吾輩は猫である
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無印
吾輩、のんびりする
モグモグハフハフムシャムシャ。
昨日は結局晩飯を喰えなくって、腹がずっとキューキュー鳴る始末だ。
そのせいか薫達にうるさいと言われ、外で寂しく腹を鳴らしながら寝ました。
「お前の腹の音はキューキューみたいな可愛いものじゃないだろ」
「雷みたいでうるさかったね」
「……ゴロゴログギュルルルル……みたいな感じ」
「そのせいで寝不足なのだ……Zzz」
「飯を喰わせてくれなかった耕介が悪い」
「材料がほとんど切れてたんだから仕方ないだろ」
「だからって猫にタマネギ渡すなや! 吾輩じゃなかったら死んでるかもしれんぞ!」
そう、吾輩は今生のタマネギを喰ってます。
え? あのハフハフは一体なんだだって? 気にするな、気にしすぎるとハゲるぞ。
「かおす……涙が止まらない……」
「鼻をティッシュとかで塞げば楽になるぞ」
「女に何をさせるんだ」
「くぅ……本当だ……」
「久遠!? 女の子なんだからそんなことしちゃダメ!」
「Zzz」
「カオス、美緒を起こして。そろそろ学校行かないと遅刻しちゃう」
美緒の寝てる姿をじっと見る。
こいつ、なんて無防備に寝てやがる。これは悪戯するしかないではないか。
吾輩は喰べてるタマネギから一枚だけ剥がし、美緒の鼻に近づけ、一気に鼻の中に絞り出す。
昔、修学旅行の時友人達が吾輩にした「絶対に一発でスッキリ起きれるいじめに近い起こし方ver2.1」を美緒に実践した。
「――――――――ッ!!!」
鼻を押さえ、滝のような涙を流し、声にならない悲鳴を上げながら、美緒は床を転げまわる。
「美緒~、遅刻しちゃうから行くよ」
那美が転げまわってる美緒の襟首を掴み、引きずっていく。
「がおずぅぅうぅおぼえでろよぉぉぉおおぉぉっ!!」
「モン〇チ1缶で覚えてやろう、にぼし1袋でも可」
美緒の雄叫びが聞こえてくるが放置でいいだろう。
「かおす……ゲームしよう……」
「ん? ゲームか、いいぞ」
久遠が吾輩の服を引っ張ってきた。どうやら暇だからゲームがしたいようだ。
「どんなゲームがしたいんだ?」
「……これ」
どれどr――――
「デッドスペース……だと……」
久遠さんや、なんでこんなグロゲーを持ってはるんですか? てか、こんなのが趣味だったのか?
「昨日、美緒がゲームショップで中古5本入りの奴を買ってきた……」
美緒か……やっぱり美緒か……
「ほ、他の4本はなんだったんだ?」
「くぅん……これ」
さて、なd――――
「デッドアイランド、サイレン、バイオハザード、零。……まともなゲームがねぇ!」
なんだよ! 春のホラーゲーム祭りか? このゲームショップに文句言ってやる!
「……ダメ?」
ああ、そんな悲しんだ目をしないでくれ! 吾輩は! 吾輩はッ!
「も、もちろんいいぞ! 今セットするからな!」
「……うん!」
美緒の部屋からPS3を持って来て、リビングのテレビに接続する。
ディスクをセットして開始する。
「(デッドスペース2か……死体を踏まないとアイテムが出ないんだっけ?)」
「かおす……これどんなゲーム?」
「ゾンビみたいな化物をエンジニア(笑)が工具(兵器)で(四肢を)ぶっ飛ばすゲーム」
「バイオ?」
「それよりもグロい」
「楽しみ……!」
「oh……」
久遠がフンスカフンスカと鼻を鳴らし、興奮してる。
あれ、久遠ってこんな性格だっけ? ホラー大好きなのか? 確かに夏のホラー映画祭りや心霊祭りを進んで見てたな。でも何故か那美が怖がって見ないようにしてたが、気になるのか指の隙間から覗いてた。
てかおい那美、お前霊とか人外とか相手にしてるのになんで怖がってるんだよ。あの時お前の隣にいた奴(薫&久遠)なんて放送してた霊より遥かに強くって恐ろしいだろ。
「かおす……これどうすればいい?」
「ここ、何もできないからとりあえず逃げよう」
「分かった」
拘束されているアイザックさんが逃げる逃げる。あ、攻撃喰らった。
その後、何の問題も無く進んでいき、工具とキネシスを手に入れた。それからキネシス無双が続いた。
「それにしても久遠上手だな」
「……バイオ4をハンドガン縛りでクリア余裕(キリッ」
え、廃ゲーマークラスだったのかお前。
2年間一緒にいたけど全く気づかんかった。美緒と何かしてるのは知っていたが。
「くぅ~……敵、弱い……えいえい」
ダクトから不意打ちで出てきたネクロモーフを華麗に避け、すぐさま体勢を立て直し、冷静に的確に四肢を切断していき、そのままネクロモーフの遺体を踏み潰していく。
久遠はなにか物足りなそうにしながらも死体を踏んでいる。
「うわ……出てきたと同時に敵が死んでいく……」
「楽勝……(キリッ」
めっちゃドヤ顔してやがる。く、悔しい、でも可愛いッ!
ドヤ顔をする幼女ってこんなに可愛かったのか、これが美緒だったら根性焼きか腹パンは確定だったな。
結局クリアまでは行かなかったが半分近く終わった辺りで久遠が飽きたのか寝てしまい、アイザックさんはグチャグチャにされてしまった。
久遠をソファーに寝かせ、吾輩は暇になった。
「何もすることがない……」
そうだ、美緒のバイト先に行こう。
たしかペットショップだっけ? 名前はたしかフ、フレ……フレデリカ? まあいいか、場所は知ってるし特に問題はない。
そんなこんなでペットショップ「フレンズ」に到着。フレデリカじゃなかったのか、たしかバイクが欲しいからバイトしてるんだっけか?
「なっ?!」
店の中から美緒が出てきた。
「なんでここにいるのだ!?」
『暇だから遊びに来た。モンプ〇奢れ』
「今仕事中だし、誰がお前なんかに奢るもんか!」
『それはいいとして、そんなに大きな声で叫んでいいのか?』
「ハッ! うぅ……//」
自分の痴態に気づいたのか顔を茹でダコのようにした美緒が完成した。
『十分いじれたし、満足したから吾輩行くわ』
そう言って吾輩は美緒の前から去る。
「もう来るなーーーー!!」
また大きな声出して、周りの人達がすっごい生暖かい目で見てるじゃないか。
吾輩は今、木に吊るされてます。ああ、星が綺麗だなぁ~。
「薫ちゃん、そこのドレッシング取って~」
「ほら」
「こーすけ、このハンバーグうまいのだ! モグモグ」
「食いながら喋るな。頬にご飯粒付いてるぞ」
「くぅ……那美、次私」
「ご飯のおかわり欲しかったら言ってね」
ワイワイガヤガヤ
ハンバーグか~、いいな~、喰べたいな~、今日も晩飯抜きか~……えぐっ。
吾輩悪くないのに……なんでこんなことに――――――
――2時間前
美緒をいじった後、寮に戻った。
まだ寝ているであろう久遠を起こすために久遠の寝てるソファーに向かう。
「久遠おk――」
ソファーの上には、寝てる間に脱げてしまったのであろうあられもない姿の久遠がいた。よだれで頬を濡らし、巫女服は大きくはだけ、そこからは白玉のような白く美しい肌に慎ましい胸が見える。さらにその山の上には美味しそうなさくらんぼがある。袴も何故か半脱げになっており、ぱんt……パンツ履いてません! 胸は仕方ないけど、下は履いていて欲しかった……!
今日は久遠のこと再確認できたな。知りたくなかったことまで知ってしまったが。
「久遠~、起きろ~」
「くぅ~……はむっ」
ッ! 毛布を咥えた!?
「あむあむ……油揚げ美味しい……」
か、かわええ……おっと鼻血が。
「んん~……zzz」
オウフ、マルミエヤ。
吾輩はロリコンじゃない! 吾輩は紳士だ! ブツブツ……
よし、とっとと起こそう、いろいろ危ない、主に吾輩の理性が。
「起きるんだk――「「ただいま」」え?」
「え?」
「ん?」
「「「……」」」
見つめ合う吾輩と薫と那美、もう7割ほど脱げ、寝汗とよだれで濡れてる久遠、そしてその久遠を起こすために触れている吾輩。
……これはヤバイ。
「待て、誤解するんじゃないぞk「かおす……だめ……嫌ぁ……」……」
これ死んだな吾輩。
「カオス、言い残すことはあるか?」
「最後に聞いてあげる」
「……最後に……モ〇プチを山ほど喰いたかった……」
「「却下」」
「ぎゃぁぁぁああああぁっぁぁあっぁあああぁあぁぁぁぁぁああッ!!!」
近所に吾輩の声が響き渡る、愛さんに聞いたところどうやら病院まで聞こえてたようだ。近所の皆さん本当にすいません。
朝、久遠にこっそり助けてもらった。ありがたい、でもこうなったのはお前のせいなんだぞ?
腹減った……久遠が誤解を解いてくれるそうだが、解けるまで寮に戻れない。ならどうする? 月村家か高町家に行くしかない。でもいっぱい喰いたいから月村家に行くしかない。
着いた……! もう少しで飯のはず……待っててくれ吾輩のご飯……!
『お、おやびん……』
『カズオ!!』
『いや、ジャk』
月村家に入ったらカズオ? がボロボロになって倒れていた。
『パパスしっかりしろ!』
『違う、ジャk』
『クソォ! いったい誰がミサワにこんなひどいことを!!』
『ふふふ、聞いてくれません』
「ご飯ですよ~」
わーい♪
「ふにゃっ?!」
え? 部下の猫? そんなことより飯だろ常識的に考えて。
ああ、2日ぶりの飯うめぇー!
でも、可愛い部下をあんなにした奴にはきちんとO☆HA☆NA☆SHIしとかないとな。
今日のご飯
タマネギ
高級キャットフード
後書き
これが日常です。実にのんびりですね(笑)
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