夏の終わりの忘れ物
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平凡な日常と君の愛
俺は現在に戻ってきた。どうやら眠っていたらしい。起きた時には、次の日の朝早くだった
今日は、デートの日だったな
俺には彼女がいる。一応だが。相手から告白されてそんなに好きでもないのに付き合っていた。まだ4年前の彼女のほうが好きだ
だが、いまさら振ってガッカリさせたり最悪な野郎だとうわさされるよりは、今のほうがいい
俺は服に着替え、待ち合わせ場所に行った
「待ったよ!もう、遅いじゃん!」
「ごめんごめん」
彼女は少し怒った顔で俺を見た。ショートヘアーで背は高く、学校ではかなりモテる彼女なのだが、よりによって俺を好きになるなんて思わなかった
実は性格が好きじゃない。かなり重い女なのだ。すぐうつ病になる、すぐ死にたいとかいう、めんどくさい性格だった
本当のうつ病はそんなんじゃねぇよと内心思いながら、俺は今日も彼女と過ごしていた
ゲーセン、プール、喫茶店、公園にも行った。少しだけ、楽しかったかな
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
日が傾き始めた。たくさん遊んだ俺たちは帰ることにした。日が傾き始めてるのにやけに日差しが強く、蝉の声が聞こえ、アスファルトからも熱が伝わってくる真夏日
ふいに、4年前のあの日を思い出した
交差点、信号が青に変わり、普通にわたり始めた、その時。遠くからスピードを落とさずこっちに向かってくるトラックがあった
きっと止まるだろうと思いながら、俺はわたっていた。だが、彼女は違った
ドンッ
急に彼女が、俺を突き飛ばした。3歩ほど前に出た俺は、後ろを振り返って「あぶねぇなぁ」というつもりだった
はずだった
ドシャァン!!
「え・・・・・」
トラックに何かがぶつかる音、そのあとひかれた赤い線。目の前には赤い塊があった
ついさっき俺を突き飛ばした彼女はどこだろう。あぁ、彼女は俺を守ったんだ。そんなに好きだったんだ、俺のこと
そこまで好きでいてくれるなら、俺もお前の命を守るよ
「5分前に、戻りたい」
目の前が真っ白になり、俺は5分前へと戻った
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