ヘタリア大帝国
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TURN61 過ぎたる兵器その四
「それならここで私が百個の艦隊を手足として使ってだね」
「太平洋軍に勝てば」
「ガメリカの勝利だ」
ルースはその椅子に座りながら話す。
「では今から目指そう」
「はい、ただ」
「ただ。何かね」
「その兵器は結構脳に負担をかけますから」
設計の段階でそれはわかっていることだというのだ。
「出来るだけ短期間で戦闘を終わらせて下さいね」
「短期間か」
「そうですね。三時間が限界でしょうか」
マンハッタンはタイムリミットの時間も告げた。
「それを過ぎれば」
「脳への負担が大きくなり過ぎてか」
「そうです。ですから気をつけて下さいね」
「わかった。ではすぐに終わらせる」
少なくともルースはそのつもりではある。
「すぐにね」
「ではそういうことで」
「さて、そろそろ来るかな」
ルースは銀河を見ながら呟いた。
「敗れる相手が」
その百個艦隊で迎え撃つ態勢は整っていた。ワシントンの戦いは今まさに幕を開けようとしていた、その中で。
東郷率いる太平洋軍もワシントンに入った。彼はそのガメリカ軍の艦隊を見てまずはこう言った。
「数はあるな」
「はい、百個艦隊です」
「問題は誰が指揮をして動かしているかだが」
「どう考えてもです」
秋山は東郷に話す。
「やはり」
「人は残っていないか」
「艦艇だけです」
「ではやはり無人艦隊か」
「そうではないかと」
「それならそれで戦い方がある」
東郷は落ち着いた顔で秋山に話す。
「機械は決まった動きしかしないからな」
「そういうことですね。では」
「全軍まずは前に出る」
前進させるというのだ。
「そして様子を見よう」
「では」
秋山も東郷の指示に頷く。そうしただった。
太平洋軍は前に出た、すると。
ガメリカ軍は突進してきた、そしてだった。
太平洋軍に果敢に攻撃を仕掛けんとしてくる、秋山は彼等の動きを見てやや驚きの声をあげた。
「これは」
「どう思う?」
「コンピューターの動きではありません」
これが秋山の見立てだ。
「とても」
「そうだな、これは違うな」
「コンピューターはこうした場合様子見になりますが」
「しかし今の動きは」
「我々の動きを見ていません」
まさにそうした動きだった。その急な突進はそうしたものだった。
「そのうえできています」
「コンピューターはこちらを見るからな」
「そのうえで判断してきますので」
「だが今の動きは違った」
「彼等の戦力、数だけを頼りに来ています」
「しかもだ」
それに加えてだった。
「一糸乱れない動きだ」
「見事なまでに」
「一人の人間が動かしている様にな」
東郷は今の動きからそこまで見抜いた。
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