DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第3章:武器屋トルネコと幼女騎士リューラ
第6話:妖狐擬態
(ボンモール北の森)
トルネコSIDE
見事なまでに迷ってます…
ボンモールを急いで出立し、北に広がる森を探索する事3日…
同じ所を歩いている様な感覚に陥り、些か困惑しております。
ボンモールの地下牢を急いで出た後、王子様に言われた事を思いだし城下の武器屋裏へと赴いた私達。
どんな無理難題を仰せつかるのか身構えていました…
しかし心優しい王子様は無理難題など言わず、一通の手紙をエンドールのお姫様に渡す様依頼をしてきました。
何でもボンモールの王子『リック』様は、エンドールの姫『モニカ』様と恋仲な様で、今回の“ボンモールによるエンドール侵攻”を防ぎたいと考えているみたいです。
軍の侵略準備が整う前に、手紙を渡すようにと頼まれました。
ボンモール・エンドール両王家にコネクションを作る絶好のチャンスです。
何とか私が戦争を防ぎ、両王家の信頼を得なければ!!
しかしながら現在橋が崩落中…それを直すドン・ガアデも行方不明…
橋修理の材料を調達しようと思ってましたが、ドン・ガアデを探し出す事の方が最優先です!
そう意気込んで森に入ったは良いが…
う~ん…困りました。
リューラさんの圧倒的強さのお陰で、私は傷一つ負ってませんが彼女の体力が心配になってきました。
そろそろゆっくりと休ませてあげたいのですが…
どうすれば森から抜けられるんですかね?
「トルネコ…何か…気配する…」
全方位同じ風景に辟易してきた私に、リューラさんが何かを訴えてきます。
何かの気配がするって…何でしょう?
誘われるままリューラさんの後に付いて行くと、見覚えのない村に到着した。
地図にも載っておらず森に隠れる様存在する村…
一体此処は何だろう?
畑仕事をしている村人は一人も居らず、点在する住宅からは人の気配はまるでない。
しかし色取り取りの花で飾られた道には、美しい村娘達が楽しそうに行き来する。
だが何処かがおかしい…何かが間違っている…そう思ってしまう村だ。
「トルネコ…この村…何かがおかしい…気を付けて!」
敵の気配は全然しないのだが、リューラさんは腰の剣に手をかけて、何時でも戦える状況を作り出している。
「と、取り敢えず…村の中を散策してみましょう」
リューラさん程ではないが、私も何かを感じている為、気を抜くことなく歩き出した。
そして程なく、住人の気配がする住宅の前に到着する。
他の住宅とは違い、人が住んでいる気配がするので、この村の事を聞こうと思いノックする…
だが、返事は疎か誰も出てくる気配がない。
室内で何かに夢中になっている様だ。
このままでは埒が明かないので、失礼とは思いながらも勝手に家の中へ入らせてもらう。
すると中には、ベッドの上で見つめ合い愛を語っている1組の男女の姿が…
直ぐ側まで近付いても、全く我々に気付かない。どうなってるんだ?
「あ、あの…すみません…」
「ん? 何だね君達は………あぁそうか! 新入りさんだね!? 私はドン・ガアデ…数日前にこの村に迷い着いた建築家だ。私も最初はこの村に驚いたけど、このリサーに出会って考えを改めたね! こんな素晴らしい村は今まで見た事がない! 何より私は彼女に惚れてしまってね…彼女も私の事を愛してるって言ってくれている…」
探し求めていたドン・ガアデは、私の存在に気付くと惚気話を織り交ぜ、この村の事を話してくれた。
要約すると“森の中で迷った彼は、この村に着き彼女に惚れ、この村で生きて行く事を決意。だから先程も他の事に気が行かず、我々のノックを無視し続けた”と言う事だ!
しかし困った…
やっと出会えたドン・ガアデは色ボケ腑抜け野郎になってるし、この森から脱出する事は出来ないし…このままでは橋が直らず、ボンモールとエンドールの戦争を止めた男として、脚光を浴びる事が出来ない。
私は目の前でイチャ付く馬鹿(ドン・ガアデ)を放っておいて、村の中を更に散策しした!
すると、村長と思しき人物の家に辿り着く。
こんな村の村長ならば、森の抜け方を知っているかもしれない。
今は一刻も早く森を抜け出し、助っ人を呼んでドン・ガアデに橋修理をさせなければならないのだ!
村長に森の抜け方を教わったら、あの阿呆(ドン・ガアデ)を引きずってでも連れて行き、橋を大至急直させよう!
(トントン)
「すいません…森で迷った旅の者なんですが…村長さんはいらっしゃいますか?」
私は営業スマイルに切り替え、出来る限りの低姿勢で声をかけた。
「どうぞ、開いてますよ」
中の住人から入る許可をもらい、腰を低くして家に入る…
そこには一人の優しそうなオジさんが…彼が村長さんだろうか?
「いらっしゃい…森で迷われたと言う事ですが、大変ですなぁ…どうでしょうか、今夜はこの村「キサマ何者だ!?」
優しい村長さんが、優しい口調で、優しい事を言ってくれている最中…突如リューラさんが剣を抜き放ち、凄い形相で村長さんを恫喝する。
「キサマは人間ではないな! 正体を現せ! さもなくば斬るぞ!」
鍛え抜かれた騎士の感覚なのか…何かを感じたリューラさんは、何時もの引っ込み思案な態度を一変させ、大迫力で村長に迫って行く。
「な、何の事ですか…? わ、私は…「黙れ…正体を現せと言っている!」
村長は顔を真っ青にして脅え言い訳をするが、リューラさんがそれを許さない。
これで本当は普通のオジさんだったら、私はどうにもフォローが出来ない…
『イタい子なんです』って言うしかできないです。
「くっ………! くそっ!」
観念した村長(偽)は我々から距離を取ると、腕を一降りして狐へと姿を変えた。
どうやらこの狐が森を迷いの森に変え、村の幻影を作り、ドン・ガアデを腑抜け野郎に変え、我々を困らせていたらしい。
だが正体が分かれば問題は簡単だ!
この狐を退治してしまえば良いのだ。
私もリューラさんに続き、腰の鞘から破邪の剣を抜き狐に迫って行く。
「ふん! お前達にはバレてしまったが、此処でやられる程オイラは間抜けじゃないんでね!!」
しかし狐はまたしても腕(前足?)を振ると、捨て台詞と共に姿を眩ます。
と同時に、周囲の景色も変化して行き、また森の中に戻されてしまった。
「あの狐…妖力を奪わないと…倒せない…」
もう敵が居ないと悟ったリューラさんが、鞘に剣を収めながら呟く。
そして思う…どうすればドン・ガアデを解放出来るのだろうか?
トルネコSIDE END
後書き
5月に入りました……
そろそろテコ入れの必要を感じております。
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