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八条学園怪異譚

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第二十八話 ご開帳その十

「基本霊体で来てやっつけられるんだ」
「じゃあ妖怪さん達にとっては怖い存在なのね」
「怖いっていうか厳しいね」
 そちらになるというのだ。
「相当な悪いことをしたら退治されるみたいだけれどこの学園は外への結界が凄いからそもそも悪い妖怪は入られないじゃない」
「ええ、そうよね」
「僕達が来られたのにもそうした結界を通られてだから」
 それでだというのだ。
「悪質な妖怪はそもそもいないから」
「じゃあ悪戯とかをしようとしたら?」
「出て来るよ」
 そうなるというのだ。
「そして注意してくるから」
「風紀委員みたいなものなのね」
「千里眼を持っていて瞬間移動出来るね、あと分身も出来る」
 仏の力でだ。
「それが出来るね」
「じゃあ無敵ね」
「お不動さんだからね」
 あらゆる魔を降す最強の明王だからだというのだ。
「その力は凄いんだよ」
「そうした人がいるから」
「そう、この学園の妖怪は大人しいんだ」
「そうなのね」
「人間が悪いことをするのも見ているんじゃないかな」
 そちらもだというのだ。
「この学園っていじめの告発とか裏で何をやってるかわからない先生や不良が死体になって発見されてるけれどね」
「先生ってあれよね」
 愛実はのっぺらぼうのその話に顔を顰めさせて言った。
「普通科の先生でしょ、全身切り刻まれて首切断されて学校の中で逆さ吊りにされたっていう」
「不良連中が無茶苦茶な死体で発見もされたね」
「お不動さんのお仕置き?」
 顔を顰めさせてのっぺらぼうに問うた。
「あれが」
「まさか、お不動さんは魔を降すけれどね」
「あんなことはしないの?」
「あれ絶対に人間がしたことだよ」
 のっぺらぼうもその声を曇らせている。
「絶対にね」
「人間がなの」
「仕事人みたいなのがいるみたいだね」
 いぶかしみ怪しむ感じでの言葉だった。
「どうやらね」
「妖怪さんでもわからないの?」
「僕達でもわからないことはあるよ、っていうかね」
 むしろといった感じで愛実に返す。
「妖怪も人間も変わらないから」
「ただちょっと外見や能力が違うだけなのね」
「そうだよ、だからわかることもね」
 それもだというのだ。
「限られてるよ、あと僕達や幽霊さん達は悪い心を持っているとこの学園に入ることは出来ないけれど」
「人間はそうじゃないみたいね」
 いじめやそうしたことがある、だから愛実も言う。
「いじめって何処にもあるからね」
「残念なことにね」
「人間への結界はないのかしら」
「それはないみたいだよ」
 のっぺらぼうの口調は残念そうなものだった。
「僕達もいじめ見たらこっそりお仕置きしてるけれどね」
「祟りみたいな感じで」
「うん、それでもわからないことが多いから」
「それでその仕事人みたいな犯人のこともなのね」
「相当残虐な奴なのは間違いないけれどね」
 これはその殺し方でわかることだった。 
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