ヘタリア大帝国
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TURN61 過ぎたる兵器その六
「数は多いが烏合の衆だ、いや張り子の虎だ」
「大した相手ではないですか」
「敵は」
「そうだ、素人が一人で動かしているだけだ」
こうルースの動かす艦隊を看破した。
「どうということはない」
「それならここは」
「どうされますか?」
「波状攻撃を仕掛けて圧迫する」
これが東郷が選んだ戦術だった。
「そして相手に心理的圧迫を強いていく」
「初心者に対してですね」
「初心者にはこれが一番利く」
その波状攻撃で戦力を一気にではなく随時減らしていくことがだというのだ。
「圧迫していく」
「わかりました。それでは」
「焦らずそうしていく」
秋山にあえて焦らずとも伝える。
「それでいいな」
「ではまずは艦載機を出します」
秋山は具体的な攻撃の指示も述べ東郷もそれをよしとした。そのうえでまずは艦載機から攻撃を仕掛けていく。
まずは旧式艦の艦隊からだった。次々にその艦艇が火を噴いていく。
ルースはそれを見てかなりの狼狽を見せた。
「何っ、来た!?」
「プレジデント、どうしました?」
「敵が来たぞ、攻めてきたぞ!」
「大丈夫ですよ」
マンハッタンの返事は能天気なまでに明るい。実は彼もまた軍事知識はない、やはりシュミレーションゲーム一つしたことがない。
だからルースにこう言うだけだった。
「数はこちらの方が上ですから」
「勝てるか」
「しかもそのシステムはプレジデント一人で動かせますから」
「だから大丈夫か」
「はい、まさに大船です」
だから安心していいというのだ。
「ですからご安心下さい」
「わかった。では三時間だな」
「それで決めて下さいね」
「よし。では今から決めよう」
ルースはマンハッタンの言葉を根拠なく信じた。そしてだった。
彼はダメージをものともせず攻撃を仕掛けた。だがその攻撃も。
攻撃ポイントも決めず艦載機もビームも滅茶苦茶に出すだけで何にもなっていない、まさに素人の指揮であった。
太平洋軍はその攻撃を何なくかわし攻め続ける。そして。
二時間程経つとガメリカ軍の艦隊は半分程度にまで減っていた。これには秋山も驚きを隠せなかった。
「また随分と一方的ですね」
「そうだな。こちらは殆どダメージを受けていない」
対する太平洋軍の損害は五パーセントも達していない。
「ここまで一方的な戦いはな」
「かつてありませんでしたね」
「全くだ。だが」
「だが、ですね」
「まだ戦いは終わっていない」
それで油断するなというのだ。
「それはいいな」
「わかっています。油断をすれば」
「敗れることもある、このまま攻める」
そうするというのだ。
「最後の最後までな」
「途中で降伏するでしょうか」
「どうだろうな」
東郷は秋山の今の言葉にはかなり懐疑的に返した。
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