ヘタリア大帝国
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TURN61 過ぎたる兵器その五
「妙なことが多いな」
「そうですね。これは一体」
「全軍積極的な攻撃は仕掛けるな」
東郷はここは様子を見ることにした。
「妙な相手だ。だからだ」
「それ故にですね」
「様子を見たい、それではな」
「わかりました」
秋山が東郷の言葉に頷いてだった。
そのうえで彼等は今は相手を見極めることにした。敵は無闇に攻めてくる。
しかも一糸乱れる、一つの生命の如き動きで仕掛けてくる。だがその肝心の攻撃は。
ビームを放つ場面で放たない、ただ前から来るだけである、艦載機を出すのもやけに襲い、鉄鋼弾の射程をわかっていない、それはまさに。
「素人か」
「そうですね」
東郷も秋山もわかってきた。
「素人が一人でな」
「艦隊を動かしている感じですね」
「シュミレーションゲームだ」
東郷は相手をこう評した。
「ゲームをはじめたばかりのな」
「初心者ですね」
「軍人の動きじゃない」
東郷は完全に見切った。
「それだ」
「そうですね。訓練や教育を受けたものではありません」
「指揮官は」
「ミスターだ」
アメリカが二人にモニターから言ってきた。
「大統領自ら指揮にあたっているな」
「ルース大統領は確か」
秋山は東郷の話からこう言った。
「軍務に就いたことはない筈です」
「その通りだ。そんな経験はないぞ」
「趣味としてシュミレーションゲームをされたことは」
「確か恋愛育成ゲームが好きだぞ」
「戦争のシュミレーションゲームの経験もないですね」
「それもないぞ」
「つまり完全な初心者ですね」
こと軍事に関してはだというのだ。
「だからあの動きですか」
「しかしあれだけの統制は何だ」
東郷は素人そのものの指揮ながら完全に一体化している今のガメリカ軍の動きを見て秋山とアメリカに問うた。
「一糸乱れない、あれだけの動きはそうはできない」
「ドロシーの技術を応用したのかもな」
「ドロシー=?ドロシー=ノイマン長官ですか?」
秋山はドロシーの名前を聞いてすぐにアメリカに問い返した。
「ガメリカ共和国科学技術庁長官の」
「その通りだ。話は長くなるが」
「率直にはどんな技術ですか?」
「アンドロイド、それも一つのつながりで連動して行動、学習できるシステムだ」
「ではその行動ですか」
「そうみたいだな。マンハッタンか?」
アメリカは直感的に彼の存在を思い出した。
「確か今はミスターの首席補佐官だからな」
「マンハッタン博士といいますと」
「ガメリカの科学工学の権威でもあったな」
東郷は彼のことをこの分野で知っていた。
「その御仁の開発か」
「僕はそう思うぞ」
「では今は大統領が一人でその連動して行動できるシステムで百個艦隊を全て動かしているのか」
東郷はこう推察した。
「つまりそういうことか」
「多分そうだな」
「よし、わかった」
東郷はここまで聞いて頷いた。
そのうえで全軍にこう命じた。
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