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ヘタリア大帝国

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TURN61 過ぎたる兵器その七

「降伏に対してもですか」
「応じない、いや応じ方を知らない可能性もある」
「だからですね」
「最後まで戦わないといけないのかもな」
「それは少し厄介ですね」
「そうなってもやるしかない」
「では」
「覚悟はしておこう」
 最後の最後まで戦うこともまた、というのだ。そうしたことを話して攻撃を続ける。
 そして遂に三時間になった。すると。
「アグッ!!」
 ルースが突如として苦しみだした。座ったまま呻く。
 その彼を見てマンハッタンはこう告げた。
「あっ、三時間ですね」
「三時間経つと」
「先程も申し上げた通りそのシステムは三時間が限度なんです」
「どうなるのだ、動けなくなるのか」
「いえ、使用者の脳にかける負担が半端でないので」
 それでだというのだ。
「それ以上の使用は脳に深刻な障害を残しかねないですよ」
「か、構わん」
 だがルースはそのシステムを被ったままマンハッタンに返す。
「私はまだいける」
「あっ、戦われますか」
「そうだ。この程度で諦めることはしない」
 ルースは彼なりに意地があった。大統領として、そして彼自身のその意地があった。
 だからこそマンハッタンに呻きながら言うのだった。
「決して」
「ですがタイムリミットですよ」
「どうでもいい。私は戦う」
「まあ。プレジデントがそう仰るのならいいですが」
 マンハッタンはここで科学者としても述べた。
「僕にしてもシステムのデータが得られますし」
「君にとってもいいことではないか」
「じゃあお願いします」
「そえではな」
 ルースは戦闘続行を選んだ、そしてだった。
 彼はそのかなり減った戦力でさらに攻める。だが。
 その攻撃は相変わらずでしかも陣形も杜撰だ、とても戦争になるものではなかった。
 そして遂に包囲された。東郷はこの状況でアメリカに言った。
「降伏勧告をしようと思うが」
「いいと思うぞ。だが」
「そうだな。相手が聞くかどうかはな」
「聞かないぞ」
 アメリカもこう考えているのだった。
「今のミスターだと」
「そうだな。しかし采配がさらに酷くなっているな」
 包囲されて今度は上下左右三百六十度に無闇に攻撃を仕掛けている、それで反撃を加えると数はさらに減っていく。
 東郷はそれを見てやや首を傾げながらアメリカに話す。
「支離滅裂どころじゃない」
「素人どころか」
 秋山も今のルースの采配を見て述べる。
「何か異変が生じている感じです」
「痙攣して呻いている様だな」
 東郷は今のルースの采配をこう評した。
「それだな」
「旗艦はあれだな」
 東郷は艦隊の中の一際巨大で見事な新造戦艦を確認していた。
「あの戦艦を中心に動いているからな」
「ではあの戦艦を沈めますか」
「いや、あの戦艦以外の艦艇を全て沈める」
 そうするというのだ。
「そしてだ」
「さらにですか」
「あの戦艦に乗り込むか」
 接舷して切り込むというのだ。
「そうして大統領の身柄を確保するか」
「撃沈すれば戦死となりかねないからですね」
「流石に一国の大統領を戦死させるのはな」
 外交的な判断としてまずいからだった。東郷の今回の判断は彼が好まない政治的なものだったがそれでもこう言うのだった。
「そうしなくてはならない時だからな」
「だからですか」
「長門が自ら行くか」
「では私に任せてもらおう」
 その長門の艦橋に山下が出て来た。 
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