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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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バトルファイター
  プロローグ

 
前書き
カエサル先生に舞台を貸していただきました。 

 
 優は、いつもの時間に起きて携帯を確認する。昨日寝た後のメールを確認するとすぐに洗面台へと向かう。長い廊下を歩いて洗面台に辿り着く。蛇口を捻り水を出すと歯を磨き、身だしなみを整える。そして完全に頭が覚醒し、優は素早く部屋に戻ってジャージに着替える。これが優の実家での過ごし方だ。

 ALO事件から一ヶ月と十日ほど過ぎた日、優は実家に帰ってきていた。ユキもアスナも残りの未帰還者たちは全員起きて今はリハビリなどを行っている。あの事件の首謀者の須郷は病院の前で捕まった。しかし、玖珂のほうは未だに眠り続けている。多分、ウィルスが何かしら使ったせいだろう、と俺はそう思っていた。和人は須郷と決着をつけるときにはペインアブソーバを切って戦っていたが特に感覚が一時麻痺だけで特になかったのだが、玖珂の場合は、アミュスフィアをとっても意識が戻らないでいる。

 優は、ざまあみろと最初は思ったが、どんどんその気持ちも失せて自分のせいでこうなったのだろうと思い始める。しかし、自業自得の部分もあるためになかなか、心変わりができない。

 と、考えているともうすでに家の外周を回り終えていたので、すぐに道場に向かう。この時間帯だと義父さんや義祖父さんはもうすでに鍛錬を開始している頃だと思うからだ。素早く道場の戸を開くと中では二人が試合形式で打ち合っていた。しかし、それは型を確認するかのようにゆるい動き、しかし、一回一回の打ち込みは鋭い。二人は優が入ってきたことに気付くと試合をやめて、挨拶をした。

「おはよう、優君」

「おはようございます」

「そんなにかしこまらなくていいよ。もう君も家族なんだから」

「すみません、前に目上の人に対しては失礼のないようにって言われてから、治してるんですよ」

「そうか、それはいい心がけだ。優君、あっちに行って体がなまってるかもしれないから僕がスパーリング相手にでもなってあげるよ」

 義父さんがそういうので頭を下げる。

「ありがとうございます」

 優は礼を言って、すぐに脱衣所に入る。自分用の胴着がなぜか家に来た時には用意されてあったのでそれに着替えてからすぐに脱衣所を出た。そしてヘッドギアなどの防具をつける。

「準備ができました。いつでもいいですよ」

「じゃあ、始めようか」

 そして互いに構えを取る。義祖父さんが合図とともに縮地法を使って義父さんは攻めてきた。まるで自動的に動いているように見えるほどの動きだが優はそれを拳を突き出して、阻む。

 それを避けられると優の横腹に向かって横一線に蹴りが放たれる。優はその蹴りの止めるではなく上から押さえ込んで軌道を逸らし跳ぶ。そして、その瞬間にかかと落としを決めようとする。しかしかかと落としは威力などは高いものの隙が大きいため、なかなか使えない。そこでパルクールを取り入れることによって少しは改善された。義父さんはそれを難なく交わして追撃として拳を叩きこんでくるがそれを飛んで受け流してやり過ごす。何度か打ち合うと義祖父が止めの合図を出したので二人はある程度の距離を取って礼をする。

「ありがとうございます」

「いや、正直、なまってると思っていたけど全然大丈夫そうだね。安心したよ」

「はい、一応イメージなどは焼き付けておいたんで」

「それはいいことだ」

 そして優は脱衣所に向かいながら言った。

「じゃあ、俺は朝ごはんの支度してくるんで今日はこれで」

「ああ、お疲れ様」

 そして優は道場にあるシャワーで汗を流すと道場を一礼して出て、キッチンに向かった。

 キッチンにはすでに美奈がいて料理の準備に取り掛かっていた。

「おはよう、美奈」

「あ、優さん。おはよう」

 挨拶を交わしたあと、優は自分のエプロンをつけて朝食の準備を手伝う。

「美奈、今日は何を作ろうとしていたんだ?」

「えっと、まだ特に決めてないけど」

「じゃあ、冷蔵庫を見て決めようか」

「うん」

 そう言って優と美奈は冷蔵庫の中身を確認する。冷蔵庫の中身は特に困ることのない程度に食材が揃えられている。優と美奈は健康によさそうなものを選んで決めた。

「じゃあ今日は、この煮豆とおひたし、シャケでいいね」

「ああ、ちょうどいいだろ」

 優と美奈は早速料理に取り掛かる。一人でやるよりはペースがだいぶ速かったのですぐに出来上がった。すぐに皿を並べると道場から義父さんと義祖父さんが、寝室などの部屋があるほうからはお袋が来た。

「あ、おはよう。優、美奈ちゃん」

「おはよう、てか顔洗って来い。すっごい眠そうじゃねえか」

「おはよう、確かにお義母さんなんか眠そうだよ?」

「そう?まあ、昨日は結構仕事の残りを片付けるの苦労したからね、少し睡眠時間が少なかったのかも」

「無茶するなよ」

「わかってるわよ。今日は休みだからこの後ゆっくりする」

 そう言って顔を洗いに行った。優は奈美と顔をあわせて苦笑する。

「でも、お義母さん、優さんが戻ってきて本当に元気になったよ。戻ってくる前はどことなく無理に笑顔作ってるみたいでいい気がしなかったから」

「そうか」

「ほら、二人ともせっかくの朝ごはんが冷めちゃうから早く食べよう」

「うん、じゃあ、お兄ちゃん起こしてくる」

 美奈はそう言って今から出て行った。優は席に座ると義父さんと義祖父さんも席に座る。そして優に言った。

「優君、君はどこの高校に行きたいか決まったか?」

「ええ、俺はあのSAO生還者たちが行くことが出来る学校に行きます。それとあまりこちら側にも迷惑をかけたくないんで」

「そうか、私たちはそう思っていないんだがな。まあ、君はいろいろとやりたいことをやらせてあげようってこっちも思っているから」

「ありがとうございます」

「いやいや、優君はあっちじゃろくに友達と遊んだりしてなかったと聞いたからね。高校生活ぐらいは自分で決めさせようってきみのお母さんと決めたんだよ」

 お義父さんとお祖父さんはにこりと笑った。と、途中、何か思い出したように言った。

「あ、そういえば君に頼みたいことがあるんだ」

「なんですか?」

「今は、ほとんどのVRMMOが止められているが唯一安全と言ってちゃんと稼動しているVRMMO。BFO、バトルファイトオンラインで家の型を取り入れて欲しいんだけど」

 そういわれた優はすこし耳を疑った。現在、ほとんどのVRMMOは稼動が中止されて今やもう出来ないかもしれないという状況だ。しかし、そんな中でまだ稼動しているものもあったのかと思う。

「いいですけど、どうやればいいんですか?」

「今度、BFOで大会があるんだよ。それに優勝したら自分の好きな型を入れられるって言うものがあるからそれで入れて欲しいんだ」

 それぐらいなら別にいいだろうと思い優は了承した。

「わかりました。頑張ってみます」

 そういい終えると同時にお袋と美奈、純が居間に入ってきた。

「義母さん!美奈は何で俺の気持ちを受け取ってくれないんだ!」

「純くん、いい加減そういうの止めてあげたら?美奈ももうそんな小さい子供じゃないんだから、そこまでしたら本当に嫌われちゃうよ」

「そうだよ!お兄ちゃんはシスコン過ぎるんだよ!」

 お袋の後ろに隠れた美奈はさすがに今の兄は怖いのか震えていた。

「何を言う、美奈!シスコンは個性だろ!だから、俺の気持ちを受け取ってくれ!」

「コラ、純!何度言えばわかるんだ!私たちはそんな子に育てた覚えはないぞ!」

 これにはさすがにお義父さんは激怒した。

「うるさい!俺は美奈に幼稚園の頃に結婚するって言われてからそれをずっと信じてるんだ!」

「お前、それはさすがにまずいだろ!」

 お義祖父さんも参戦する。こんなの毎日していて疲れないな、と思いながらご飯を食べる優。さすがにBGMは五月蝿すぎるが物とかが投げられなければ特に問題はない。優は目ご飯を食べ終わり、食器を片付けるとまだ言い争っている家族に向けて言った。

「そろそろ止めないと美奈と純は学校に遅刻するぞ。それにお義父さんとお義祖父さんはそろそろ町内の人たちが太極拳の演舞の練習に来ちゃいますよ」

 そう言うとようやく言い争いを止めて食事を急いで片していく。

「純、帰ってきたら道場に来い。お前のその根性を叩きのめしてやる」

 お義父さんは急いでご飯を食べながら言う。

「はっ、いいぜ。父さんより今じゃ俺のほうが強いんだからな」

 純も好戦的に言う。

「ふたりとも口の中に者を含みながら喋らない。行儀が悪い」

 優がそう言うと二人は黙々とご飯を食べ始める。しばらくして奈美はご飯を食べ終えると素早く食器を片付ける。

「じゃあ優さん、行ってきます!」

「ああ、行ってらっしゃい。気をつけてな」

 奈美を送り出す優は少し殺気のような視線を感じた。その視線の先はやはり純であった。

「お前、何でそんなに奈美と仲良くなってるんだ」

「お前は少し考えたほうがいいぞ、純。しつこいし、シスコン過ぎる」

「うるせえ、テメェもそういうか。帰ったらお前も道場に来い。俺がしめてやる」

「武術は暴力のために使うもんじゃねえだろ。まあ、いいだろ。少しは俺もお前の根性を叩き直したかったからな」

「そうか、じゃあ、優君。こいつを叩き直してくれくれよ」

 お義父さんは優にそう頼む。そして町内のご老人が来たのか少し騒がしくなっていた。二人は食器を片付けて道場に行ってしまった。

「じゃあ、俺もそろそろ行くか。帰ってきたら必ず来いよ。じゃあ行ってきます」

 そう言って純も学校に行った。皿を洗う優にお袋は話しかけてくる。

「優、こっちに帰ってきて楽しい?」

「ああ、楽しいよ。意外にこっちも刺激があるし」

 そう言うとお袋はふふと笑った。

「変わったわね、優も。まあ、あなたはだいぶ逞しくなったから仕方ないか」

 そう言って食器を優の隣においてから言った。

「じゃあ、私、また眠るからおやすみ」

「おやすみ」

 お袋は今から出て行った。優は皿を素早く片付けるとエプロンを畳んで椅子にかけてから部屋に向かう。先ほど言われたBFOを買いに行くためだ。

「まあ、少しは貢献したいしな。まあ、頑張って優勝を狙うか。だけどその前に純も叩きのめさないとな」

 優はため息を吐いた。だが、そんなことをしている暇わない。まずはBFOを買いに行くことにした。 
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