魔法大戦リリカルクロウcross【Z】‐無印篇‐
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prologue3・転移
「ゲットレディ、いくぜ!」
ブラスタを展開したクロウは鎌を構える少女と向かい合い専用の銃、EAGLEを向ける。
『クロウ!その装備だと管理局に捕まるよ!マギリングブースターとMクラスターに切り替えな!』
「了解だ。」
通信を聞いたクロウはEAGLEのカートリッジ部分をパージ。新しいカートリッジに付け替えるとバイザーが緑色に輝き彼の足元から円形の細かい模様の入った魔法陣が浮かび上がる。すると、フワリとブラスタが浮かび翼にも緑色の光が灯った。これは魔法の力で飛んでいるのだ。
「いくぜ!うおおおお!!!!」
「!」
そのまま、ブラスタは少女に向かい盾・斬撃兼用武装、バンカーを盾に突っ込む。少女はとっさに金色の障壁を展開するも勢いをつけたブラスタのパワーに押し負け、格納庫のドアを突き抜け夜の砂漠の空間へ放り出される。
「くっ!バルディッシュ!!」
とっさに金色の弾丸を放つもブラスタは軌道が甘いため素早く回避し左腕のバンカーを構える。
「いってこい!バンカー!」
そして、勢いをつけ左腕を振るとワイヤーの尾を引きバンカーが射出され少女に向かう。
「これくらい!」
たが勢いそのものは弾丸に至らないそれは高速な戦いを得意とする彼女に回避は造作のないこと。
バンカーをかわした少女はこれを好機とがら空きのブラスタの懐に向かう。
しかし…
「あらよ!」
ブラスタは真っ直ぐ突っ込んでくる少女に威力を最大までチャージした弾丸を撃つ。それに気がついた彼女もなんとかギリギリ回避するがバランスを大きく崩してしまう。クロウはこの時を待っていた…。
「アサルトコンバットパターン…ファイズ!」
ブラスタは少女が体勢を戻す前にバンカーを戻し再び彼女にむけ放つ。今回ばかりは回避もかなわず障壁で防ぐ少女。障壁にはバンカーが突き刺さりさらになお、彼女を切り裂こうとジェットを噴射し障壁を削る。
(このままじゃ、破られる!)
少女は焦るがブラスタの攻撃はこれだけではない。
「ターゲットを中央に固定…」
ズダダダダダダダダダダ…
「!」
ブラスタは少女を中心に円形を描くように飛び魔力弾を次々と当て障壁と彼女の体力を削り…
「そのまま、火力を集中…」
ズダダダダダダダダダダ…
「あう!」
障壁を解除させ…
「締めは真ん中をぶち抜く!!」
バンカーを戻しそのまま突撃する!
「コイツは俺の十八番なのさ。」
とうとうその凄まじい攻撃の嵐に耐えられず墜落していく少女。クロウはここで、勝利を確信し彼女の拘束に移ろうとしたが…
「おい、離せって!」
「コイツは大事な物なんだ!渡してたまるかああ!」
「!」
クロウが目を離しているうちに使い魔がどうやらお目当てのモノを見つけたらしく、持ち去ろうとしたらしいがシモンがそれに組み付き妨害している。
(どうやらあのアタッシュケースがそれみたいだな。)
ブラスタのカメラを拡大し、2人の奪いあってるアタッシュケースを確認すると銃口を使い魔に向け狙いを定めるクロウ。しかし…
キィィィィィィィン…
「!この音…まさか!?」
突如、耳障りな音が響き空間が歪む。これはクロウはよく知る事態でまた、会いたくて会いたくない連中の襲来を意味していた。
「シモン!次元獣が来る!!」
「へ?」
クロウが叫ぶがその時には既に遅かった…。黒い巨体が船に叩きつけられるように歪んだ空間を突き破り着地…
その姿は目がなく前脚の無い肉食恐竜のよう…
その屈強な太ももには宝石のようなモノがついている。
「次元獣…ダモン級か!」
次元獣…クロウのようにある程度知識のある人間ならダモン級と呼称される個体だと判別出来る。しかし、シモンや武器無き人々にとってはどうだろうと脅威であることは変わりない。
『Giiiiiiii…!!』
ダモンは真っ直ぐに獲物をとりあう2人に体当たりをし、アタッシュケースを奪いとる。
「しまった!」
焦ったクロウはすぐさま発砲。だがソレはアタッシュケースにあたり中身の青い宝石の種らしきモノが飛び散る。これがジュエル・シードである。
『Giiiiiiii…!!』
それをダモンは取り込みなんと、身体の構造を変化させていく。
身体は紫色寄りの黒に…
太ももから強靭で図太く鋭い触手が…頭部からは血のように赤い角が生える。
『Giiiiiiiiii…!!』
「ブルダモンに進化しただと!?」
その姿はトゲトゲしいがダモンよりワンランク上の個体、ブルダモン級でありクロウはダモンがブルダモンに進化するなど予測していなかったので驚きを隠せない。
「ああ…」
「シモン、逃げ…」
ギュイン
「何!?」
恐怖のあまり腰が抜け動けないシモンを逃げるよう叫ぶクロウだがその瞬間ブラスタを金色に輝く拘束魔法の輪縛り上げ動きを止める。
即座に反応し辺りを見回して見ると先ほど落としたはずの少女がボロボロになりながらも発動させていたのであった。
「はあ…はあ…まだやれるよねバルディッシュ?アルフ?」
『イエス、サー。』
「無茶だよフェイト!そんなボロボロで…!」
(まさか…あれで戦うつもりか!無茶すぎる!)
少女は使い魔が止めるのを構わず鎌を構え次元獣…ブルダモン級とダメージを負いながら対峙する。クロウもそれに気がつきバインドを振り払おうとするもEAGLEとバンカーは腕を押さえられてるためうまく動かない。
(こうなったら…)
「マギリングブースター停止。VX、準起動から起動へ…ブースターに接続。フィジカルモードに切り替え…」
そこで彼はブラスタの設定を変えていき、同時に胸部の緑の宝石のようなパーツが太陽のように輝く。
『Giiiiii…!!』
「あう!」
「フェイト!」
時を同じく少女もブルダモンに果敢に飛びかかるもなぎ払われ船の積み荷に叩きつけられる。
(よし、今だ!)
「ぶち抜け!VXブレイザー!」
そのタイミングにブラスタはバインドを振り払い胸部から強大な熱線、VXブレイザーを放ちブルダモンを攻撃する。
『!!!!』
流石にジュエル・シードを取り込んだブルダモンも爆発し消えていくように見えたが…
キィィィィィィィン…
ブルダモンが炎に消えていくのと反応するように辺り一帯の空間が歪み始める…。
「これは…時空振動!?」
「え?じゃあ、俺たちどこかにとばされちゃうの!?」
その現象に慌てだすユーノとシモン。一方、少女は立ち上がりなんと崩れゆくブルダモンの身体の中で凄まじいエネルギーを放つジュエル・シードに手を伸ばす。
「なっ!無茶だよ、フェイト!」
「せめて、一個だけでも…母さんのために…」
使い魔が必死に制止をかけるも少女は手の黒いグローブが破け掌の皮が裂けても手を伸ばす…
「あと…少し……」
「馬鹿野郎が!」
しかし、あと一歩のところでブラスタが少女に体当たりしそれを阻止。同時にワームホールが出現。船は嵐に巻き込まれたような風が吹き荒れる。
「うわああああああ!」
「シモォォォォォォン!」
やがて、シモンがユーノが手を伸ばすもとばされ…
「くそおォォォォォォ!」
「きゃあああああああ!!」
ブラスタと少女とその使い魔もワームホールに巻き込まれていく。
「チェェンジ、ゲッタァァァァ1!!」
その後を謎の黒い巨体が追う…。
そして、皆それぞれの物語の舞台へと向かっていくのであった…。
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時を同じく…
海鳴市…
温泉宿、くろがね屋…
「あ…流れ星…綺麗だな。」
「甲児!ぼさっとしてないで手伝いな!」
「わかったよ、女将!」
少年が夜空を見上げ流れ星を見ていたが女将という人物に呼ばれ瓦の建物の中へ戻っていった…。
そう、物語はもう動きだしていた……。
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