魔法大戦リリカルクロウcross【Z】‐無印篇‐
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prologue1・IS
???…
暗い倉庫に鎖で繋がれていた少女は今にも泣き出しそうだった…。少女はポニーテールで小学校なのだらしく無造作にランドセルが転がっている。
「怖いよ…誰か助けて…」
ガチャン
「おっはよ~、箒ちゃん…気分はいかがかしらん?」
「!」
余りの恐怖に助けを求めるがドアを開けやってきたのは自分を誘拐し、監禁したと思われる女性。
「全くガードをくぐってまでやっとのことで捕まえたのに。いい加減、吐いてくれないかしらん?アナタのお姉ちゃんのれ・ん・ら・く・さ・き?まあ、どっかの局をジャックして呼びかけてもイインダケドネ☆」
「し、知らないです!お姉ちゃんが今どこにいるかも!」
「ふーん。そうなんだ?」
女性は少女の姉の連絡をとろうとしているようだが少女のほうはそんなことなど全く知らないようで残念そうな声をだす。
すると、彼女の横に黒い3メートル程あるかと思われる手足がでかいロボットらしきものが降り立つ。
「インフィニット・ストラトス…アナタのお姉さんが開発した兵器。綺麗よね。この世にこんな美しい兵器はあったかしら?」
女性はそれを愛おしいそうに眺め手をそれに置く。正直それには嫌悪感をなぜか感じる。
「全く、アラスカ条約なんてふざけたもん結びやがって…兵器は…殺しあいに使ってこそ真価があるのに…スポーツのみに使用用途を限るなんてふざけてるわ。」
徐々に歪んでいく女性の顔…それに怯えつつ少女は恐る恐る聞いた…
「アナタは…いったい何が目的なんですか?」
「ああ、それは…」
「『戦争』よ。」
少女は耳を疑った。いったい目の前の人物が何をいっているのかを…
「この世界はいずれ、アナタのお姉さんの兵器のおかげで『女尊男婢』の世界に変わるでしょ?なんせ女にしか扱えない最強の兵器なんだから当然よね~。でもね、それを良く思わない男共は間違いなくいる。そうすれば、それは戦いの火種になる。でも、所詮火種…踏みにじれば簡単に消える。そこでよ…アンタの姉さんから、金とISのデータを頂いて、どこか双方にちょうど良く与えてしまえば後は私たちが思うようになるって寸法よ。勿論、私たちISが世界より技術に差をつけてからだけどね~☆」
少女は女性の話で一瞬で理解した。自分は彼女らにとって都合の良い取引の道具でしかないことに…
「まあ、取引が成立したらあの兎野郎も箒ちゃんもブチ殺すケドネ☆HA☆HA☆HA☆!」
「ふざけた寝言はそこまでにしとけよこの野郎!」
ズガン!
女性が高らかに笑いだした瞬間、隣の黒い機体を弾丸が貫きギギ…と耳障りな音を倒れる。
「し、侵入者!?他のメンバーは!?」
「それなら、とっくに片付けたぜ。大人しく人質は返してもらう。」
次の瞬間、少年の声が響き、少女を何かが横切り彼女を連れ去った。
「!」
「さぁ~て、人質もないし、頼りになるお仲間もいない。どうする?」
「舐めるなァァ!!」
激昂した女性は懐からスイッチを取り出し証明をつける。そして、彼女の目に映ったのは…
「IS!?」
「ちげーよ。まあ、似たり寄ったりだがな。」
真っ白な人型の機体。背部には巨大なグライダーのようなウィングに顔のバイザーと胸部の宝石のようなパーツが輝いていた。その右腕には少女が抱かれている。
「う、美しい…それを…それを私に寄越せ!!」
女性はしばらく機体を眺めると半ば狂乱したように自らの身体に装甲…ISを展開。
強靭なアームを伸ばし捕獲しようとするがあっさり回避されてしまい大きな隙が出来る。
「終わりだ!バンカー!」
直後、白い機体の胸部の宝石のようなパーツが緑色に輝き女性は怯む。そして、白い機体は左腕に装着されている刃と盾兼用の武器『バンカー』で素早く近づき一閃…
数秒後には白い機体の勝利を告げるがごとく女性が元の姿に戻り気絶した。
「さ~て、嬢ちゃん。舌噛むなよ?」
「え?」
数秒後、白い機体は天井を突き破り凄まじい速さで加速。少女は目をつぶり轟音と風圧に耐える。
「よし、もう良いぞ。」
しばらくして、轟音も風圧を止むと少女は目をゆっくりと開ける。そして、彼女の前に広がっていたのは海に沈む美しい夕日…
「わあ…綺麗…」
「だな。まあ、換金は出来ねえがな。」
気がつくと少女の隣には白い機体の姿は無く、立っていたのは中学生ほどの背丈の少年。恐らく白い機体の操縦者だろう。たれ目で2枚目な外見で思わず少女は顔を薄く赤く染める。
「お?どうした?熱でもあるか?」
「!」
それを見た少年は少女に熱があるのだと思い自らの額と少女の額を併せる。そのため、少女の顔はさっきよりさらに赤くなった。
「熱はほぼ平熱。いったいどうしたってんだ?」
(ち、近い…。)
PPP…
「お、通信?チーフか?」
そんなことなどお構いなしに鳴り響いた端末をとる少年。すると、端末から少年がチーフと呼ぶ女性の声がした。
「こちら、クロウ・ブルースト。無傷で人質の解放に成功した。ミッションコンプリートだぜ。」
『ほう、上出来じゃないか。これで、あの兎に貸しが1つできる。』
「で、チーフ報酬は…」
「…」
何やら少年は話こんでしまったため1人ポツンと取り残される少女。
しばらくして、少年はそれに気がつき『ああ、悪い後でかけ直す』と言い端末を切る。そして、再び少女に目線を併せる。
「悪いな。俺はもう行かなきゃならねえ。嬢ちゃん、今まで見たことは誰にも話すことはナンセンスだ。多分、これから警察やら何やら来て質問されても知らない、わからないって言うんだぞ?」
「いっちゃうの?」
「ああ、次の仕事が待ってるからな。」
少年は少女の頭をワシワシと撫でると背を向けその場を立ち去ろうとするが…
「行かないで!」
なんと、少女が涙を流しながら少年に抱きついてきたのだ。これには少年も驚く。
「ぢい…参ったな…」
たが、それだけでは終わらなかった。
「えい!」
「何、ぶっ!?」
これまた、予想外。少女は少年の唇を奪ったのだ。これには少年も同様を隠せない。
「さ、さ……さっき助けてく、れたお…お礼…。」
両者、共に顔を赤らめながらやがて少女が口を開く。
「わ、私の名前は篠ノ之箒!お兄ちゃんの名前は!」
「え?ああ…俺か!?お、俺はクロウ・ブルースト…あっ…。」
「クロウ…」
「やべえ!」
少女の勢いに押され思わず名乗ってしまった少年。少女は口をボソボソさせながら少年の名前を呟く。
「クロウお兄ちゃん…また会える?」
「あっ…まあ、運が悪ければな。」
なんとか平常心を取り戻した少年は少女の問いに応えると「さ、サヨナラの時間だ」と言い再びロボットのような姿になる。
「待って!」
「あばよ、箒。運が悪ければまた会おうぜ?」
そして、少年は空に消えた。
これが、借金100万Gの男、クロウ・ブルーストと篠ノ乃箒との出会いであった…。
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それから数分後…
「で、チーフ次の依頼は?」
『ああ、次元航空輸送鑑の護衛だよ。中にはジュエルシードとかいうとんでもない代物のロストロギアが積まれてる。それを狙う連中から護衛しろ…シンプルだろ?』
「ちっ、簡単に言ってくれるぜ。」
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