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万華鏡

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第二十一話 夏休みのはじまりその十四

「私もね」
「じゃあ彩夏ちゃんも夏は?」
「ちょっと考えてみるわね」
「だよな。家に帰ってもな」
 美優も話に入って来た。
「暇でゲームしかしないしな」
「ゲームは夜でも出来るし」
 琴乃はゲームの話もする。
「朝でもいいし」
「朝なあ」
「部活はじまるの九時だから」
 いつもは八時の登校で朝練は七時半からだ。
「十二時までで塾は一時から四時まで」
「時間はたっぷりあるからか」
「そう、むしろ普段よりゲーム出来る時間もあるし」
 それはそれでいいというのだった、それでだった。
「いいと思うし」
「だよな。じゃああたしもな」
「美優ちゃんもなの」
「塾でパンフレット貰ってからな」
 それからだというのだ。
「父ちゃんや母ちゃんと話してな」
「それでなの」
「ああ、決めるな」
「私も。夏の神社ってね」
 景子は少し苦笑いになって神社の事情を話した。
「木が多いじゃない」
「景子ちゃんのお家の神社でもそうよね」
「木が多いから蝉もいて」
 これが問題だった。
「凄いのよ」
「ミーーーーンミーーーーンって?」
「竹やぶもあってね」
 このこともあった。
「ほら、竹切ってそこに水が溜まるわよね」
「それでそこに蚊が?」
「そう、そうなってね」
 またここで蚊の話になる、四人は何故景子が蚊帳にこだわるjのかがわかってきた、それはただ蚊嫌いではなかったのだ。
「凄く多くなるから」
「竹やぶって風情あるけれどな」
 美優はそれ自体はよしとした、だがだったのだ。
「蚊か」
「勿論森の中にもね」
「蚊が多いんだな」
「そうなの。神社って蚊が多くなるのよ」
「嫌だな、それは」
「日中でもいるから」
 蚊は夜だけに出るとは限らない、昼も出るものだ。
 景子はその蚊からも言うのだ。
「だからお昼はね」
「塾にいたいのね」
「蚊取り線香炊けばいいけれど」
「窓閉めてクーラーにするのは?」
「クーラーね」
「クーラー点けるまでが暑いじゃない」 
 だからだと琴乃に返す。
「それがね」
「嫌なのね」
「そうなの、クーラーはよくても」
 景子はそれには抵抗がなかった、扇風機の方が好きな様だが。
「窓を閉め切ってると」
「確かに熱気も篭って」
「しかも空気が悪くなるし」
「網戸にはしていてもよね」
「蚊は入るから」
「それで塾にいたいのね」
「神社にいなかったらいいから」 
 それで済むのならというのだ。
「もうね」
「そういうことね」
「ええ、夏は部活と塾よ」
 そして夜は蚊帳の中というのだ。
「蚊を避けるわ」
「蝉もなのね」
「そう。ただ蝉ってね」
「蝉って?」
「子供がどんどん捕っていくのよね」
 そうなるというのだ、子供は昆虫採集が好きなものだ。その中には蝉も含まれているのだ。 
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