夏の終わりの忘れ物
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過去は変わらない
俺は平凡に暮らしていた。平凡で幸せな、それはそれはありきたりな人生を。よくある人生を生きていた
君がいる、君が死んでいない。君がいて、平凡で、幸せで
・・・・・・・・・・・なのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんで君はまた死んじゃったんだ?
階段から足を滑らせ、落ちて、死んじゃった。手を伸ばしてもどれだけ未来がわかってても、届かなかった手、少しだけ、ほんの少しだけ届かなかった手
すべての責任は俺にあった。
なんで、なんで、なんで・・・・・・?
後悔ばかりがつのる。涙も出ない。あぁ、またやり直そう。10分前にでも戻って、またやり直せばいいんだ
その時、俺は階段の上を見上げた。すると、そこに、髪の長い少女が立っていた
「だから言ったでしょ?どんな過去も、やり直せないよ、過去は過去で、変えられないんだって」
「なんでそんなこと言うんだよ・・・・・やり直したっていいだろ?!」
俺は怒鳴った。すると、少女は冷静に答えた
「じゃあ、またやり直す?どんなに頑張っても、彼女の死は変わらない。どれだけ死の瞬間を変えても、それはほんの少しの延命に過ぎないって、気づくわよ?」
その瞬間、心に何かが刺さったような感じがした。なんなんだろう、痛いところを突かれたというか、図星というか・・・・・
・・・・本当は俺だって気づいてたんだ。きっともうこれはダメだってわかってたんだ。でもあがいてた。死から彼女を逃がしてあげたかった
でも、やっぱり・・・・・
俺は、現在に戻ることにした
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