ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~
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フェアリィ・ダンス~両刃の剣と天駆ける龍~
エピローグ~神話と勇者と聖剣と~
前書き
セモン君視点が入りま~す
「それでは今日はここまでにするよ!課題ファイルは、もう転送したな。来週までにクリアしてきてくれ!!」
熱血系教師の(数学の)授業が終了し、午前中の授業は終わりを告げた。
俺は教室を出ると、学食のカフェテリアへと向かった。
*
《アルヴヘイム・オンライン》を陰で操っていた、妖精王オベイロンことレクトプログレス代表須郷伸之は、なんと現実世界でキリトこと桐ケ谷和人に殺しを仕掛け、殺人未遂の容疑で逮捕された。
同時にALOでのSAO未帰還者を利用した非人道的実験、スレイヴ・プレイヤー問題、クリアできないクエストやプレイヤーに対する情報の欺瞞などが芋づる方式で明らかになり、さらなる問題を巻き起こした。
当初はだんまりを決め込んでいた須郷だったが、重要参考人として部下の一人が引っ立てられてくると、それからは一体どうしたことかぺらぺらと自白し始めたそうだ。
須郷の実験の被害者となった300人のSAO未帰還者達だが、記憶や人格の改変は受けておらず、皆少しのリハビリで社会復帰できそうであるとのことだった。
さらに、SAO未帰還者たちの中で、SAOにとらわれる前は学生だったプレイヤーたちを対象に、廃校になった大学だか高校だかの敷地を改装した学校が作られた。卒業すれば、なんと大学の入学試験を受ける資格がもらえるらしい。
そんなわけで、今、俺達はここにいる。
さて、ここで問題となるのは、そう。《VRMMO》というゲームジャンルについてだ。第一作である《ソードアート・オンライン》だけでなく、《アルヴヘイム・オンライン》ですらあのような事件が起きてしまったのだ。当然ALOは停止、それまで稼働していた複数のVRMMOゲームも、稼働を停止することが決定された。
それはつまり、《VRMMO》というジャンルそのものの廃止を意味していた。
そんな状況を救ったのは、キリトと秋也が、茅場晶彦に託されたとあるシステムなのだが……その話はまたあとにしよう。
*
カフェテリアに行くと、窓際の定位置にはすでにコハク――――杉浦琥珀が座っていた。ここでは一応SAO時代の名前を言うのはタブーとなっている……のだが、たいして関係はないようだ。生徒たちはあんまり気にせずにSAO時代の名前を使ってたりする。
俺はやや駆け足気味に琥珀の方に向かった。
「おまたせ」
「あ……うん。大丈夫、あんまり待ってない」
琥珀は俺の方を見上げるとはにかんだ。
SAO時代は随分とがっていた印象のある彼女も、最近さらに拍車をかけて性格が丸くなってきた。並んで歩いていると自分から手をつなぐことを求めてきたり、今日もそうだが、昼ご飯を作ってきたりする。
それに。最近、琥珀はよく笑うようになった。
SAOで出会った当初の彼女は、とげとげしく、笑わない人間だった。それがここまで丸くなり、よく笑うようになったのはとてもいいことなのだろう。
「清文、清文ってば、聞いてる?」
「あ、ああ……ごめん、何のはなしだっけ」
「もうっ…今日のオフ会のことよ。行くの?」
「ああ……ごめん。俺は行かないよ」
「え……?」
「二次会には行くけどさ。……一次会は、キリ…和人を主役にさせてやりたいんだ」
「そう……そうだね。じゃぁ、代わりに二次会の主役は私たちにしてもらっちゃお」
「おう。そうしようぜ!」
そう言って、笑いあうのだった。
*
「おーおーおー、平日からべたべたなこって」
「……やはりアインクラッド崩壊時に最後の時間を残したのは間違いだったろうか」
「う~ん?いいんじゃないの別に。僕にはおいしいし。秋也にも早く嫁が見つかるといいね」
「うるさい!」
「カガミ君、あ~んして♡」
「あ~……」
「……なんかびみょうだ!なんかびみょうだ!」
「……いいな。私も学生だったらよかったのだが」
「観音さんはもう学生じゃないですもんね~。あ、これ八番のテーブルに運んどいて」
「了解しました」
*
「すごいね。この世界がまだ続いてるなんて……夢みたい」
《アルヴヘイム・オンライン》の世界樹の頂上に開発された新しい街、《イグドラシル・シティ》。その中央広場のベンチで、俺の隣に座ったコハクが呟いた。
「ああ。エギルさんに聞いたところによると、今ミラーサーバがおよそ五十、ダウンロード総数は十万超え、実際に稼働してるのは三百くらいだってさ」
キリトとハザードが持ち帰った物体……正式名称、《ザ・シード》。それは、茅場晶彦が託した、《カーディナル・システム》の種だった。ALOの様なVRMMOを好きなように作れるシステムだった、ということだ。
キリトはそれをエギルに託し、全世界にはなってもらった。
その結果、前述のとおり、凄まじい数のVRワールドが誕生している。まさしく宇宙の誕生、とでもいうべきか。
停止が心配されたALOも、プレイヤーが多く所属するとあるベンチャー企業が買い取り、再稼働することになった。それだけではない。ALOの新たな支配者――――いや、調整者たちは、ALOの多くの制約を取り払い、さらに旧SAOのシステムも大きく導入した。今、ALOにはあの日、浮遊城で多くの戦士たちを導いた《ソードスキル》が実装されている。
さらに、SAO時代のプレイヤーは。SAO時代のステータスデータ、アバター外見を引き継ぐことが可能になった。だから今、俺やコハク、多くのSAO帰還者達はSAO時代の外見をしている(キリトは「あの世界のキリトの役目は終わったんだよ」とか言って変えてなかったが)。
それだけではない………
その時、リンゴーン、リンゴーン、リンゴ―――――ン……と、鐘の音が響いた。
「来たぞ」
「あ……すごい!!」
妖精郷の月が照らす、夜空に現れたのは―――――――――
「あれが……《浮遊城》、具現化する世界…アインクラッドなのですね」
すぐそばに、銀色の髪に黒いマフラー、おなじみの鎌をもったグリヴィネが現れる。
「ああそうさ。今度こそ」
「あの頂上に立つんだ」
「俺達の手で」
さらに後ろから、シャノン、ゲイザー、ハザードの三人が姿を現す。
「お~い、いくぞ~!!」
誰かが叫ぶ。
「さぁて、はじめようか、アインクラッド再攻略!!」
シャノンが巨剣を構え
「次はもっと楽しめそうだな。そうなってくれることを願っているよ」
ゲイザーが拳を握り、
「私も……私も、あの城で戦ってみたいです。行きましょう!」
グリヴィネが鎌を構え、
「……兄さんはもういないけど……今度は、俺は1人のプレイヤーとしてあの城に挑むんだ。いくぞ、レノン!!」
ハザードが叫び、肩にとまった小さな、しかしすさまじい情報圧を感じさせる真紅の龍が鳴き、
「……行くか、コハク!!!」
「うん!!行こう、セモン!」
俺とコハクは、手をつないで、背中の翅を広げた。
ALOの九種族の妖精たちが各々の翅を広げて、アインクラッドへと飛び立っていく。
色鮮やかな光のリボンが、月明かりに照らされて、光り輝いていた。
そしてまた、浮遊城で語り継がれることになる。
勇者と、聖剣の神話が。
ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~ALO編
fin
後書き
ALO編、終了いたしましたぁぁぁぁ!!
はい、いよいよ『神話と勇者と聖剣と』、通称『神話剣』も一区切りがつくところまでやってきました。ありがとうございました!
もともとこの小説は、友人二人のポケ〇ンのプレイヤーネーム(「セモン」と「ハザード」)が「SAO二次の主人公の名前に使えるんじゃね?」というどーでもいー思い付きから誕生しました。最初は不定期更新(今もですが)、恐らく途中で終わって消滅するだろうな、という感覚で書き始めたのですが……皆さんの声援(?)のおかげで、ここまで来ることができました。
次回からはコラボ編『キャリバー』もとい『レーヴァテイン』、そののちオリジナル話となる予定です。
また、神話剣キャラも活躍する次回作を考えているところなので、そちらもお楽しみに。
最後に。
この小説の元ネタを考え出してくれた我が盟友S氏、HATHARD氏、ありがとうございました!!
そして、今日この日までこの作品を読んでくださった皆様に、無上の感謝を。
『神話剣』第二シーズン、及び次回作もお楽しみに!!
もう一度、
作者&神話剣キャラ一同『『『『ありがとうございました!!!』』』』
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