彼のことを言おうとした。だがそのことは聡美が先にこう言ってきた。
「中田さんのことなら」
「もう御存知ですか」
「ええ。聞いてるわ」
 そうだというのだった。
「ある人から」
「そうだったんですか」
「戦う事情はね」 
 聡美はそのことも話す。そうしながらだった。
 聡美は前に出た。それでこうも言うのだった。
「それぞれなのよ」
「そうですね。本当に」
「戦いたくて戦う剣士もいれば」
「中田さんの様に」
「戦いたくはなくてもね」
「戦う人もいるんですね」
「彼は本気よ」 
 聡美は中田の覚悟も知っていた。そのうえでの言葉だった。
 そのことを言いながらだった。聡美は上城にこう誘った。
「ところでね」
「ところで?」
「お茶を飲めるパン屋さんがあるけれど」
「そこで、ですか」
「ここで立ってお話をするのも何だから」
 二人は商店街の本屋の前で向かい合って話をしている。立ったままなのでそれはどうしても落ち着けないものだ。  
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