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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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レーヴァティン~クロスクエスト~
  プロローグ~灼熱の世界~

「レーヴァティン?なんだそりゃ」
「そりゃぁしらねぇだろうな。なんせ最近発表された伝説級武器(レジェンダリィウェポン)なんだから」
「へぇ……。どこにあるんだ?取りに行くんだろ」
「もちろんだ。で、場所だが。それがある場所の名前は―――――」


「ムスペルヘイム」


                    *


 ALOが救われて、ザ・シードシステムが実装されてから、もうすぐ一年がたつ。

 SAO帰還者(サバイバー)達にはALOにSAO時代のステータスとアバター外見を引き継げる特典があった。俺達の多くはその処置をとり、かつてと同じ外見・同じステータスのもと戦っている。


 ここで一応俺達のALOでの種族を説明しておこう。
 
 俺ことセモンと、コハクは《風妖精シルフ》。物理攻撃と魔法のバランスのとれた種族だ。
 続けてハザードの種族は《火妖精サラマンダー》。攻撃の得意な種族だ。
 シャノンの妹グリヴィネの種族は《闇妖精インプ》。強力な闇魔法と、特殊武器によるトリッキーな戦法をとることができる。
 ゲイザーの種族は《影妖精スプリガン》。魔法は苦手だが、基本ステータスのバランスは全種族一。暗視ボーナスもすごい。
 そして、シャノンの選んだ種族は、なぜか《鍛治妖精レプラコーン》。アイテム作成に長けた種族だが、純戦闘職の奴はなぜこの種族を選んだのか……。

 ちなみに他にも《水妖精ウンディーネ》《音楽妖精プーカ》《猫妖精ケットシー》《土妖精ノーム》があるが、《聖剣騎士団》メンバーにそれらの種族を選んだ人間はいない。ちなみにウンディーネはアルテミスが、ケットシーはケイロンが選んでいる。カガミは……なんだったか。
 
 
 つい先日、キリト率いるパーティーが《ヨツンヘイム》の巨大ダンジョンを制覇し、ALO最強の神器、《聖剣エクスキャリバー》を手にした。

 
 それとほぼ同時期に、公式サイトに新たなステージの公開と、新たな武器の存在が明かされた。

 
 それが……新ステージ《ヘル》と、新アイテム《魔剣レーヴァテイン》だ。

 

                    *



 アルヴヘイム、というのは北欧(ゲルマン)神話に登場する妖精たちの住む世界のことらしい(シャノンが無駄にその辺詳しい)。

 北欧神話には、神々の王、アース神族の住む《アースガルド》、かつて神々の王だったヴァン神族の住む《ヴァナヘイム》、妖精たちの住む《アルヴヘイム》、人間たちの住む《ミッドガルズ》、亜人族の住む《ニダヴェリル》、黒妖精や小人族の住む《スヴァルトアルヴヘイム》、水巨人たちたちの住む《ヨツンヘイム》、霜巨人の住む《ニヴルヘイム》、そして地獄の世界《ヘル(ないしはヘイル)》、という九つの世界があるらしい。

 で、今回その《魔剣レーヴァティン》とやらを取りに行くのが地獄の世界《ヘル》を構成する三つの層《ムスペルヘイム》《ミスリルヘイム》《ダークマター》の最上層、《ムスペルヘイム》なのだそうだ。

 シャノンの話によると、《ニヴルヘイム》以下の大地にはもはや世界樹の恵みすら届かず、ひたすら地獄のような世界が待っているのみなのだそうだ。

 《ニヴルヘイム》は闇と氷の世界。
 《ミスリルヘイム》は金属と光だけの世界。
 《ダークマター》は実態をなさない暗黒だけの世界。

 
 そして……


 
 ここ、《ムスペルヘイム》は、炎で構成された、まさしく地獄というべき場所だった。


「あ、暑い……」
「セモン厚着だもんね……」

 俺が呟くと、隣でコハクが答え、くすっと笑う。

「わ、笑いごとじゃねぇぞ……結構やばいこれ。熱中症になりそう……何で平気なんだシャノン」
 
 俺はこんなところにいるにもかかわらず厚着をしているシャノンに声をかけた。

「ん?簡単さ。僕はこういう暑さになれてるからね。僕の出身地は夏がすごく暑くて、冬はすごく寒かったんだ。こういう環境にはそれなりになれてる」
「すっげ~……グリヴィネは?」

 前を歩くシャノンの、斜め右後ろ、銀髪に黒いマフラーの少女、グリーヴィネスシャドウことグリヴィネにも問う。

「私はそもそもこういう気温をあんまり感じることがないですし。それに肩も出てますし、足も素足ですしね」

 確かにグリヴィネの服は肩が出ている(コハクのもだ)。それにスカートから覗く彼女の足には、ひざ下からのソックスと、その少し下からのブーツしかない。


「ああ……熱い…暑い……寝るなハザード」
「はふぇぐ!?!」


 隣で眠りかけているハザードをぶったたくと、奇妙な音と共に目を覚ました。
 

                     *



 ニヴルヘイムのダンジョン。そこに、一人のプレイヤーがいた。頭には特徴的なネコ耳。アルヴヘイム9種族の一つ、ケットシーだ。

 大剣をまるで重さなど感じないかのようにぶんぶん振り回し、巨人たちを薙ぎ払っていく。

 
 彼の名はゲツガ。SAO時代に《白い弾丸(ホワイト・バレット)》の異名でおそれられたプレイヤーだ。

 
「ふぅ……さすがに一人で邪神狩りは骨が折れるぜ」

 ゲツガは大剣を収めると、安全地帯に向かって歩き始めた。


 岩と氷でできたその安全地帯に、足を踏み入れた瞬間……


 
 ザザザザザザザザ!!!!

 と、視界にノイズが入った。


「え?」


 不意に、足元に真っ暗な大穴があく。


「おいおいおい!!マジかよおおおおおおおお!!!!」


 ゲツガは漆黒の闇の中に落ちて行った。




                      
 

 
後書き
 はい、みなさんお久しぶりです!!
 
 いよいよコラボ編《レーヴァティン》、始動です。

 今回は暗黒少年先生のゲツガ君が登場しましたね。さ~て、次回はどうなってしまうのか(内容と更新的な意味で)。

 
 次回もお楽しみに!!

 
 
 ……あ、そういえばね。ハザード、君の嫁候補になりえる性格のキャラを一人考えたんだ。

ハザ「……は?」

 うん。詳しい情報はまた今度。

ハザ「ちょっとまてぇええええええ!!?」


 感想・ご指摘、待ってま~す。

  
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