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久遠の神話

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第四十一話 鍛えた結果その十三

「そうだったかもね」
「そうだよね」
「今結構コメディー系も多いよね」
「ええ、そうよね」
「僕は韓流ドラマは観ないけれど」
 上城の趣味ではなかった。そちらは。
「それでもね」
「日本のドラマは好きなのね」
「うん、そっちなんだ」
「私も。日本ドラマ派だけれど」
「何か昔と比べたらドラマの幅増えたね」
 コメディー系も増えたというのだ。
「僕そういうのも好きだからね」
「嬉しいのね」
「ええ、結構ね」82
「シリアスも嫌いじゃないけれど」
 上城はこうも言った。
「僕はどっちかっていうとそっちかな」
「コメディー系ね」
「うん。あとこの前台湾のドラマも観たけれど」
「どんな感じなの?」
「いや、ちょっと」
 ここでだ。上城は言葉を少し詰まらせた。
「何ていうかね」
「何ていうかって?」
「普通さ、シリアスな場面での交通事故って」
 間違いなくそこがドラマのターニングポイントになる場面だ。
「跳ねられて。崩れ落ちたりするよね」
「まあそうなるわよね」
「台湾のドラマって違うんだよね」
 上城は言う。
「これがね」
「どうなの?台湾のドラマの交通事故って」
「跳ねられた人が吹き飛ぶんだ」
「吹き飛ぶ?」
「うん、吹き飛ぶんだ」
 そうなるというのだ。
「大砲から打ち出されたみたいになって」
「大砲って」
「本当にそんな勢いで吹き飛んで」
「シリアスな場面で?」
「そうなるんだよ」
「えっ、それって」
 樹里は上城に言われて首を捻った。怪訝な顔になって。
 それでだ、こう上城に問うた。
「どういうことなの?」
「だから。日本のドラマだとコントとかの交通事故がね」
「シリアスな場面で出るの」
「そうなるんだ」
 こう話すのだった。
「凄いよね、これって」
「ちょっと想像できないけれど」
「ネットで出るから。夜市人生とかで検索したらね」
「夜市人生?」
「そう、その名前で検索したら出て来るから」
「ううん、それでなの」
「台湾ドラマも日本のドラマと違うよ」
 上城も首を捻っていた。だがそれは樹里とはまた違う首の捻り方だった。同じ首を捻ることといってもである。
「日本の影響があるにしてもね」
「それでもなの」
「そうなんだ。色々と違いがあるよ」
「韓国ドラマともまた違うのね」
「全然違うよ」
 日本ドラマとも台湾ドラマとも違うというのだ。台湾ドラマは。
「本当にね」
「ううん、どんなのかしら」
「実際に観てみればわかるよ」
 言うよりもだというのだ。まず観るべきだというのだ。
「そうすればね」
「じゃあお家に帰ったらちょっと観てみるわね」
「夜市人生だよ」
 上城はあらためて検索する名前を述べた。 
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