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ヘタリア大帝国

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TURN61 過ぎたる兵器その二

「分厚いステーキがメインで」
「おお、ステーキか」
「はい、それにパンケーキにアイスクリームもありますので」
「どれもどっさりとだね」
「あります。好きなだけお召し上がり下さい」
「そうしよう。やはり力の出るものを食べなくてはな」
 ルースはマンハッタンが話したメニューを聞いて今度は楽しげに笑った。
「満足に働けない」
「その通りですね」
「君達もどうかね」
 ルースはハンナとアメリカ妹にそのメニューでテーブルを共にしようと持ちかけた。
「遠慮はいらんよ。好きなだけ食べ給え」
「遠慮するわ。それにしても食べるものまで変わったわね」
 ルースは今までヘルシー志向だった。そのメニューもカロリーを抑えてビタミンが多いものだったのだ。だが今は。
「貴方、もう別人よ」
「これが本来の私とは考えないのかね?」
「全く。けれどいいわ」
 ハンナは大統領の執務用の机に座るルースに忌々しげな目を向けて告げた。
「貴方の行く末、見届けてあげるわ」
「私の勝利をだね」
 ルースだけが言う。だが誰もがわかっていた。
 アメリカ妹は官邸の己の部屋に戻ると共にいるハンナに彼女達の昼食を二人で摂りながらこう言ったのである。
「もうあれじゃあね」
「破滅は近いわね」
「絶対にね。それにマンハッタンの兵器だけれど」
「間違いなく碌なものじゃないわね」 
 ハンナはそう確信していた。そのうえでよく焼いたベーコンのステーキをフォークとナイフで切って口の中に入れている。
「どういった代物かわからないけれど」
「ドロシーが造っていたCOREを元にしてるのよね」
「COREについては私も殆ど知らないけれど」
「あたしは国家だから知ってるけれどもうデータの殆どは完全に破棄されたわ」
「じゃあマンハッタンも」
「知ってることは僅かよ」
 そのCOREのだというのだ。
「あいつの頭に少し残ってるのだけよ」
「それだけでなのね」
「ええ、造ってるから」
「COREの主な部分はないのね」
「全くね、ないわ」
 それは間違いないというのだ。
「今考えると相当やばいシステムだけれどね」
「その危険な部分はないのね」
「ええ。ただ」
「ただ?」
「あの大統領に扱えるものじゃないわね」
 このことは間違いないというのだ。
「どう考えてもね」
「そういう兵器なのね」
「本当は止めたいけれどね」
「今の大統領は何を言っても無駄ね」
「ええ、どうしようもないわ」
 アメリカ妹は苦い顔でマッシュポテトを食べながらハンナに答えた。マッシュポテトはいい味だったが彼女の顔は苦い。
「やっぱり負けるしかないわ」
「そうね。もうね」
 二人はルースの行く末を見守ることにした。そうすることが彼女達の今の仕事であると自覚はしていてそのうえでだ。
 太平洋軍は遂にワシントンまで駒を進めることになった。アメリカは作戦会議の場で東郷にこんなことを言った。
「ワシントンの将兵はもう殆どいないぞ」
「残っていないか」
「あらかたこっちに投降したからな」
「それだと後は兵を進めるだけか」
「それで終わる筈なんだ」 
 アメリカはここでこうも言った。
「けれどミスターは」
「ええ、徹底的にやる気よ」
 キャロルが難しい顔で答える。 
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