ソードアートオンライン VIRUS
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世界樹攻略
前書き
アルヴヘイムも終わりが近づいてきたし、新しいストーリーを考えるとします。
キリトが先に行っていた、守護者像前の広場に着地する。そこにはキリトとレコンがいた。レコンはキリトにそこで待っているときに何か話していたのかキリトは苦笑、レコンはすごく絶望したような表情をしていた。
そして、レコンは、リーファが帰ってくるのを見ると勢いよくかけてきて言った。
「リーファちゃん!さっき、キリトさんからいろいろなことを聞いたんだけど、このケットシーのどこがいいのさ!それなら僕のほうがいいとこあるじゃないか!?」
「あんたねぇ、キリト君からなに吹き込まれたの?」
「えっ、ゲツガさんは超が付くほどの鈍感だから結構女性を傷つけてきたって」
「ほう、キリト、一度殴られたいらしいな」
ゲツガは手をこきこきと鳴らしてキリトの方に向かおうとするがリーファに止められる。
「ゲツガ君、キリト君の言ったことほんとのことじゃない。それとも、全部嘘じゃないというとでも?」
「……」
本当かはわからないがリーファの目はどことなく光が灯ってないような感じの目をしていたのでゲツガは黙ってリーファに従う。
「まあ、それはほんとのことだけど、今からは私たちにはやることがあるの」
「や、やること……?」
レコンは首を傾げてみせる。
「そう。今から世界樹を攻略するのよ。ゲツガ君とキリト君とあたしとレコン。この四人でね」
「そ、そう……って……ええ!?」
顔面蒼白のレコンの肩をポンと叩くリーファを見て尻の下にしかれると絶対にヤバイなと考えた。そしてキリトにユイを呼ぶように言った。
「キリト、ユイを呼んでくれ」
「ああ、おーい、ユイ出てきてくれ」
そう言うと、キリトの手の上で光の粒子が凝縮しておなじみのピクシーのユイの姿を現す。ユイは口を尖らせてキリトの手の上に座った。
「もー、遅いです!パパかお兄ちゃんが呼んでくれないと出てこられないようになってるんですからね!」
「悪い悪い、ちょっと取り込んでてな」
苦笑するキリトはユイにそう言った。するとリーファの横にいたレコンがものすごい勢いでユイに顔を近づけた。
「うわ、こ、これプライベートピクシーって奴!?初めて見たよ!!うおお、スゲェ、可愛いなあ!!」
途端にユイは目を丸くしてキリトの胸ポケットに入ってしまう。
「ぱ、パパ、お兄ちゃん、なんなんですかこの人!?」
「こら、レコン!!ユイちゃんが怖がって隠れちゃったじゃない!!」
リーファはそう言ってレコンの耳を引っ張って胸ポケットにいるユイから遠ざけた。
「ユイちゃん、もう出てきて大丈夫だよ、それとゲツガ君とキリト君もこいつのことは気にしないでおいて」
「「あ、ああ」」
ゲツガとキリトは数回瞬きして改めてユイの顔を見た。
「ユイ、さっきのガーディアンとの戦闘で何かわかったことはあるか?」
「はい」
ユイはゲツガの問いかけに真剣な表情で答える。
「あのガーディアン・モンスターは、ステータス的にはさほど強くありませんが湧出パターンが異常です。ゲートへの距離に比例してポップ量が増え、最接近時には秒間十二体にも達していました。あれでは……攻略不可能難易度に設定されてるとしか……」
「ふん、個々のガーディアンは一、二撃で落とせるからなかなか気付かないけど、総体では絶対無敵の巨大ボスモンスターと一緒ってことか」
「ちりも積もれば山となる的な感じで雑魚を固めまくって数で押し切ろうってわけか。運営会社が何かこの上に隠してる可能性が高いな……」
「まあ、そうかもな。他にもユーザーの挑戦心を煽るだけ煽って、興味を繋げるってところまでフラグ解除を引っ張るつもりだろう。しかし、そうなったら厄介だな……」
「そうですが……異常なのはパパやお兄ちゃんのスキル熟練度も同じです。お兄ちゃんが最初から遠距離ではなく近距離から戦って瞬間的な突破力を生み出せば可能性はあるかもしれません」
「……」
ゲツガとキリトは考え込む。そして、互いに顔を合わせると苦笑した。ゲツガはリーファのほうを向いて言う。
「……すまないが、もう一度だけ、俺たちの我儘に付き合ってくれないか。ここで無理するよりは、もっと人数を集めるとか別ルートを探すかの選択肢もある。でも、時間が惜しいんだ。何かこの上で嫌な感じがするんだ。もう、時間の猶予が残されてないような、そんな気が……」
そう言うとリーファは何か考えるように顎に手を当てた。そしてしばらくの沈黙の後、はっきりとゲツガとキリトに言った。
「解った。もう一度頑張ってみよ。あたしにできることがあれば何でもする……。それと、こいつもね」
「え、ええ~……」
リーファは肘でレコンを突付いた。レコンは最初、情けない声をあげていたが、リーファちゃんと僕は一心同体なんだからこんなのへでもないとかいろいろなことを呟いたあとレコンは頷いた。
なにこいつ、怖いとか思ったのは多分俺だけじゃないだろう。そしてゲツガ達は再び攻略を開始しようと思うが、ゲツガは武器をこの中で投げ捨てたためなく、新たな武器を手にいに買い物から始めることとなった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
守護石像の前でクエストフラグを立てる。石造が動いて扉が開く。扉の中からは先ほどと同じように濃密な妖気のようなものが流れ出てくる。中に入るとあのステンドグラスから幾つかの泡が吹き出していた。そして、扉が閉じると同時に雫のように落ちてきて騎士の形を成した。それと同時にゲツガとキリトは叫んだ。
「行くぞ!!」
キリトとゲツガは同時に地を蹴って一気にドームの天蓋部分を目指して飛翔する。リーファたちは底辺付近で留まりスペルの詠唱を開始する。
天蓋部分から溢れてきた守護騎士たちはゲツガとキリトを倒すために殺到していく。しかし、ゲツガとキリトと交差した瞬間、複数の守護騎士たちが体を真っ二つに斬られていた。だが斬られた数の倍以上が回りにあるステンドグラスからどんどん沸いて出てくる。ゲツガとキリトが一気に五体を倒して上を見るが上は守護騎士によって完全に塞がって扉が見えない。と、後ろから剣が振り下ろされるのに気付き、素早くガードする。そしてゲツガはキリトの持っている剣よりも一回り大きい剣で弾き飛ばして蹴りを入れる。帰し甲冑は凹み内側から膨らんで爆発した。
ゲツガはさらに上へと目指そうと飛んだがあることに気付いた。少数だがリーファとレコンの方に向かいだしたのだ。どうやらここのモンスターたちは憎悪値等関係なくこの部屋の内部にいるプレイヤー全体を狙う設定になっているようだ。
リーファたちを助けに行きたいのはやまやまだが、ここまで上がるのは骨が折れる。それに気付いたのかリーファは叫んだ。
「心配しないで!こっちは自分たちで何とかするからゲツガ君は先に行って!!」
ゲツガはそれを聞いて再び上昇を開始する。上に行くごとにどんどんゲツガの周りを囲んでいる守護騎士たちの数が増えていく。
「どけぇぇぇぇぇええええ!!」
ゲツガは剣を横薙ぎにして前にいる守護騎士たちを吹き飛ばす。その後に追撃で一体の体に飛び付き、兜と甲冑のつなぎ目の部分を掴んだ。
「ぶっ壊れろぉぉおおお!!」
ゲツガは守護騎士の甲冑と兜を引っ張って分離させた。そして、そのまま兜を投げ飛ばす。ゲツガは体を離れると体は膨れ上がり爆発した。頭も同様に爆発して爆煙を撒き散らす。それに身を隠して新たな守護騎士に攻撃を加えて倒す。と、その時下から大きな爆発音が聞こえた。なんだと思い、下を確認したかったが新たな守護騎士に妨害される。
「クソっ!」
ゲツガは視界の端にあるパーティーメンバーの欄を確認するとレコンのネームが黒くなっていた。その横には髑髏マークが入っていて死んだことをあらわしていた。
「レコンの野郎……逃げればよかったのによ……格好なんてつけやがって……」
ゲツガは死んだ時に現れるマークの横に何か別のマークを見て奥歯をかみながら呟く。あいつは自爆魔法を唱えて死んだのだ。ゲツガは守護騎士を吹き飛ばして切り刻む。
「レコン、お前のことは変な奴って思ってたけど、なかなかの根性ある奴だな!」
そう叫んでゲツガは天蓋の元を急ぐ。しかし、天蓋の前にはびっしりと守護騎士たちが道を塞いでいる。
「うおおおおおお!!」
ゲツガとキリトは突き進もうと剣を鬼神の如く振り、騎士たちを倒して守護騎士の壁を凹ませていくがその壁も数秒後にはゲツガとキリトを押し出して再び形を戻していた。諦めてたまるか!、そう思い壁に再び突撃する時に竜が呻くようなときの声が聞こえた。
いったん距離を取ったゲツガとキリトは振り返る。そこには古代武具と思われる武具で身を固めた戦士たちが入ってきた。その戦士たちの鎧が新緑の色に輝いているため、多分、シルフだろう。五十人は超える数のプレイヤーが入ってきて天蓋部分を目指して上昇する。そして、その後には先ほど聞いた呻き声の正体が入ってくる。
「グルァアアアアアアアア!!」
竜だ。それも相当な大きさの竜だ。どの竜も体には金属のアーマーが装着されていて、どの竜にもプレイヤーが跨っていた。その背後にはケットシー、シルフの領主のサクヤとアリシャ・ルーの姿が見えた。
ゲツガは横を通るシルフの部隊に話しかけられた。
「おい、お前、あのバルダと引き分けたそうじゃないか。スゲーな。今度、俺とデュエルしないか?」
「いいけど、まずはこのクエストをクリアしてからだ」
「ああ、頼むぜ。お前さえクリアしてくれればケットシーは全員アルフになれるからそのあとのクエストが楽になるんだからな」
「まあ、上に行ければだけどな」
「そこは俺らに任せとけ」
そう言ってシルフの男は剣を上に構える。ほかの場所にいるシルフも全員、守護騎士たちに向けて剣を向けていた。そして竜もちょうど中間まで上がってくるとサクヤとアリシャが通る声で叫ぶ。
「ドラグーン隊!ブレス攻撃用ー意!」
「シルフ隊、エクストラアタック用意!」
そしてシルフたちの持っている剣の先に光が凝縮していく。竜の口にも赤い光が凝縮してどんどん大きくなっている。
「ファイアーブレス、撃てぇー!」
そして十体の竜の口から一気に凝縮された炎が放たれる。守護騎士たちはその炎に飲まれると騎士たちは一気にHPが減って爆散した。
「フェンリルストーム、放て!」
シルフの持っている剣の先からまばゆいグリーンの電光がほとばしり、中をジグザグに切り裂きながら進み守護騎士の体を貫く。今度は純白の閃光が走り視界を真っ白に染める。その閃光に当たったら爆発はしなかったが、その閃光に捕らえられた守護騎士は吹き飛ばされた。
猛攻によって中心は大きな窪みが生まれた。しかし、その窪みはまるで液体の表面が元に戻ろうかとするように、周囲からじわじわと盛り上がっていく。
今しかない、そう思ったゲツガは宙を蹴って飛翔した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ゲツガとキリトは窪んだ守護騎士の中に突っ込む。すこし後ろからリーファもついてきている。ゲツガとキリトは自らの剣を振るって窪んだ穴からさらに奥へと進む。その時、ゲツガの後ろを攻撃しようとした守護騎士がいたがそれはリーファが剣を弾いて倒す。
「リーファ、サンキュー!」
「後ろは任せて、ゲツガ君は前に進んで!」
ゲツガは前にいる守護騎士を殴り、怯んだところで甲冑の間に剣を突き刺す。無数に湧き出る守護騎士たちに抵抗するケットシー、シルフの同盟とゲツガ、キリト、リーファ。
「せらぁあああ!!」
「食らえ!」
ゲツガとキリトは気合とともに守護騎士を倒すと、その先に四つの石扉に閉ざされた扉が見えた。ゲツガとキリトは更に攻撃のスピードが増す。
「おおおぉ!!」
「そこをどけぇええええ!!」
絶叫してそこに向かうキリトとゲツガ。しかし、それを阻むかのように守護騎士がその前に立ちふさがる。数は六十を超える。
「キリト君、これ!」
そう言ってリーファはキリトに向けて長刀をキリトの空いている手に投げた。キリトはそれを掴む。
「う……おおおおおおぉ!!」
ドームを震わせるほどの咆哮をあげたキリトは長刀と大剣をものすごいスピードで振るわれる。ゲツガも負けず劣らずで剣と己の拳、脚を使い、守護騎士を吹き飛ばしていく。
そして、今度こそははっきりと見えた。この世界の真実が隠されている、アルヴヘイムの最後の扉。ゲツガとキリトは守護騎士の壁を突破してついにゲートまで辿り着いた。
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