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万華鏡

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第二十八話 浴衣その十二

「広島焼きも食べたらええわ」
「お好み焼きじゃけえ」
「それはええとしてや」
 宇野先輩の横からのむっとした突っ込みもあっさりとかわす。
「とにかく食べてきいや」
「はい、そうします」
「広島の方でも」
「そうしいや。美味しいのは確かやさかいな」
「はい、じゃあ広島か呉で」
「食べてきます」
 五人も高見先輩に応える、そうして。
 再びお風呂に入る、その中でもだ。
 皆かなり酔っていた、それぞれ風呂場の中でぐでんとなっていた。
 それを見て彩夏が言う。
「私達もちょっと油断したら」
「ああなるわね」
「酔ったまま」
 五人は我が身のことを考えて述べた。
「お酒はいいけれどね」
「それでも一歩間違えたら」
「危ないわね」
「お酒はお薬やで」
 高見先輩はここでこんなことも言葉に出した。
「お薬やけどな」
「毒でもある」
「そういうことですよね」
「ちゃうちゃう、お薬やけどな」
 毒とは言わなかった、薬だというのだ。
「お薬も飲み過ぎたらあかんやろ」
「あっ、そういうことですか」
「お薬も飲み過ぎるなっていうんですね」
「そや、何でも飲み過ぎはあかんねん」
 これが高見先輩の言いたいことだった。
「自分のリミッターを超えたらあかんで」
「じゃあ皆リミッター超えちゃったんですね」
「それでなんですね」
「去年は私もやったわ」
 高見先輩は笑って言った。
「お酒飲み過ぎて、それで宇野ちゃんも横におらんかったし」
「わしもじゃ。高見ちゃんおらんかったから」
 その宇野先輩も応える。
「サウナの中でぐでんぐでんになってたけえ」
「それ危ないですよ」
 琴乃は宇野先輩の言葉に真剣な顔で突っ込みを入れた。
「いや、本当に」
「それで先輩に助けてもらったけえ」
 その時の先輩にだというのだ。
「起こされて水風呂である程度すっきりさせてもらって」
「それでなんですか」
「身体洗ってお風呂出たけえ」
「危なかったですね」
「お酒は危ないけえ」
 薬だがそれでもだというのだ。
「明日もせいらい飲むけえ気をつけんしゃい」
「はい、そうします」
「リミッターは考えます」
 五人も真剣に応える、気付けばそれぞれ二升は飲んでいる。その量も頭の中に入れながら合宿の翌日以降のことも考えるのだ。


第二十八話   完


                         2013・3・24 
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