自由の灯り
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第十二話
「ディア!目を開けてよ!」
「ミント!エステル!ディアに治癒術を!」
サレに腹部を突き刺され、意識を失ったディアは苦痛に顔を歪めながらどんどん血が地面に流れていく。
ミント、エステルはすぐに治癒術をディアに放つがディアの傷が治る事はなかった。
「駄目です!傷が深すぎて治癒術じゃどうにもなりません!」
「っく!なら急いでバンエルティア号に戻るぞ!」
「待ってください!まだ私の仲間がここに残ってるんです!」
エステルが必死に三人を説得すると、ヴェイグがコンフェイト大森林に残り、エステルの仲間を探し、シング、ミント、エステルはディアをバンエルティア号に運ぶことになった。
シング、ミント、エステルが勢いよくバンエルティア号のホールに入ってくるのをアンジュは驚きながら見ていると、シングに背負われているディアを見た瞬間、表情を変えながらシングたちを医務室に連れていく。
医務室に着くとアニーがディアの傷を見た瞬間、顔が青ざめてミント、エステルに治療の手伝いを頼むと、シング、アンジュを部屋から出し扉に鍵をかけた。
シングはディアといつも一緒にいるカノンノに伝えるため、アンジュを残し操舵室に向かう。
操舵室に着き、カノンノの姿を探しているとカノンノは奥で座りながら絵を描いていた。
「カノンノ!」
「シング、お帰り、皆帰って来たの?」
カノンノは微笑みながらシングに訪ねると、シングは一瞬言葉が詰まったが、重々しく告げた。
「ディアが・・・サレに刺されたんだ、お腹から凄い血を流して、意識を失ってる」
「え・・・・本・・当なの?」
「今、アニーたちが治療してる、だからカノンノもディアの所に来て!」
シングはカノンノの腕を掴むと、そのまま医務室に直行する。
医務室の扉の前に着くと、アンジュがシングに説明を求めてきた。
シングは今までの出来事を二人に説明し、説明が終わった時に扉が開き、アニー、ミント、エステルが中から出て来た。
「危ない所でしたが、もう命に別状はありません、今はベッドで眠っています」
「そう、よかったわ、ミント、それにシング君、ひとまずエステルさんを連れてホールに行きましょう」
アンジュはシングたちをホールに連れていくと、カノンノにはディアの側にいてあげてと言い残した。
カノンノは医務室に入り、ベッドで寝息をたてているディアを見る。
「カノンノさん、ディアさんは一週間ほど目覚めないと思います、傷が深かったのと、体力の消耗が激しかったみたいです」
「そっか・・アニー、私がディアの看病しちゃ駄目かな?」
カノンノはディアの側にあった椅子に座りながら、アニーに言うと、アニーは少しにやつきながら、カノンノに向かって言う。
「いいですよ、カノンノさん、恋っていいですね~♪」
「ふえぇ!」
カノンノは顔を真っ赤にすると、アニーはカノンノに質問してきた。
「カノンノさんはディアさんの何処が好きなんですか?」
「うぅ~、いっぱい好きな所があるよぉ~、優しいし、カッコいいし」
「ディアさんが眠ってるからって、既成事実を作っては駄目ですよ?」
「し、しないよ!」
完全にからかわれてる、カノンノはそう思いながら、恥ずかしさのあまり俯いてしまう。
カノンノをからかうのに満足したのかアニーは少し口元に笑みを浮かべながら、カノンノとディアを残し、医務室を出ていく。
カノンノは再び寝息をたてながら眠っている、ディアをみるとそのままディアの手を握る。
「ディア・・目が覚めるまで、私がずっと側にいてあげるよ、ディアとの約束はまた今度になっちゃいそうだけど、私は目が覚めたらこの気持ちを伝えるからね、大好きだよ」
そういうと、カノンノの手が強く握り返され、カノンノは驚きながらディアを見たが、ディアは先程と変わらず、寝息をたてていた。
カノンノもディアの手を強く握り、ディアの温もりを感じていると、睡魔がカノンノを襲い、カノンノはディアに体を乗せながら眠りについた。
ヴェイグは大森林に居た、エステルの仲間の、ユーリ、リタを見つけバンエルティア号に案内すると、アンジュたちがヴェイグの帰りを待っていて、全員が揃うと、エステルたちに説明を求める。
「あの、コンフェイト大森林にはガルバンゾ国の『星晶採掘地跡』があるんです。その採掘地跡で、変な現象が起きていると聞いたんです」
「変な現象?」
アンジュが首を傾げると、エステルに変わってリタがアンジュに説明をする。
「採掘された土地の生物が変化してるって話よ、明確にはまだわかってないけど、土地にある『星晶』を取りすぎたせいではないかって仮説を立てた学者を、国の評議会は世間を騒がせた罪として逮捕されたわ。で、それを知った、エステルが国を飛び出したから、ユーリに護衛を頼み、あたしは付いてきたってわけ」
「ならここで働かない?ここなら採掘地跡も調べられるし、それにあなたたちいく宛がないでしょ?」
アンジュの提案に三人は承諾すると、新しくユーリ、エステル、リタが加わった。
三日後
サレの戦闘、ユーリたちの加入から三日が過ぎると、エステルが『星晶採掘地跡』の調査依頼を出し、これにはヴェント、リッド、フィリアが依頼を受けた。
そのメンバーにエステルを加え、四人はコンフェイト大森林に向かった。
道中、森を歩いていると、エステルが今まで不安に思ってた事を先頭を歩くヴェントに言う。
「あの、ヴェントさん、一つ言っていいですか?」
「なんだ?手短に頼む」
「・・・道に迷いましたよね?」
「・・・多分」
もうとっくに目的地に着いてるはずなに、2時間も森を歩き続けていると、今まで口に出さなかった言葉をエステルが言ってしまい。
ヴェントを一番後ろにし、リッドとフィリアを先頭にし、30分かけてようやく元の未知に戻り、サレと先頭を繰り広げた、場所に到着する。
奥に進むと、ルバーブ連山に生息するオタオタの巨大バージョン、デカオタに遭遇する。
先に進みたくてもデカオタが邪魔して通れないので、ヴェントたちはデカオタを倒すことにし、それぞれの武器を取り出す。
「そんじゃ、いくか!」
「さっさと決めてやる」
リッドとヴェントがデカオタに突っ込むと、エステル、フィリアは詠唱に入った。
続く
後書き
久々の投稿です
今度はヴェントを使ってみました
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