ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第48話 邂逅
前書き
まずはお詫びを。
これまでよりマシな更新速度になるとか言っておきながら、またしても間が開いてしまいました。
申し訳ありません。
新生活に向けた準備が意外と手こずってしまいまして。
一人暮らしであることに変わりはないんですが、やっぱり引越しって大変ですね。
そして明日からはついに社会人です。
明日は朝から入社式があったりします。
今後の更新速度は……どうなっちゃうんでしょうね?
とりあえず4月9日から1か月研修で東京から四国に行くことになるんで、その間は更新ができないかもしれません。
向こうは回線がないらしいんで。
夜は結構暇らしいんで、執筆自体はできるかもしれないんですけどね。
カキーン
私は飛んできた野球ボールを難なくグローブでキャッチする。現在放課後、普段ならオカ研の部室でだべってる時間なんだけど、今日は皆で野球の練習をしていた。理由は簡単、もうすぐ球技大会があるからよ。部活対抗の競技が何の球技になるか分からないということで、ここ最近は昼休憩と放課後に皆で様々な球技の練習をしてる。立案者は部長。
しっかし私もこの十数年で随分と変わったと思う。前世ではどちらかと言うとインドア派で運動も苦手だったのに、今ではこうして普通に野球なんかもできたりするし、運動自体も結構好きなんだよね。いやまあインドアな方もわりかし好きなんだけど。何にしてもこの世界にきてから色々変わって私の視野もずいぶん広くなったと思う。
それにしても、私はいいんだけどイッセーなんかは結構きつそう。早朝特訓に授業、この練習に剣道部、悪魔の仕事と毎日結構ハードだもんね。多分黒姉たちがここ最近毎日寝る前に仙術で体力回復してあげてるから保ってるんであって、それがなければ倒れてるわよね。
さて、そっちはまあいいとして……問題はこっちよね。私は目下、懸念している人物へと視線を移す。そこにはボーッとした表情で突っ立てる祐斗が。この間イッセーの家でアルバムを見てからいつもこう。原作を知ってるから理由もわかるし今後解決することも分かってるんだけど……やっぱり何とかしたいわよね、こうやって直に見ちゃうと。それに原作通りの展開になると結構危険だし。原作通り、皆無事で切り抜けられるなんて保証どこにもないしね。……いやまあ龍巳がいる時点で大丈夫だとは思うんだけど。
「木場! シャキッとしろよ!」
イッセーが祐斗に声を投げかける。部長の打ったボールをキャッチする素振りも見せずに頭にぶつけちゃったから。これは重症ね。普段の私生活にも影響を及ぼしそう。はてさて、どうしたものやら……。
と、そんなことを思ってると部長がまた野球のマニュアル本を読みだした。それを見てグラウンドに散らばってた私達も一箇所に集まりだす。
「そう言えばイッセーくん、ご存じ?」
「何をですか、朱乃さん?」
「最近部長ったら、恋愛のマニュアル本なんて読みだしたんですのよ?」
「恋愛のマニュアル本!?」
イッセーがたいそう驚いてる。うーん、イッセーって今部長のことどの程度好きなんだろ? 原作じゃ今頃は既にガチで惚れてたはずだけど、このイッセーは黒姉や龍巳、白音と子供の頃から交流があったわけで、そうなると誰の事好きなのか分かんないのよね。イッセーの好みを考えると黒姉が最有力候補だとは思うんだけど。イッセーの好みってどちらかと言うと姉属性だったと思うし。
「す、好きな人でも出来たんですかね?」
「うふふ、イッセーくんもそのうち知ることになると思いますわ。少なくともイッセーくんの知らないところで部長に恋人ができるなんてことはないでしょうね」
「そ、そうなんですか……(朱乃さんはまだ俺が部長の気持ちに気付いてることには気付いてないみたいだな。それにしても恋愛のマニュアル本か……。火織に対してはあまり役立ちそうにないけど俺も読んどこうかな? 部長の行動を予測できるし、そうすりゃ急な事態に理性がプッツンしちまうなんてこともなくなるだろ)」
「(……なんてこと思ってるんだろうにゃ、イッセーは。となると逆に本に載ってにゃい方向から攻めれば……にひひ)」
「(これ以上、先手は取らせない!)」
「(お兄ちゃんの膝の上に陣取って、なんとしてもこれ以上の接近は死守します!)」
「(はぅぅ、私もああいうの読んだほうがいいのでしょうか?)」
「(多分イッセーって部長の気持ちに気付いてるわよね? 前に話をした時に鈍感でもない感じだったし、黒歌たちの気持ちにも気付いてるって言ってたし。となると多分私やアーシアの気持ちにも気付いてるはず。それでもなびかないのは火織のことが好きだから……。これはもうマニュアル本に載ってるような普通の攻め方は意味が無いわね)」
な、なんだろう。みなさんなんだかいろんな思惑が渦巻いてるような気がする。あのイッセーまで何かを熟考しているかのような表情をしてるよ。
「さて、再開よ!」
部長の掛け声に皆は思考を中止してグラウンドに散っていった。でもそんな中、やっぱり祐斗だけは心ここにあらずな感じ。ほんと、どうにかなんないかな?
次の日の昼休み、私達は手早く昼食を食べてた。部長が昼休みに最後のミーティングをするんだって。そんな訳でいつもより気持ち早めに昼食を食べてる。ちなみにこの時アーシアとレイナーレは藍華を中心としたグループ、私と龍巳はそれとはまた別の女子グループ、そしてイッセーは松田、元浜て一緒に食べてた。クラスは一緒だけど、何も毎日一緒に食べてるってわけじゃないんだよ? お父さんとお母さんが出張に行ってからは朝晩も一緒だしね。
そんな中イッセーが食べ終わったのか、松田元浜と一悶着あったあと席を立ってアーシアとレイナーレの所に向かった。部室行くために呼びに行ったかな? 私と龍巳もちょうど食べ終わったので手早く弁当箱を片付けてイッセー達の方に向かう。
「おーい、アーシア、夕麻。飯食い終わったか?」
そのイッセーの言葉に返事をしたのは2人ではなくいやらしい表情をした藍華だった。
「アーシア、夕麻。あんたたちの彼氏がお呼びよ?」
その言葉に丁度お茶を飲んでいたレイナーレがブフゥゥゥッ!! とお茶を吹き出した。一方アーシアは顔を真っ赤にしつつ
「かっ、かかかか彼氏ぃぃ!?」
と、ものすっごい動揺してた。
「え? 違うの? あんたらいつも一緒にいるし、同棲してんでしょ? てっきり付き合ってんのかと思ってたけど」
「どどど同棲ちゃうわ! ただのホームステイだ! そもそもなんだよあんたたちの彼氏って!? その時点で色々とおかしいだろうが!」
「だってあんたら毎晩3人でくんずほぐれつしてるんじゃないかってくらい仲睦まじいじゃん? そりゃ誰だってそう思うって。ちなみに裸の付き合いを教えたのも私なんだけど、堪能したかな?」
「ありゃお前か!? 2人に変なこと吹きこむんじゃねえ! あん時は危うかったんだぞ!?」
「……イッセー、裸の付き合いって何?」
「……あ」
一連の話を聞いていた龍巳が怖い表情でイッセーに詰め寄った。っていうかそんな事してたんだ。もしかしてこっちの2人もいつの間にか結構関係が進んでる?
「ち、違うんだ龍巳! あの時はたまたま風呂場で出くわしちまって!」
「で、一緒に入った?」
「んなわけあるか! すぐに引き返したわ!」
「でもイッセー、あの時私達の胸に飛び込んできたじゃない。おまけに両手でしっかり私たちのおっぱい鷲掴みにしてきたし。ね? アーシア」
「はぅぅぅぅぅ……、あの、その、……はい」
その瞬間、隣の龍巳を超えるんじゃないかってくらいの殺気が教室中からイッセーに集中した。余波だけでも結構来るわ。男の嫉妬ってすごい。
「うぅ~、イッセー、ずるい。我も一緒にお風呂」
「いやだから一緒には入ってないんだって、龍巳!」
「……だめ?」
「……う」
出た。龍巳必殺の涙目上目遣い。これされると逆らえないんだよね。
「……イッセー」
「……うぅ」
龍巳がイッセーの服の裾を掴んで詰め寄る。心なしか本当に泣きそうになってる気がするよ。まあ最近黒姉と白音に遅れを取ってるし、ここにきてライバルも増えてるから必死なんでしょうね。なんせこの中では一番最初にイッセーのこと好きになったわけだし。
「分かった! 分かったからその目を止めてくれ!」
「本当!?」
「ただし! お互い水着着用だからな! そこだけは譲らん!」
「やった!」
龍巳は嬉しさのあまりそのままイッセーに抱きついた。これで龍巳も黒姉や白音に並んだことになるのかな? それにしてもこの約束って今日だけ? それともずっと? まあこれは周りの皆から非難の声が出そうよね。
それはそうと教室の殺気が尋常じゃないことになってる。若干空気が震えてる気がするよ。今にも男子による暴動が起きそう。一方女子たちは皆ほぼ一斉にメール打ってるわ。これは昼休憩が終わるまでに学校中に広まりそうね。
と、その時ガタンッと言う音と共に一人の男子が立ち上がった。それに続くようにして次々に男子が立ち上がり始める。
「と、とにかく今は部室行くぞ! 遅れたら部長に怒られちまう!」
身の危険を感じたイッセーは龍巳をひっつけたまんま教室から慌てて飛び出していった。その後をアーシアとレイナーレがずるい、私も、と不満を言いながら追いかけていく。
「にしし、ほんとあいつの周りはからかうと面白いわよね」
藍華が口元に手を当てながら言う。
「程々にしておきなさいよ。あの娘たち本気で怒らせると始末に終えないんだから」
「分かってる。ちゃんと加減はするわよ。……それより火織はいいの? 兵藤と龍巳ちゃんが一緒にお風呂入るみたいだけど」
「お互い納得済みなら構わないわよ。イッセー相手なら私も喜んで送り出せるし」
「……そういう意味で言ったんじゃないんだけどな」
ん? 今のどういう意味だろう? まあ疑問は置いておいて、藍華に別れを告げて私もイッセーたちを追いかける。ミーティングに遅れたら怒られちゃうし。
途中でイッセーたちに追いつき、そのまま部室までやってきたんだけど、部室の中に部員の他に誰かがいることに部室前まで来て気が付いた。黒姉や白音みたいに遠距離から気配を探るなんて出来ないけど、扉1枚隔てた位なら、相手が気配を隠そうとしていない限りはだいたい分かるようになってきた。それに1人はよく知っている人物、他にも数人顔なじみ程度の人もいるしね。
「すいません、遅くなりました」
私はそう言いながら扉を開いた。そこには予想していた通りの人物たち、生徒会長の支取蒼那先輩と生徒会の役員たち、そして
「やっほー、火織ちゃん。ついでに兵藤くんも」
「俺はついでかよ。っていうかなんでいるんだ?」
生徒会役員の中で唯一よく知っている人物、巡巴柄がこちらに手を振っていた。彼女は駒王学園入学の時に剣道で私に挑んできた時以来の付き合いね。その頃彼女はもう悪魔だったんだけど、私に負けてから剣道部に入部した。以来部活ではお互い切磋琢磨する仲になったわ。腕は私に次いで部活内のNo.2。部活に入ってからメキメキと上達した。
確か彼女は支取会長の騎士だったはず。こうして生徒会で来てるってことは……新人悪魔同士の挨拶ってことかな? 部活でいつも一緒だけどこうして悪魔として会うのは初めてよね。
「やっほー、巴柄。それとお久しぶりです、支取会長」
「ええ、お久しぶり神裂さん。最後に会ったのは……予算委員会の時だったかしら?」
「確かそうだったですね。……部長でもないのに呼ばれるのもどうかと思いますけど……。で、部長。なんで今日は生徒会の皆さんがいらっしゃってるんですか?」
私は会長との挨拶を終え、私の後ろで頭に疑問符を浮かべている皆を代表して部長に聞く。でもそれに答えたのは部長ではなく、会長の隣に立つ男の子だった。
「なんだ、リアス先輩、俺達のことこいつらに言ってなかったんすか? まあ同じ悪魔なのに気付かない方もおかしいですけど」
何やら見下したような物言い、確か新しく悪魔になった書記の匙くんだっけ? そういえば最初はこんなキャラだったわね。
「サジ、おやめなさい。私達は基本的に『表』の生活では互いに干渉しないことにしているのよ? 知らなくても無理ありません。それに……私達が悪魔だということはとっくに知っているのではないかしら? ねえ、リアス?」
その会長の言葉に驚いたように匙くんは部長の方を向いた。
「ええ、私が彼女たちに初めて会った時、彼女たちはもう既にあなた達のことに気付いていたわ。それにその時にイッセーも生徒会の皆が悪魔だということを知っているはずだし……あら? もしかしてアーシアはまだ知らなかったかしら?」
そういえばあの話し合いの時はまだアーシアはいなかったわね。見ればアーシアも驚いたような表情をしてた。その隣のレイナーレもあの時はいなかったんだけど、まあ純粋な墮天使のレイナーレが気付かないわけ無いわよね。
「では改めて挨拶しましょうか。私の本当の名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主です。今日は学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕にした眷属悪魔を紹介し合うために来ました」
その言葉には流石にイッセーとレイナーレも驚いてた。シトリー家もグレモリー家と同様に元七十二柱のひとつだもんね。まあそこまで知ってるかは分からないけど。
「そしてこちらが私が新しく下僕にした2年、匙元士郎、階級は兵士です」
「おおっ、同学年で同じ兵士か! 奇遇だな!」
会長の言葉にイッセーが嬉しそうにするんだけど……
「俺としては、変態三人組の1人であるお前と同じなんて酷くプライドが傷付ひぃっ!?」
イッセーを貶す匙くんが急に悲鳴を上げた。……まあ理由は私の隣の龍巳と少し離れた所にいた黒姉と白音から放たれた殺気なんだけど。
「な、なんだよやんのか!? こう見えても俺は駒4つ消費の兵士だぜ!? 最近悪魔になったばっかだが、女なんぞに負けるかよ!」
「サジ! お止めなさい!」
「で、でも会長! こいつら……!」
「今日ここに来たのは互いの新人を紹介するためだと言ったはずです。つまりあなたとリアスのところの神裂姉妹と兵藤くん、アルジェントさんと天野さんを会わせるためです。私に恥をかかせるのではありません。それにサジ、今のあなたでは彼女たちには敵いません。フェニックス家の三男を倒したのは実質彼女たちなのです。兵藤くんにしてもそれは同じです。彼は兵士の駒を8つも消費しているのですから」
「駒8つ!?」
「ええそうです。さらに神裂黒歌さんと白音さんは戦車の駒を1つずつ、火織さんに至っては戦車の駒を2つ使っても転生できず、騎士の変異の駒を使って転生しています。さらに龍巳さんはそんな彼女たちを鍛え上げた人物です。サジ、今のあなたに敵う道理はありません」
「な、なんてめちゃくちゃな……」
それを聞いて匙くんは怯えた表情で私達を見てきた。う~ん、流石にこういう視線は若干傷付くんだけどな……。
「ごめんなさい皆さん。うちの眷属はあなた達より実績がないので失礼な部分が多いのです。よろしかったら同じ新人同士、仲良くしてあげてくれないかしら」
そう言いつつ会長が微笑みかけてきた。
「いえこちらこそよろしくお願いします。ほら皆もイッセーをバカにされて怒ったのは分かるけどいい加減殺気納めて」
そう言いつつ私は隣の龍巳の頭を撫でて上げた。すると龍巳は渋々といった感じに、黒姉と白音は
「……チッ」
「……フンッ」
とそっぽを向きつつ殺気を納めてくれた。
「っていうか会長、私たちのレーティングゲーム、見せてないんですか? 見てたらさすがにあんな反応はしないと思うんですけど……」
「新人の彼に変な先入観を植え付けたくなかったのです」
「変なって……」
「実際あなた達の強さは新人としては皆規格外なのですから。あれをデビュー前の悪魔の普通の試合と思われるのもどうかと思ったので私と副会長の椿姫しか見ていなかったの。でも、そうですね……。このあと皆にもあの試合を見せるとしましょう」
あ~、まあ確かにあれは新人悪魔にとっては少々ショッキングだったかも……色んな意味で。
「サジ」
「え、あ、はい! ……その、よろしく」
なんかまだビクビクしながらも挨拶してきた。そんな彼の手をアーシアが取る。
「はい、よろしくお願いします」
アーシアがにっこり微笑みながら匙くんの手を掴むと、匙くんはガシッとアーシアの手を握り返した。
「アーシアさんなら大歓迎だよ!!」
私達とアーシアで随分と態度が違うわね。鼻の下まで伸ばしちゃってるし。でもそんな匙くんの行動に黙っていない人が約1名。
「ハハハ! 俺のこともよろしくね匙くん! っていうかアーシアに手ぇ出したらマジぶっ殺すかんな匙くん!!」
アーシアの手を握っている匙くんの手を引き剥がし、、思いっきり力を込めて握手するイッセー。顔も半笑いだし……なんて言うか醜い争いよね。
「おうおう、よろしく兵藤くん。金髪の美少女を独り占め気取りか? 流石エロエロの鬼畜くんは違うな兵藤くん!」
2人共思いっきり握手する手に力を込めて、ぐぬぬと睨み合う。でもずっと剣道を続け、さらにここ最近は必死に特訓をしているイッセーの方が握力に軍配が上がるのか、だんだん匙くんが焦りだす。そんな匙くんは次のカードを切ってきた。
「俺はデビュー早々使い魔を持つことを許されたんだ! 新人としちゃ異例の速さなんだぜ?」
「はっ! それがどうした! 俺なんかとっくの昔に使い魔ゲットしてるぜ!? お前なんかよりずっと早い!」
「はぁっ!? な、そんな訳ないだろ! お前なんかが俺より早く!? 嘘言ってんじゃねえ!」
「嘘なんかつくか!」
「だったら証拠にお前の使い魔見せてみろよ!」
「ああいいぜ見せてやるよ!」
そう言うイッセーはそのまま近くにいたレイナーレの腰を掴んで抱き寄せた。
「えっ!? ちょ、ちょっとイッセー!? な、何すんのよ……」
口では嫌がりつつも顔を赤くして、口元はにやけてるレイナーレ。見事なツンデレっぷりね。それにしてもイッセー、随分と大胆な……いや、あれはヒートアップしすぎて自分が何やってるか気付いてないわね。
「ほら! ちゃんと使い魔いるだろうが!」
「はぁっ!? おま、人間を使い魔にしたのか!? どんだけ鬼畜だよ!? っていうかさすがにそれは嘘だろ!?」
「……お前さっき俺達に悪魔だって気付かないだのなんだの言ってたくせに、こいつのこと気付いてないのか?」
「……え? なんの事だよ?」
「悪い、レイナーレ。見せてやってくれるか?」
「しょ、しょうがないわね。今回だけよ」
顔を赤くしたレイナーレはそっぽを向きつつも背中からバサァッと黒い堕天使の翼を広げた。その瞬間
「うひぃぃぃぃいいいいいい!? だ、堕天使ぃぃぃぃぃいいいいい!?」
匙くんが驚いてすっ転び、尻餅をついたまま後ずさった。
「うるさいわね、殺すわよ?」
「ひぃぃっ!? か。会長! 校内に墮天使が!」
「落ち着きなさい、サジ。彼女は上が認めた、れっきとした兵藤くんの使い魔です。彼女がここにいることに何ら問題はありません」
「なっ!? んなバカな!?」
「ほれみろ! 嘘なんてついてなかっただろうが!」
「あの……イッセー、そろそろ……」
そこで流石に恥ずかしくなってきたのか、レイナーレがイッセーの腕の中でもがき出した。
「え? ……あ! 悪い! 俺つい……!」
そこでようやく自分が何してたのか気付いてレイナーレの腰に回していた手を放す。2人共顔真っ赤ね。一方周りはそれを羨ましそうに見てたり睨んでたりするわ。
「こ、今度から気を付けなさいよね!」
「あ、ああ……ってちょっと待て。今度ってなんだ?」
「~~~っ」
あ、レイナーレの顔が更に赤くなった。一方その光景を見ていた匙くんは呆然としてるわ。
「な、なんだよこれ。おい兵藤! お前どんだけ女囲んでんだよ!?」
「ばっ!? そ、そんなんじゃねえよ!」
「誰が見たってそうじゃねえか! 美人の幼馴染4人に金髪美少女に墮天使ってどんだけだ!? てめぇなんか死んでしまえ!」
そこからは醜い暴言の吐合になった。まあイッセーの立場って他の男子からは妬ましく思えるだろうししょうがないかな?
「あなたも大変ね、ソーナ」
「そちらも」
そんな様子を部長と会長は呆れたような表情で見てるわ。
「そうそうリアス、これであなたは眷属が全員揃ったことになりますね。おめでとう」
「ありがとうソーナ。まあまだ彼女たちを使いこなせてはいないのだけれどね」
「本当は私もあと1人騎士が加わって欲しかったのですけれどね」
そう言いつつ会長は私の方を見てきた。
「何度かアプローチしようとしたのだけれど、振られてしまいました」
あ~、そういえば……
「なんか避けてるみたいになっちゃってすみませんでした」
「ふふ、いいのですよ。あなたをお茶に誘った時本当に用事があったのは知っていましたし、どの道私の残りの駒ではあなたを転生させることはできませんでした」
そういえばそうよね。っていうか部長の駒で転生できた事自体私は驚きだったんだけど。と、その時会長の影から巴柄がひょっこり顔を出した。
「どうせなら火織ちゃんの駒をトレードしてこっち来ない?」
「あら、それはいい考えですね、巡。どうですか火織さん?」
「ちょ、ちょっと! この娘は私のものよ!」
そう言って部長は私を後ろから抱きしめてきた。
「あはは、そういうことらしいんで、すみません」
「そう、残念ですね。もし考えが変わったらいつでも来てくださいね」
そう言って会長は引き下がった。私、そこまでして欲しいかな?
「さて、互いの新人の紹介もこの程度でいいでしょうね。それでは私達はこれで失礼します。サジ、あなたもいい加減にして帰りますよ」
「ちっ、俺んところの生徒会メンバーはお前んとこより絶対に強いんだからな」
「じゃあね、火織ちゃん。また明日」
「巴柄、明日球技大会だから部活ないわよ?」
「あ、そういえばそうだっけ。でもまあ試合で会うかもしれないし。じゃね!」
「リアス、球技大会が楽しみね」
「えぇ、本当に」
そうして生徒会のメンバーは帰って行き、生徒会との顔合わせは終わった。
「そう言えばイッセー、今夜龍巳と一緒にお風呂に入るって噂を聞いたんにゃけど……どういうことかにゃ?」
「私も気になります、お兄ちゃん」
「何それ!? 私初耳なのだけれど!?」
「い、いやあれは……!」
……これはミーティング、昼休み中には出来そうにないわね。
後書き
次回予告
「この娘達は私達の最後の希望よ!」
「どうやら賭けは私の勝ちになりそうね、リアス?」
「離れていても、心は1つよ!」
「じ、ジロジロ見てんじゃないわよ!」
「僕は復讐のために生きている」
次回、第49話 レッツ・たま遊び!
「なんで、どうして……なんでなんだよ…………火織ぃっ!」
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