ソードアートオンライン VIRUS
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フェアリーダンス~エピローグ~
前書き
フェアリーダンスも終了。これからは少しオリジナルをやろうと思います。まあ、ちょっと舞台を借りようと思っていますが
優は携帯のバイブレーションによって目を覚ます。メールが入っていて、確認すると、相手は篠崎里香、もといリズベットからであった。
何かと思いメールを確認する。
ユキはあたしたちが何とかするから先に食堂で席を取っときなさい!
という文面だった。優はそんなの言う暇があったら授業をちゃんと受けろと送る。そして身体を伸ばしてパネルモニタを見る。素早く自分で大事と思う場所に線を引き、また昼寝に戻ろうとしたがチャイムが鳴ったのでやめた。
「それでは今日はここまで。課題ファイル25と26を転送するので来週までにはアップロードしておくこと」
鐘の音とともに教師が教室から立ち去ると、生徒全員が休み時間の喧騒さがやってくる。がやがやと声が聞こえる中、優は素早くマウスなどの道具をデイバックに詰め込むと席を立ち上がる。
「おう、優。相変わらず寝てんな」
前の席にいる和人が声をかけてくる。
「最近はバイトで忙しいんだよ。まあ、勉強の方はちゃんとしてるから問題ないさ」
「そうか、いいよな~、できる人間は」
「おいおい、それは嫌味か」
軽いやり取りをしてから和人も席を立ち上がる。それに気付いた、優と和人の共通の友人が声をかけてくる。
「あ、カズ、優。お前等食堂に行くの?なんなら席取っといて」
返そうとする前に隣に座る生徒がにやりと笑う。
「無理無理、今日は姫に謁見の日だろう、カズは。そして、優はいつもどおりだ」
「あ、そうか。チクショウ、いいなあ。リア充なんて爆発してしまえばいいのに」
「おい、物騒なことを言うなよ」
優は苦笑して言った。すると、ものすごい勢いで他の友人が優に詰め寄る。
「いや、特に俺らは優が一番のリア充と思ってんだぞ。毎日、毎日美女三人と一緒に食事しやがって、ハーレムか!?ハーレムなのか!?」
馬鹿一人を軽く小突いてから言った。
「何言ってやがる。俺、彼女いるし。他の二人はユキがまだ身体の調子があれだから面倒見てもらってるだけだ。弁当はその礼で渡してるだけだし」
「「「「リア充め!!爆発しろ!!」」」」
クラスメイトからはものすごい殺意のような視線をかわすために優と和人は教室を抜け出した。
「ああ、疲れた。何で教室を出るだけでこんなに疲れなきゃならないんだ」
「お前のせいだからな、優」
そんな感じのいつもどおりのやり取りをしながら食堂に着いた和人と別れる。食堂に入った優は窓側の席を取って携帯を取り出して簡単にニュースを見る。一通り目を通して携帯をしまうと、ちょうどユキとリズとシリカの三人が食堂に入ってくるのが見えた。
「おう、今回もお疲れ」
優は手を上げてそう言うとリズもシリカもユキも少し疲れたようすで椅子に腰を降ろした。
「ったく、彼氏がいるのに何で言い寄るかなぁ、男子ってのは」
「そうですね、ホント勘弁して欲しかったです」
「何で来るのにここまで疲れなきゃなんないの……」
リズ、シリカ、ユキはぐったりしながら呟く。なぜ彼女らがこんなに疲れているというとユキの身体に問題がある。ユキは、優が福岡に戻っている間にちゃんとリハビリをしていたがまだ筋肉が戻っていないためにマツバ杖を使用しているのだ。
ユキはアスナと同じ位美人のためにいろいろな男子から言い寄られているのだ。それを何とかしているのが学年の違うシリカやリズである。
「まあ、いつも悪いと思ってるから俺が変わろうとしてるのに何で変わろうとしないんだ?」
「何でってアンタの弁当が食べられなくなるでしょ!これだけの仕事で美味しい弁当をただでもらえるなんてお得じゃない!」
なんかとんでもない理由だなと思いながら優は大きな弁当箱を机に乗せる。
「さてと今日はどんなものが入ってるのかしら」
「リズ、じゃなくて里香さん自分の好きなものだけ取るのはナシですよ!」
「そうだよ、リズ、じゃなくて里香!そのせいで私たちの分が残り物になっちゃうんだから!美味しいからいいけど」
「なんとでも言いなさい。早い者勝ちよ!あと呼びにくかったらリズでいいって前から言ってるでしょ」
「おい、お前等少しは静かにしろよ。視線が集中してるだろ」
とリズたちはあたりを見回すと視線がこちらに集中しているのに気付き、顔を赤くして俯いてしまった。まったくと思いながら優は席を立つ。
「なんか飲み物買ってくるけど何がいい?」
「あ、私、イチゴヨーグルト」
「私はミルクティーで」
「私はカフェオレ」
上からリズ、シリカ、ユキの順番で頼まれ、優は自販機に向かう。と、その時、馬鹿の声が響く。
「おう、ゲツガ!」
ゲツガと呼ばれるのはいいのだがこの声は振り返らなくてもわかる。
「いい加減にこっちの名前で言ってくれよ、エン」
そう言って振り返ると二人組みの男が目に入る。一人はショートヘアで顔は無邪気、どこか年下を思わせる雰囲気なのだが同年代と言う、五十嵐縁。こいつとはSAOでたまたま知り合った友達と呼べる存在だが正直馬鹿すぎてついていけないときもあった。
「なんか馬鹿にされたようなきがするが、気のせいか?」
「お前が馬鹿って言われるのはいつものことじゃん」
そう言って笑う隣の奴は後藤春樹。エンの幼馴染らしく付き合いが長いためこいつの馬鹿みたいな行動がないか監視をしている。まあ、苦労の絶えない奴だ。
「よう、ハルも一緒か。どうしたんだ?」
「いや、俺らも飯を食べに来たんだけど、正直席が結構埋まってるみたいだから売店で何か買って帰ろうって話しになった時にちょうど優が通ったから」
「ふーん」
「ゲツガ、席開いてないか?お前の近く。もしくは女子の近く」
「開いてないし。つうかお前は本能丸出しだな、エン」
「チクショウ、まあいいや。今日のオフ会。お前も来るんだろ?」
「ああ、お前らも来るんだよな?」
「もちろん!美女目当てに!」
「大丈夫、こいつがセクハラしそうになったら俺が止めるから」
ハルはそう言ってエンの頭に拳を落としていた。エンは頭を痛そうに摩りながら、またなと言って去っていった。優はとりあえず紙パックのものを買い、急いで席に戻る。席に戻るとリズとシリカとユキが窓から外を見ていた。
「なに見てるんだ?」
「ん、あ、お帰り、ゲツガ君。なんかちょうどキリト君とアスナがいちゃいちゃしてるからそれを見てたの」
「あ、キリトの奴、学校の中であんなに近づいて……」
「リズさんが一ヶ月休戦協定なんて結ぶのが悪いんですよ」
「おいおい。つうか、俺はこっちでは優な。そっちのほうが言いやすいだろ?」
ゲツガはあきれながら紙パックジュースをそれぞれの席の前において弁当を開ける。そしてようやくリズとシリカも窓に向けていた視線を戻した。
「まあ、今日は夜があれだからサンドウィッチにしてみた。中身は野菜とハムに卵、カツもある。デザートは林檎だ」
「相変わらず器用ね。アンタがあっちでも料理ができて、こっちでも料理できるってなんか便利ね。一家に一台ほしいわね」
「どういう意味だよ」
「でもホントにすごいですね。器用ですし、こんなに美味しく作れるなんて」
「うん、本当に良いお嫁さんになれるよ」
「ユキ、誰が良いお嫁だ。俺は男だからな」
と、いつもと同じように会話をしながら昼食を済ませるとリズが言った。
「で、ユキもゲツガもあんたらも今日のオフ会には参加するんでしょ?」
「ああ、ついでに優な。もういいや、言いたいほうで言え。俺はエギルが用意するのが間に合うかわからないからシフト入ってるぞ」
「そうなの、あーあ、アンタとキリトには遅い時間に来てもらう予定だったのに。ま、いいわ。キリトだけに伝えとくけど、一応アンタも入ってるんだからね」
「わかったよ、まあ、そこんとこはエギルが調整してくれるだろ。まあ、キリトはスグを呼ぶから遅れるだろうし」
「直葉ちゃんもいるから私楽しみです」
「やっぱり、同じ妹だから?」
リズがそう聞くとシリカは頬をひくつかせた後に言った。
「そういう、リズさんこそすっかりお姉さんですよ」
「じゃあさ、私は?」
ユキがそう聞くと二人とも同時に答える。
「「天然」」
「ひどっ!私のどこが天然なのよ!ゲツガ君もそう思うでしょ!?」
「いや、こればかりは俺も否定できない」
「み、味方がいないよ~」
そんなユキを見ながら頬を緩める。そして優は窓から明日奈と和人の姿を見て改めて本当の現実があることを実感する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おい、優、お前ちょっとこれ作っててくれ!」
「わかった!」
学校が終わり、いつもどうりに優はエギルの喫茶店兼バーで料理を作っていた。もちろん、こっちに住むようになってからはなるべくあちらに負担をかけまいとエギルに頼んでバイトをさせてもらっている。
「しっかし、ホントお前って器用だよな。見かけによらず、俺より作るのうまいんじゃねぇか?」
「見かけによらずは余計だ。まあ、小さい頃からやってるからそれなりにな」
そしてできたものは皿に綺麗に盛り付ける。
「よし、できた」
「おーい、優。ちょっと買い物行ってきてくれ。ジュース買うの忘れてたわ」
「おい、未成年がいることぐらいわかってただろ」
優は肩を落としながら言うとすぐに外に戸口を開ける。
「俺が買ってくるから、何がいるんだ?」
「とりあえず、コーラとかてきとうに何本か買ってきておいてくれ。ついでに、もう始まるから店の入り口から入れよ」
「了解」
優は近くのスーパーにてきとうなジュースを買いに行くことになった。スーパーで色々と仕入れると優はスーパーを出る。
ゆっくりと帰る途中、明日奈、和人、直葉、ユキの四人とあった。
「あ、ゲツガ君」
ユキが手を振りながら近づいてくる。
「おう、ユキ。和人たちも」
「よ、相変わらず、バイトか?」
「ああ。ちょっと買出しに」
そして、優も和人たちとともにエギルの喫茶店に向かい始める。
「ねぇ、ゲツガ君は何でバイトしてるの?」
明日奈が聞いてくるので答える。
「まあ、一応こっちに戻ってきて実家のほうに迷惑をかけるのはやめときたいからさ。エギルに頼んでバイトさせてもらってる」
「へー、なんかどこかの誰かとは大違い」
明日奈は和人を見ながら言う。
「別に、こいつは仕方ないんだから俺は関係ないだろ」
と軽い会話をしながら歩いていく。数分後にはエギルの喫茶店に着く。和人を先頭にドアを開ける。中にはもうすでに全員が揃っていた。
「おいおい、俺らは遅刻してないぞ」
和人が言うとリズが近づいてきて言った。
「へっへ、主役は最後に登場するもんですからね。あんた達にはちょっと遅い時間を伝えておいたのよ。て、言ってももう一人の主役は今日はバイトがあると言う理由で早く来てたけどね」
「おい」
優がそういったあと、リズは和人と優の手を引っ張って店の奥の二人が乗るには少々狭いステージに押し上げられた。そして、音などが聞こえなくなると照明が当てられる。再びリズが声を上げた。
「えー、それではみなさん、ご唱和ください。せーのぉ!」
全員の唱和とクラッカーの音が響いた。
「キリト、ゲツガ、SAOクリア、おめでとー!!」
ゲツガは苦笑し、キリトはぽかんと口を開けた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おい、優。お前は今日はいいぞ。主役の一人が働いているなんておかしいだろ。お前はもう今日は上がれ」
「へーい」
エギルにそう言われたため、優はエプロンを脱ぐ。
「じゃあこれからは客としてな。マスター、ハイボール」
そう言うと一つコップがスライドしてくる。優はそれをキャッチすると中身を確認する。正直、優は酒とジュースの区別がつくわけなく、飲んでみる。
「おっ、ジンジャエールか」
「当たり前だろ、さすがに未成年に酒を出せるか」
そしてエギルは仕事に戻る。優もカウンターから移動することにする。と、その時に聞きなれている馬鹿の声が聞こえた。
「おう、ゲツガ。クリアおめでとう」
「エンか、ありがとな」
「ああ、おめでとう。ゲツガ」
「ハルもありがとう」
三人は固まって話し始める。
「しかし、結構女性って来たんだな。目の保養だ」
「おい、いい加減にそんないやらしい目で見るのやめろよ」
「相変わらずだな、エンもハルも。特にエンがいやらしいのは」
優はジンジャエールを軽く煽ると思い出したように言った。
「そういや、お前らは今日の二次会に来るのか?」
「ああ、行くとも。確か、イグドラシル・シティに十一時に集合だったな」
「俺も行くぜ。今回はあそこにまだ見ぬ食材があるんだ。俺はそれを探求しに行く!」
「まあ、馬鹿だけど、そういうのいいと思うぜ」
優はエンにそう言う。と大きな声が響く。
「おーい、あんたも来なさい!ゲツガ!」
リズの方を向くと顔が若干赤く酔ってるんじゃないかという感じだった。そういえばアルコール1・0未満のものが何個かあったな、と思い出した。優はため息を吐き、リズのほうに向かった。
これは、今日の夜は大変だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
仮想世界に入ったゲツガはケットシー領内で目を開ける。見慣れたくたびれた宿の天井をしばらく見上げ、身体を起こす。そして、宿から飛び出して一気に上空へ飛行する。前は飛行が有限だったが、今となっては空は限界高度までなら無限に飛ぶことができる。翅で飛ぶゲツガは一気に最高スピードまで出すとすぐに雲を抜けた。抜けた先には雲海が広がっていて、空に浮かぶ月がどこか幻想的な景色を作りあげている。
しかし、ゲツガの視界に一人のプレイヤーが限界高度まで飛んでいく姿を見た。その姿に見覚えがあるためゲツガはそのプレイヤーの下まで飛んでいく。そのプレイヤーは限界高度まで達し、加速しながら落ちていく。ゲツガはそのプレイヤーが雲海に着く前に受け止めた。
「限界高度まで登ってから落ちるなんて危ないことしてんな、リーファ」
リーファは瞼をあけて、驚いていたがすぐににこりと笑って離れた。
「……そう、ありがと……」
そして離れたリーファはしばらく黙っていたがやがて口を開いた。
「ねえ、優君、じゃなくて、ゲツガ君、何でキリト君とゲツガ君は他の人みたいになんで元の姿に戻らなかったの?」
ゲツガはそれを聞いて苦笑する。そして、世界樹の方を向いてあの戦いのことを思い出しながらリーファに言う。
「あの世界での俺の役目はもう終わったんだよ。キリトも多分こう答える思うし。それに、前の俺には失わなきゃならないものがあったしな」
ゲツガはウィルスのことが頭によぎる。まだ、あの身体はウィルスが取り付くかもしれない。だから、ゲツガはコンバートをせずに新しく始めたのだ。
「そっか」
リーファはそれを聞いて短く答える。そしてゲツガのほうに近づいてゲツガの手を取った。
「ね、ゲツガ君。踊ろう」
「え?」
ゲツガは急なことに目を丸くするがリーファはそんなゲツガを引っ張りながら雲海をすべるようにスライドしていく。
「最近開発した高等テクなの。ホバリングしたままゆっくりと横移動するんだよ」
「そうか、なるほどな」
ゲツガはリーファの翅の動きを真似て動かす。しかし、うまくいかないためちょっと自分なりにやりやすいやりかたを見つける。そしてリーファのように雲海をすべるように飛ぶ。
「こんな感じか?」
「そうそう、うまいうまい」
そして、その技術をマスターしたゲツガはリーファから手を離して停止した。
「どうしたの、ゲツガ君?」
「いや、今度は俺がエスコートしたほうがいいと思ってな」
そう言ってゲツガは腕をリーファに手を差し出した。
「リーファ、俺と踊ってくれるか?」
リーファはゲツガの手を取って微笑む。
「喜んで」
そしてリーファはポケットから小さな瓶を取り出す。その瓶の栓を開けると音楽が流れ始める。ゲツガとリーファはその音楽に合わせてステップを踏み始める。二人は時には大きく、時には小さく宙を舞う。両手を繋いで互いの瞳を見る。動きは完全にわからなくならないように互いの目の動きでアドリブで合わせる。
蒼い月光に照らされている雲海を滑るようなステップをする。そして、二人のステップの距離もどんどん遠くになっていく。と、ちょうど曲の音量が下がってきた頃だろうか、リーファの動きが止まる。
「リーファ?」
「あたし、今日は、もう帰るね」
リーファは微笑みながら言うが目の色は悲しみの色を浮かべている。そして、瓶も砕ける音が僅かに響いて消滅する。
「まだ、これからなんだぞ」
そう言うとリーファは涙を流しながら言った。
「だって……遠すぎるよ、優さんやお兄ちゃんの……みんながいる所。あたしじゃそこまでいけないよ……」
「スグ、そんなことないぞ。行こうと思えばどこにだって行けるんだ」
ゲツガはそう言ってリーファを引っ張って世界樹に向かって飛んでいく。世界樹がもう目の前まで見えるぐらいまで近づくとゲツガはリーファを受け止めた。リーファは驚き声を上げるが、ゲツガはふわりとなるべく衝撃が加わらないようにした。
「少し遅くなったな。……来るぞ」
「え?」
リーファはゲツガが指を指す方向に目を向ける。指を指す方は月。しかし、月以外何も見えない。
「月が……どうしたの?」
「ほら、よく見てみてみろ」
ゲツガはリーファにそう言う。リーファは月に被さるように出てくる城を見て驚く。ゲツガもその城を見ると口元を緩める。
「あ……まさか……まさかあれは……」
「そうだ、あれが浮遊城アインクラッドだ」
「なんであれがこんなところに……」
リーファが驚きの隠せない声で言う。ゲツガは世界樹の上部の枝付近に停止する城を見ながら言った。
「決着をつけるんだよ。今度こそ、一から百層まで完全に征服する。前は四分の三まで上がったけど裏わざと言うかなんと言うか……結局、完全にはクリアせずに帰ってきたからさ……リーファ」
そう言ってリーファの頭に手を置き、言葉を続けた。
「俺さ、弱くなっちまったからさ……あの城を攻略するためにはある程度レクチャーしてもらいたいんだが……頼めるか?」
「……あ……」
「迷うなよ、リーファ。俺たちには翅があるんだからどこまでも飛んでいける。それを教えてくれたのはリーファだからな。俺たちと一緒に行こうぜ」
ゲツガは再びリーファに手を差し出す。リーファは再び涙を流し、その手を取りながら答える。
「うん、行くよ……どこまでも一緒に……」
そして城を眺めていると声が聞こえる。その方向を見るとサラマンダーのクライン、ノームのエギル、レプラコーンのリズにケットシーのシリカを先頭に沢山のプレイヤーが城へと目指して昇っていく。
「ホラ、早く行こうぜ!」
クラインがゲツガに一言言うとすぐに城を目指して突進を開始する。他のプレイヤーも我先にと加速を始める。最後には黒いスプリガンのキリト、ウンディーネのアスナ、そしてプーカのユキがゲツガとリーファの前に静止する。
「さあ、早く行こう!ゲツガ君、リーファちゃん!」
ユキは微笑みながら手を差し伸べる。リーファはその手を取る。
「ゲツガ、今回こそクリアしようぜ。じゃあ、俺とアスナは先に行っとくぞ」
そう言ってキリトとアスナは先に上がっていく。ゲツガはにやりとすると言った。
「よし、じゃあ、今度こそクリアしに向かうぞ!遅れるなよ、ユキ、リーファ!」
そして、ゲツガ達も城を目指し昇り始めた。
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