八条学園怪異譚
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第二十三話 犬と猫その四
「噂だけれど」
「そんな話があるわよね」
「この学校幼稚園から大学院まであって」
美紀は二人の微妙な目の光の変化にも気付いていなかった、その上で二人に話していくのだった。
「学科も学部も多いわよね」
「ええ、それでよね」
「怪談話も多いのよね」
「本当に何十もあるから」
「で、そのうちの一つになのね」
「犬猫ランドも」
「よくある感じの話だけれどね」
怪談話としてはだというのだ。
「それでもね」
「ええ、何ていうかね」
「ちょっと怖い話よね」
「まあそういうお話もあるのよ」
美紀はここまで話してこの話を収めに入った。
「で、それでこのアイスね」
「ええ、これね」
「美味しかったわよね」
「私も買ってみるから」
自分でもそうしたいというのだ。
「それで食べてみるから」
「そうするのね」
「これからは」
「ええ、それでね」
美紀はにこりとした笑みに戻って話していた。
「アイスってバニラだけじゃないから」
「他のも出たら買うのね」
「このバニラ以外にも」
「流石にバケツサイズで買わないけれどね」
このことは笑って否定する。
「それでもね」
「そうね、私も買ってみるわね」
「私も」
「僕も」
クラスメイト達は美紀の言葉に乗ってそれぞれ笑顔で名乗りを挙げる様に言い出した。
「これだけ美味しいとハーゲンダッツにも負けないし」
「あれより安かったら尚よし」
「だからね」
「是非買って食べたいよね」
「私的にはあれね」
美紀はにこにことしたまま話す、何時しか彼女がクラスの話の中心になっている。
「抹茶アイス好きなのよ」
「ああ、あれね」
「あれいいよね」
「和風テイストでね」
「一回食べると止められない」
「そんな感じよね」
「そう、抹茶アイスは奇跡よ」
美紀は抹茶アイスについてこうまで言い切った。
「日本において日本人が生み出したね」
「まさに奇跡」
「あんな美味しいアイスってないわよね」
「お菓子全体でも」
「抹茶、ね」
聖花も抹茶の言葉に反応を見せる、そしてここでも愛実に顔を向けて言う。
「ねえ」
「お抹茶ね」
「お店で出せるかしら」
「パン屋さんではどうかしらね」
「その辺り難しいわよね」
「そうよね、私もそう思うわ」
「抹茶パンとか?」
そんな話をする二人だった、二人は何につけてもまずはお店のことだった、それでこうした話も今するのだった。
そんな話もしてそのうえでだった。
二人は次の日の夜は動物園に行くことにした、夜にその入り口に行くと。
早速一匹の寅猫が来た、猫は二人の足元に来てだった。
「やあこんばんは」
「って、いきなりね」
「普通に人間の言葉で来たわね」
「まあ単刀直入にね」
見れば猫の尻尾は二本だ、つまり猫又である。
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