魔法大戦リリカルクロウcross【Z】‐無印篇‐
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prologue2・襲撃
次元航空輸送鑑内…
「こちら、アクシオン財団スコートラボ所属、クロウ・ブルースト。これより貴鑑の護衛任務につく。」
現在、貨物室の中でクロウは待機しておりその首には白と緑に輝く首飾りが輝いている。船に乗る人々は何かしら民族衣装らしき人々がせわしく通っており何やら積み荷を確認しているようだ。
(さて、ジュエルシードてのはかなりヤバいブツらしいが…具体的な危険性がわからなければ万が一のこともある。)
クロウはミッションにつく前に今回の護衛はかなりの危険物の護衛と雇い主であるチーフから聞かされたが具体的な危険性を追求したところ「あんたじゃロクなことにならない」と一蹴され、ジュエルシードなる物の危険性をしっかりと把握していなかった。
そこで、彼は通りすがりの民族衣装を纏った少年に訊ねることにした。
「お~い、そこのアンタ!」
「え?僕ですか?」
「そう、僕。」
少年の髪は薄い茶色でいかにも優しく生真面目そうな雰囲気があった。
「ええと、俺…スコートラボからの…」
「あ!護衛の方ですね?ええと、」
「クロウ・ブルースト。」
「ブルーストさん。いったいどうしたんですか?」
「ああ…実は…」
そして、本題のジュエルシードの話に入るクロウ。それを聞いた少年は気難しい顔をする。どうやら情報をあまり漏らしたくないようだ。
「(やっぱりそうか…)確かにたかが護衛の身からすればでしゃばり過ぎかもしれないが万一、室内で戦闘に陥った場合やここいらでやり合う場合によっては武器の使用や立ち回りを考えなくちゃならねえ。そこんとこを思慮してくれないか…?」
「ううん…」
何とか説得を試みるクロウ。少年はさらに難しい顔をし悩むがとうとう折れた…。
「良いですか?これから言うことは誰にも漏らさないで下さいよ。」
「おう。」
そして、少年はジュエルシードについて語りだした。
「ジュエルシードというのは簡単に例えるといわば人の思念に反応する爆弾のようなモノです。誰かがこれに触れるか近くにいれば意識していようが無意識だろうが発動します。」
「ほう?」
「しかし、多くは願いは純粋に叶えられず暴走状態となります。」
「んなら、近くに寄らなきゃ問題ないんじゃないか?」
「そうとも言えないんです。」
願いと言っても生物であれば例え人間以外でも発動し、さらに、少年の話を聞くとジュエルシード単体でも封印などの措置を行われなければ宿主を求め暴走するなどと言うのだ。確かにこれはしっかりとした管理が必要なのだがこれを発掘した少年ら一族はこれを『時空管理局』という組織にまかせることにしたのだ。
(管理局…)
「?…どうしました?」
「…いや」
管理局という単語が出て来た途端、顔をしかめるクロウ。どうやら、嫌な思い出があるようだ。
(願いが叶うか…。俺の願いは…確かにロクなことになりそうに無いな。)
彼は自分の最も叶えたい願いを浮かべるが心の中でそれに鼻で笑うとそれを頭から振り払う。
「そういえば、まだ僕の名前を言ってませんでした。ユーノ・スクライアと言います。」
「ああ、よろしくな。」
茶色の髪の少年は自らの名前をユーノと名乗り2人共、改めて自己紹介を済ます。そこへ…
「お~い、ユーノ!」
「あ、シモン!」
赤いゴーグルをかけた作業着を改造したような服を着た少年ともう1人…深く帽子を被った俯いてる少年。
「クロウさん、紹介しますね。同じ村の出身で友達のシモンです。シモン、この人はスコートラボからのクロウさん。」
「ああ、護衛の人…俺の名前はシモンです。よろしく。」
「クロウ・ブルーストだ。クロウで良い。それと、そこの人は…」
「…」
ゴーグルの少年はシモンと名乗り、少しヘタレそうだが友好的だが帽子の少年のほうは3人から距離をとっている。顔を覗きこむクロウだが顔を背け表情を隠す。
「ああ、この子はこの船の関係者らしくて結構不調が多かったから点検のため派遣された人らしいんだけど…」
シモンが何やら説明しているがどうやら正確には彼について把握していないようだ。クロウはユーノの様子を見るとまた彼も少年のことについて知らないようである。
「ええと…もしかして、管理局関係者の方かな?あまり僕らと歳が変わらないように見えるけど…」
「…はい。積み荷の確認をしにきました。依頼のモノをしたいのですが…」
「あ、ちょっと待って……」
「待ちな。」
少年を奥へと案内しようとしたユーノだがクロウはそれを止める。
「アンタ、パスとデバイスを持ってるよな?」
「え?ええと…」
少年はおずおずと懐からパスを出す。クロウはそれに自分の首飾りをかざすと立体画面が浮かび上がった。これに、少年は驚いた顔をする。
「こいつはな、ここに乗る積み荷と乗組員のデータが入ってるんだ。ちょっとしたチェックだが…随分、顔が引きつってるな?ま、仕方ねえよな?ソイツは管理局関係者のパスじゃねえんだし。」
「!」
とっさに少年は何かアクションをしようとしたが次の瞬間には緑色の鎖が彼を縛っていた。
「すいませんが、拘束魔法をかけさせて頂きました。これよりあなたを連行しお話を伺わせて貰います。」
「くっ!」
その鎖の正体はユーノの発動した拘束魔法であり少年はもがくが動けない。
「さて、そのお顔拝ませて貰うぜ。」
それを見たクロウは少年から帽子をはぎ取る。すると…
「ひゃっ!?」
「女の子!?」
隠れていた金色のツインテールと赤い瞳が露わになり少年は少女だったことがわかる。思わずすっ飛んだ声をだすシモン。
「はっ…道理で俺の女嫌いセンサーが反応した訳だぜ。」
一方、当てた本人はやはりかと満足げな顔をしている。
「さて…名前を名乗った後、大人しくデバイスを置いて投降してもらう。妙な真似をしたらその瞬間、蜂の巣だ。」
「…」
少女に向かい銃を突きつけ投降を呼びかけるクロウ。しかし、少女は悔しげな表情をするだけであり指示に従う様子は無い。
「あー!待って待って!女の子に乱暴したら駄目だよ!」
そこにシモンが割って入り少女と向き合った。
「あ、ゴメンね。えーと、俺の名前はシモン。君の名前は?」
「…」
まず、自分の名前を笑顔で名乗るシモン。どうやら、優しくいく作戦らしい。
が、少女はじっとシモンを見据えるだけ。すると、シモンの顔が徐々に赤くなっていく…
(こ、この娘、結構かわいい…)
「?」
そんなシモンの心情など露とも知らず首を傾げる少女。その時…
「フェイトォォォォ!!」
「「「!」」」
突如、凄まじい勢いで『赤い何か』が絶叫しながらクロウたちをはじき飛ばし少女を拘束魔法から解放する。
「アルフ!?」
「大丈夫かい、フェイト!アイツらに酷いことされなかったかい!?」
少女を仕切りに心配するそれの姿は赤毛の女性と狼の姿を足して割ったかのような姿。これは通称『使い魔』と呼ばれる存在である。どうやら見るに少女の仲間であるようだ。
「た、大丈夫だから。アルフ。」
「そうか。良かった…。」
少女の無事を確認し安堵の声をだす使い魔。そして、シモンたちが動けないことを確認すると使い魔は少女に何かを急かす。
「フェイト、今のうちに…」
「うん、バルディッシュ!セットアップ!」
それに促され、少女は金色の三角形の物体を取り出す。同時に彼女は金色の光に包まれ死神をモチーフにしたスカート衣装にその姿を変える。
これは『バリアジャケット』と呼ばれ防護服の一種だ。
「行こう、バルディッシュ。母さんの求める物は向こうにある。」
『イェスサー。』
彼女はさらに、金色の刃の黒い鎌『バルディッシュ』を召還。そのまま自らの求める物を求め歩を進めようとする。
が…
「ブラスタ!」
ブォォォォォォン!!
「「!」」
同時にどこからか緑色の光が溢れ2人の行く手を阻む。
「な、なに!?」
思わず手を翳す少女が見たソレ…
「ゲットレディ、いくぜ!」
それは先日、誘拐された少女『箒』を救出した機体…
クロウ・ブルースト駆る彼の相棒、『ブラスタ』であった。
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