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久遠の神話

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第四十一話 鍛えた結果その十二

「私はできるから」
「あっ、そういえば」
「結婚は十六歳からよ」
 樹里はにこりと笑って言った。
「それで上城君はね」
「十八歳だったね」
「高校生でもう結婚できるのよ」
「法律的にはそうだよね」
「実際に早い人だと」
 あくまでそういう限定はあってもだった。
「十九で結婚して子供いる人もいるじゃない」
「十代で子供もって」
「いるでしょ。実際に」
「うん、確かに」
 言われてみればそうだった。それもだ。
「いるよね。そうした人も」
「だから。大学を卒業して就職してからでなくても」
 そうしたかなり先でなくともだというのだ。二人の場合は数年後、高校生にとってはかなり未来の話である。
「何時でもいいのよ」
「何時でもって」
「上城君が十八になったらね」
「どうやって生活するのかな」
「大学は働きながらでも通えるわよ」
 実際にそうしている人もいる。もっと言えば高校生でもだ。だから定時制高校というものが存在しているのだ。
「そうしてもね。いけるから」
「だからなんだ」
「そう、結婚は何時でもいいのよ」
「十六、十八から」
「上城君はもうちょっと積極的でもいいのよ」
「積極的って言われても」
 生真面目な上城にとってはだ。それもまただった。
「やっぱり」
「就職してから?」
「それからじゃないと駄目かな」
「私だけが言うけれど」
 そうした自覚はあるがそれでも言うのだった。
「結婚は早くてもいいじゃない」
「早くても」
「そう。実はね」
 樹里の気持ちに気付いていないまま。少なくともはっきりとはそうである上城に対してだ。樹里派こうも言ったのだ。
「うちの学校高校生でも結婚できるのよ」
「えっ、嘘だよねそれは」
「校則見てよ。不順異性交遊は駄目でも」
 それでもだというのだ。
「結婚禁止とは書かれてないから」
「そうだったんだ」
「そうよ。校則に書かれていなくてしかも法律には触れていない」
 この二つが揃えばだというのだ。
「だったらいいのよ」
「十八になったら」
「うちの高校じゃ結婚できるのよ」
「高校生夫婦って」
 この言葉をだ。上城は自然に出した。
 そしてだ。こうも言ったのだった。
「昔ドラマでなかったかな」
「あっ、何か聞いたことあるわ」
「うん、何かあったよね」
「高校生で夫婦でね」
 かなり昔のドラマだった。上城が今言うのは。
「それで色々な騒動が起こってた」
「結構シリアスなドラマでね」
「昔ってシリアスなドラマの方が多くなかった?」
「昔はね」
 昭和五十年代まではいささか余裕がなかったかのかだ。そうしたドラマが多かったのかも知れない。樹里は言うのだった。 
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