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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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一緒に歩く道

次の休日。詩乃との約束の日
俺は待ち合わせ時間よりも約十分くらい前に待ち合わせ場所の駅前に到着した

「時間は……大丈夫か」

腕時計で時間を確認し、待ち合わせ時間まで少し時間があることに安堵する

駅前では俺と同じく待ち合わせをしているのか、腕時計を気にしながら辺りをキョロキョロと見渡している人々が大勢いる
その中に詩乃がいないのを確認すると俺は駅の壁に背をもたれさせて詩乃を待った

「燐! ごめんなさい、遅くなっちゃって……」

「大丈夫だ。そんなに待ってないしな」

時刻は待ち合わせ時間を数分オーバーした程度
この程度なら誤差の範囲内で収まる

「それに待ってる時間もデートの内だって」

「うん、ありがとう」

そうお礼を言う詩乃の服装は段々と寒くなる季節に合わせた暖色系の長袖のセーターにそれにマッチしたズボンとロングブーツを履いていた

「その……なんだ。服、似合ってる」

俺には全く服のセンスとかはないが(作者も)間違いなく詩乃に似合ってると思った

「え、あ、うん……ありがとう」

詩乃は顔を赤くして俯いた。そして、蚊の鳴くような小さな声でお礼を言った

明日奈が昨日の夜、電話で口酸っぱく会ったら服装を誉めろとか言ってたのだが……俺はそこまで女心がわからないやつじゃないぞ
和人のやつの方が例外だ

「じゃあ、行こうか」

「そうだね。燐と二回目の遊園地、楽しみ」

語尾に音符マークが付きそうなほど機嫌よく詩乃が返事をするのを聞くと、俺は詩乃の手を引いて遊園地へ向かうために電車に乗り込んだ

「なんか、夢みたい」

「なにがだ?」

電車の中で吊り革に掴まりながら唐突にポツリと詩乃は言葉を漏らした

「最初に燐と会ったときはこんなデートに行くと思わなかったもん」

「そうだな。最初はあんなに嫌われてたのに」

「もう、茶化さないでよ」

「ははは、悪い悪い」

こんな他愛もない昔話をしつつ、遊園地に到着する

「さてと……とりあえず回るか」

「うん。あ、燐」

「ん?ああ……」

振り返ってみると詩乃が手をこちらに差し出していた
もちろん、断る理由もなくその手を握る

「じゃあ、行こうか」

「うん。まずはどこに行く?」

「とりあえずジェットコースターはどうだ?」

「そうだね。じゃあ早く行こう」








††








「ふう……いっぱい回ったね」

「そうだな。さすがに疲れた」

ジェットコースターに始まり、結構大きな遊園地であるここのアトラクションは大体楽しんだ
今、目の前で回る観覧車以外は

「じゃあ、最後に乗ろう……観覧車に」

時間が過ぎるにつれて段々と詩乃の表情が硬くなっていき、観覧車を前にする時には無表情といっていいほど緊張しているようだった
その理由は理解しているし、俺がなにか言っても逆効果だというのはわかっている
だから何も言わずに手を引いて観覧車の一つのゴンドラ内へ入った

ゴンドラ内には灯りがないため陽の落ちた今、内部を照らすのは外に広がり街の星のようなネオンサインだけ
普段ならその美しさに見惚れ、感想の一つや二つ口から漏れるところなのだがお互いに緊張しているためゴンドラ内は上へ上へと上がる際に発生する僅かな金属音以外なんの音もしない

詩乃は外の景色に目を向けているものの、その瞳には外の美しいネオンサインが一つも映り込んでいない

そんな二人の様子なんてお構い無しにゴンドラはやがて観覧車で最も高いところへ到達する

詩乃は何かを言おうと口を開くが、まだためらっているのかすぐに口を閉じていまう

このままでは何も進展しないまま地上に戻ってしまうと考えた俺はこちらから切り出すことにした

「詩乃。あの日の俺の告白の返事を聞かせてくれないか?」

「う、うん。わかった……」

数秒間口をパクパク動かしていた詩乃はやがて手を握り締めるとしっかりとこっちを見つめ……

「私でよければ……その……あなたの側に居させてください!」

「もちろん、喜んで」

俺が一瞬の躊躇いもなく頷くと詩乃は涙を流しながら抱きついてきた

「やっと……燐の彼女になれた」

「そうだな。俺も詩乃の彼氏になれて嬉しいよ」

「本当に夢みたい……」

「詩乃……ちょっと離れてくれないか?」

顔を俺の胸板にすり寄せている詩乃の肩を軽く叩いて、顔と顔が向かい合うように体勢を変える

「えっと……なに?」

「その……すまないけど目を閉じてくれないか?」

さすがに今からする行為を考えると赤面は隠せない
俺の頬も赤くなってるんだろうな……と、どこか他人事のように考えながら面白いぐらいに慌てる詩乃を見つめた

「う、うん。一思いにやっちゃって」

「一思いにって……まあ良いけどさ」

目を堅く閉じて軽く唇を突き出している詩乃に顔を近付けて……ネオンサインをバックにキスをした

「……世のカップルはこんな恥ずかしいことを日常の習慣の如くやってるのか?」

「……信じられないけどそうみたいだね」

詩乃は顔をさらに赤くして俯きながらモジモジしている
うん、そうなる気持ちは俺もわかる

「さてと、余韻に浸っていたいのは山々だがもうすぐ下だぞ」

「えっ……もう?」

どうやら極度の緊張や多幸感で時間の感覚が麻痺していたらしい

「ま、これからもゆっくりと愛を深めていけば……」

「ちょ、ちょっと燐?!」

余韻もおさまり、いつもの調子を取り戻した俺
詩乃を軽くからかいながら下を見ると見知った人影がちらほらと

やっぱりついて来てやがったか、あいつら……

「よし、じゃあ降りるぞ。忘れ物さないか?」

「うん、大丈夫」

なんだかニヤニヤしている係員の人にお疲れ様でしたーと言われながら(十中八九あいつらのせいだ)俺と詩乃はゴンドラを降りた

そして、観覧車の乗り場のある建物の前にある階段を降りたところには二つの人影

「よう、燐。こんなところで奇遇だな」

「よう、和人。さすがに奇遇で済ますには無理があり過ぎると思うぞ?」

「あはは……キリトくん。やっぱり燐くんを出し抜くのは無理だと思うよ?何回かこっちに視線を向けてたし」

人影の正体はキリトとアスナの二人
追跡に気付いてはいたが、あえて放置していた俺
ちなみに詩乃は青天の霹靂だったらしくかなり驚いている

「そういうことだからそこのゴミ箱の裏に隠れきれていないスキンヘッドとベタな変装をしてベンチに座っているクライン。後ろから忍び足で近づいてきているリーファを呼んでくれないか?」

後ろをちらりと見るとリーファが固まった。ばれないとでも思ってたのだろうか?

「なんでだよ……なんで俺様の完璧な変装が!」

「遊園地にサングラス、マスク、目だし帽を身につけて新聞読んでいるやつがいると思うか?」

銀行にならたまに居そうだけど

「それでだ。成功したのか?」

「まあ……な」

「ふっ、まあそうだろうな」

「かーっ、そいつはめでてぇ! おい、エギル。こういう時は……」

「もちろんだ。俺の店を貸し切りにして騒ごうぜ?もちろんクラインの奢りだがな」

「クライン、太っ腹だな」

「おいおい、そりゃねぇぜ……」

エギルとクラインの漫才に茶々をいれつつ、女性陣二人から質問責めにあっている詩乃を見る

これからもよろしく

そう心の中で呟き、肩を落としたクラインを急き立てながらエギルの店へと歩いた 
 

 
後書き
作者の血糖値が凄い速さで上昇中
誰かインシュリンを! インシュリンの注射を!

インシュリン(ネタ小話)

詩乃「燐! 熊の○ーさんが風船を配ってるよ!」

燐「詩乃、はしゃぎ過ぎ。プ○さんはそんなに急がなくても逃げないぞ?」

プー「OH……まさか、こんなところで……」(小声)

詩乃「まあ、そうなんだけど……」

燐「それにプー○んや風船じゃなくて俺に集中してくれよ」

詩乃「う、うん……」

プー「It's show time……といこうか……うん?」(小声)

燐「じゃ、そろそろ行こうぜ?」

プー「Shit……着ぐるみを着て襲えば子供達の夢を奪ってしまう」(小声)

詩乃「うん!」

プー「次は無いぞ、燐……」(小声)

PoHさんのバイト先、着ぐるみの中の人(某黄色い熊)

真あとがき

自分で書いたもので口の中が甘くなってしまった蕾姫です
SAO二次で一番甘いと自負しております←
まあ、作者自身は彼女のかの字も見えない(中高揃って男子校)チェリーですけどね
つまり女心とか全くわかりません。服装なんてもっての他
詩乃のブーツはネット上の知り合いのホステスさんが秋はこれが重要だと言われたので付け足してみました
色の組み合わせ?なにそれおいしいの?

さてと、十分に糖分を摂取したところで次はキャリバー編+アシリ編&マザロザ編の種蒔きですかねぇ

木綿季の生存は……うん、なんとかして見せます
現在のプロットとして書いているのは理論的には問題ないかなって程度です

ではではー 
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