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ヘタリア大帝国

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TURN61 過ぎたる兵器その三

「ミッちゃんはね」
「ミッちゃん?」
「ミスタープレジデントだからよ」
 キャロルはいぶかしむ日本にこう答えた。
「だからミッちゃんなのよ」
「そういうことですか」
「ええ。あれで悪い人じゃないんだけれどね」
「今はおかしくなっているんだ」
 アメリカもそのルースのことを話す。
「完全に我を失っている」
「そうなのよね。だから何をしてくるかわからないわよ」
「少なくとも徹底抗戦はしてくるな」
 東郷もこう読んでいた。
「あの大統領一人でもな」
「一人で軍艦は動かせません」
 福原が東郷の今の言葉に答える。
「それでは戦闘にすらならないのでは」
「普通はそう思うがな」
 東郷はその福原に答える。
「だが」
「だが、とは」
「あの大統領も根拠なく徹底抗戦を主張したりはしないからな」
「では何か切り札が」
「ゲイツランドにあった様な無人で遠隔操作ができる兵器があればな」
「それはワシントンにはないぞ」
 アメリカがその可能性を否定する。
「すぐに製造したのなら付け焼刃だから動くかどうかさえ危ういぞ」
「ああした兵器は運用が難しいんだよ」
 実際に使っていたキャヌホークも言う。
「だから急に製造して使用するのなら」
「怖くはないか」
「そう思うのが普通だろうね」
 キャヌホークはこう東郷に軽い調子で話す。身振りもそんな感じだ。
「正直派手な戦いにはなれないだろ」
「確かに艦艇は多くあります」
 クーも激しい戦闘になる可能性はないと見ていた。
「しかし。人がいないのでは」
「動くものじゃないよ」
 キャシーも他の面々と同じ考えである。
「あの大統領だけでどうするんだよ」
「何をどう考えても戦闘にはならないわ」
「その通りです」
 タイプが全く違うクリスとイザベラだが今の考えは一致していた。
「ただ軍を進めればね」
「それで済むと思いますが」
「俺もそう思うがさっき偵察に送った部隊から報告があった」
 ドワイトが一同に話す。
「何でも旧式艦を含めて百個艦隊はいるらしいな」
「百個!?面白いジョークだよ」
 ネクスンはドワイトの今の話に明るい笑みを出した。
「今のワシントンにそんな戦力がある筈ないじゃないか」
「しかし偵察部隊はそう言っている」
「無人艦を全自動で動かしているのなら怖くないさ」
 そうした艦隊は人間のコントロールとは違い鈍重でしかも決まりきった動きしかできないからである。そんなものはもう今の太平洋軍の敵ではない。
「まさに張り子の虎だよ」
「その通りだな。しかし百個艦隊もあるとなると」
 東郷は念には念を入れるという考えから述べる。
「こちらもしっかりとした戦力を送ろう」
「では今回も」
「全艦隊ワシントンに向かう」
 東郷は日本の問いに合わせて全ての提督達に告げる。
「そしてそのうえでガメリカとの戦いを終わらせよう」
「うん、絶対にそうしよう」
 アメリカは彼の言葉に強い声で答える。こうして。
 太平洋軍はワシントンに入った。ルースは既にガメリカ軍の今の旗艦であるデイビットに乗っていた。しかし艦橋にいるのは一人だ。
 しかも彼は司令の席ではなく機械の、歯医者の椅子を思わせる席に何かを目まで完全に隠して被ったうえで座っている。その何かからはコードが無数に出ていてそれで椅子のあらゆる場所とつながっていた。
 その椅子に座りながらモニターに映るマンハッタンに問うた。
「さて。これがだね」
「そうです。僕の開発した兵器です」
 マンハッタンは明るくルースに話す。
「今展開している百個艦隊全てをです」
「私が好きなだけ操れるのだね」
「その通りです。全てはプレジデントの思うがままです」
「ははは、それはいい」 
 ルースはマンハッタンの説明に機嫌をよくして言う。 
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