ソードアートオンライン VIRUS
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初戦闘
前書き
うーん、なんか最近のニュースが暗いのばっかなのがいやだな~
スイルベーンが遥か後方に遠ざかり、もう森ぐらいしか見えない。出現するモンスターはそこそこ強くなってきている。
「だいぶ飛んできたな!」
「ああ、スイルベーンがもう見えない!」
風の音に負けないように叫ぶ。
「今は中立域のだいぶ奥だからもう少しいけると思うよ!」
リーファがそう叫んだ後モンスターとエンカウントした。モンスターの名前はイビルグランサー。形は大きなトカゲに翼を生やしたような感じだ。三人はいったん止まる。
「キリトはフロント。リーファはキリトのサポート。俺はバックアップでいく。じゃあ、突っ込めキリト!」
「OK!!」
そしてキリトは背中から大きな片手剣を抜刀しながらイビルグランサーに突っ込んだ。
「リーファ、多分キリトはヒット&アウェイな戦法じゃないからすぐにダメージ食らったりするからそしたらヒールをよろしく」
「わかった。じゃあ、私にモンスターが来たら援護をよろしく!」
そう言ってリーファは後方に飛び去る。ゲツガは素早く背中にたたんであった弓を素早く開いて矢を三本番える。そして、キリトが斬りかかった以外のイビルグランサーに向けて放つ。それは全て命中して一匹のHPを半分を削り取った。キリトも攻撃に成功したがもう一体が角から何かを放つ。キリトはそれに当たりステータスが一気に低下した。
「呪いの類の攻撃か……リーファ!」
ゲツガは後ろにいるリーファに叫んだ。
「わかってる!!」
そう言ってリーファはスペルを唱え始める。唱え終わるとキリトの周りが光ってステータスが戻った。それを見たキリトは素早くさっき攻撃したイビルグランサーを倒しにかかる。ゲツガも同じイビルグランサーに矢を射て、倒す。そして、一体がリーファを攻撃しようと近づいていたので矢を素早く番え、放つ。当たると一瞬、怯んだ。その隙を突いて一気に矢を連射する。全て命中するとポリゴン片になった。
「援護ありがとう!」
「どういたしまして!」
リーファは感謝してから素早くまたスペルを唱える。キリトもその間に二匹倒したようであと一匹もHPが二割を切っているものを相手にしていた。しかし、そのイビルグランサーは逃走し始めた。そいつに向かって、矢を番えようとするが後ろでリーファがスペルを唱えていたのでやめた。そして、リーファが放ったと思われる緑色に輝くブーメランのようなものはイビルグランサーの鱗を切り裂きポリゴン片へと変えた。そして、戦闘が終わったのでキリトも帰ってくる。
「援護お疲れ、二人とも」
「ありがとう、それと君もナイスファイト」
「まあ、今回もよかったな」
そう言って三人は手のひらを打ちつけ合って笑みを交わす。
「しっかしまあ、なんていうかキリト君の戦い方は無茶苦茶だね」
「そ、そうかな」
キリトは頭を掻きながら言う。
「普通はもっと、回避してヒットアンドアウェイを繰り返して倒すのが定石なのに君の場合ヒットアンドヒットだよ」
「その分早く片付いたからいいじゃないか」
「今みたいな一種構成のモンスターならそれでいいけどね。近接と遠距離の混成とか、プレイヤーのパーティーの戦闘になった時は、どうしても魔法で狙い撃ちにされるから気をつけないと駄目だよ」
「魔法って避けられないのか?」
「確か、魔法にも色々な種類があって威力重視の直線型と範囲攻撃を狙う追跡型があって直線は軌道さえ読めれば避けれるけど範囲系のホーミングは無理だな」
「うん。大体合ってるけどホーミング型はある程度離れてタイミングをはかれば避けれる可能性もあるわ」
キリトは難しいことを言われたような顔をして悩んでいた。
「まあ、キリト君やゲツガ君はなかなか目がいいからすぐ勘がつかめれると思うよ。現実で何かスポーツやってるの?」
「いや、俺はしてないけどこいつがしてる」
そう言って親指でゲツガを指す。
「まあ、ちょっとな」
頭を掻きながら答える。
「ふうん、そっか。じゃあ、先に進みましょう」
その言葉に頷いて再び移動を開始し始めた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後は一匹もモンスターと出会うこともなく、古森を抜けて山岳地帯に入ることが出来た。ちょうど飛翔力が限界にでも達したのか翅の生えた辺りに疲労感を覚える。リーファを先頭に地上に着陸する。
「ふふ、二人とも疲れた?」
「いいや、まだまだだよな、ゲツガ」
「ああ、まだぜんぜん大丈夫だ」
「お、二人とも頑張るわね。……でも空のたびはしばらくの間はお預けよ」
リーファがそういったので、キリトとゲツガは眉を上げる。
「ありゃ、何で?」
「あの山が見えるでしょ」
そう言ってリーファが指差したほうを見る。指の先には真っ白な雪に覆われた山脈があった。
「あれが飛行限界高度よりも高いせいで山越えをするには洞窟を抜けないといけないの。シルフ領からアルンへ向かう一番の難所、らしいわ。あたしもここからは初めてなのよ」
「なるほどね……。洞窟か、長いの?」
「かなりね。途中に中立域の高山都市があって、そこで休めるらしいけど……。キリト君、ゲツガ君二人とも時間はまだ大丈夫?」
キリトが左手を振ってウィンドウを出して時間を確認した。
「リアルだと夜7時か。俺は当分平気だぞ。多分ゲツガも」
「まあ、大丈夫だな」
「そう、じゃもうちょっと頑張ろう。ここで一回ローテアウトしよっか」
「「ろ、ローテアウト?」」
ゲツガとキリトは初めて聞く単語にリーファに聞き返す。
「ああ、ローテアウトって言うのはね、交代でログアウト休憩するってことだよ。中立地帯だから、即落ちできないの。だから、かわりばんこに落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るのよ」
「なるほど、了解。ゲツガ、お前飯作ってるか?」
「ああ、ちゃんと作っておいてあるけど大丈夫か見たいから先に抜けたい」
「そうか、ならリーファ、ゲツガ、お先にどうぞ」
「じゃあ、お言葉に甘えて。二十分ほどよろしく!」
「頼んだぜ。キリト」
そう言ってリーファとゲツガはログアウトボタンを押して現実に戻った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目を開き、ナーヴギアを頭から取る。
「あー、なんかからだが少しだるい……。仮想の筋肉使ったからか?」
そんなことを呟きながら、部屋を出てキッチンに向かう。その時に直葉にあった。
「おお、スグ。晩飯か?すぐ温めるからシャワー浴びて待っていてくれ」
「うん。今日のご飯は何?」
「今日は肉じゃがだ。早めに浴びて来いよ」
「うん。じゃあ、その後、お兄ちゃんも呼んどくね」
「あ、カズはなんかやる事があるらしいから夕飯は後でいいって言ってたぞ」
「そうなの?わかった。じゃあ私が上がるまで絶対に食べないでよね」
「はいはい」
そう言って直葉は浴室へと向かった。優はキッチンで書置きも意味ないなと思い紙を捨てる。そして、肉じゃがを温め始める。その時に昼間にタイマーをセットしていた米も炊けている。素早く茶碗に取り分けて、机に置く。ちょうど直葉が上がってきた。
「おお、スグ。もう少しで準備が出来るから、あと少し待っててくれ」
そう言ってだいぶ温まってきた肉じゃがを小皿に入れる。他にサラダがあったので用意してから並べた。優は席に着く。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
そう言ってご飯を食べ始める。直葉は少し早めに食べていた。何かすることでもあるのだろうか?そう考えながらご飯を食べる。
「ご馳走様。優君、今日も美味しかったよ。じゃあ、私部屋に行くから」
そう言って直葉は部屋へと戻っていった。優も食事を終え、皿を洗っていると今度は和人が降りてくる。
「優、今日の飯は?」
「俺はお前の母ちゃんか。今日は肉じゃがだ。お前の分はそこに置いてあるから、食べとけ。で食い終わったらちゃんと皿つけとけよ」
「はーい」
そう言って優は素早く浴室でシャワーを浴びてから、頭をドライヤーで乾かしてから部屋に向かい、ナーヴギアをかぶって仮想世界に戻った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
仮想世界に戻ってくるリーファが何でもないと言いながら顔を赤くしていた。
「「何がなんでもないって?」」
「わっ!!」
キリトもちょうど来たようでそう言うとリーファはびっくりしたように飛び上がった。
「?」
首を傾げた後待機状態から立ち上がる。身体を伸ばしてからさっきの話しのことを聞く。
「何話してたんだ?」
「おかえりなさい、パパ、お兄ちゃん。今リーファさんとお話していました。人の好」
「わあ、なんでもないだったら!!」
リーファはユイの言葉を遮りながら立ち上がる。
「き、キリト君はずいぶんと早かったね。ご飯とか大丈夫なの?」
「ああ、ちゃんと作ってくれといたからすぐに食べてこれたから大丈夫」
「そう、じゃあさっさと出発しましょう。遅くなる前に鉱山都市まで辿り着かないとログアウトに苦労するからさ。さ、洞窟の入り口までもう少し飛ぶよ!」
早口でまくし立てるとゲツガ達は首を傾げる。リーファはそれに構わず翅を出してから軽く揺らした。
「あ、ああ。じゃあ、行こうか」
腑に落ちない感じだがここは黙ってついていくことにしてゲツガもキリトも翅を展開する。その時、突然誰かの視線を感じたため、そのほうを向く。キリトも不審に思ったらしく視線を同じ方に向けていた。
「……?二人とも、どうかしたの?」
「いや……」
「なんか見られてる感じがするんだが、ユイ、周辺にプレイヤーはいるか?」
ゲツガそう言うとユイは目を閉じる。
「いいえ、反応はありません」
ユイは首を横に振って、いないと言った。しかし、ゲツガはどうも納得がいかずそのほうを睨み続ける。キリトも納得できないと言った風に顔をしかめる。
「見られた気が、って……この世界にも第六感みたいなものがあるの?」
リーファの聞いた質問にキリトが答える。
「これがなかなか馬鹿に出来ないんだよな。例えば誰かがこっちを見ている場合、そいつに渡すデータを得るためにシステムが俺たちを参照するわけだけど、その流れを脳が感じてるんじゃないか……という説もある」
「は、はあ」
「俺的には視線を感じるのはある一定の殺意か一点を集中する時にすると自分の生存本能っていうのか野生の勘っていうのかみたいなモンが反応してなるんだと思うぞ」
「それはお前だけだ、ゲツガ。まあそういう可能性もあるっていうのは否定できない。でも、ユイに見えないなら誰もいないんだろうしなあ……」
「うーん、ひょっとしてトレーサーが付いてるのかも……」
そういわれると、キリトもゲツガも眉を上げる。
「何それ?」
「追跡魔法よ。大概ちっちゃい使い魔の姿で、術者に対象の居場所を教えるの」
「GPSみたいなもんか……。それはどうやって解除するんだ?」
「トレーサーを見つけて破壊すればいいんだけど、術者のスキルが高くなるごとに対象との間に取れる距離も増えるから、こんな広いフィールドだとほとんど不可能ね」
「そうか……まあ、気のせいかもしれないしな……」
キリトはそう言って納得するが、ゲツガは納得できなかったため視線を感じたほうに矢を放った。しかし、特に変わった様子もなかった。
「うーん、まあ、納得できないけど今は先に急ぐか」
「うん」
頷き合って、地面を蹴って空へと飛翔する。そして目の前にそびえ立つ大きな山脈の中腹に見える大きな洞窟目掛けて飛ぶ。数分で入り口に辿り着いた三人は着陸する。洞窟の入り口は四角くくりぬかれており幅はゲツガ達の三、四倍はあるだろう。入り口の付近には怪物の彫刻などが飾られており入り口の中央部には一際大きい悪魔のレリーフが飾られている。
「……この洞窟、名前はあるの?」
キリトがリーファに聞くと、答えた。
「ルグルー回廊って言うのよ、確か。ルグルーってのは鉱山都市の名前」
「ふうん……。そういえば昔の、とあるファンタジー映画にこんな展開が……」
「ああ、なんかそんなのあったな」
昔見た映画の話を思い出した二人は懐かしそうに言った。
「……知ってるわよ。山越えで地下鉱山を通ると、でっかい悪魔に襲われるんでしょ。あいにくだけどここに悪魔型モンスターは出ません」
なんとリーファも案外知っていたことに驚く。キリトは笑いながら言う。
「そりゃ残念」
「あ、でもオークが出るらしいわよ。そんなに楽しみなら全部お任せしますわね」
そう言ってそっぽを向いてすたすたと洞窟の中に歩いていく。なんで怒ってるんだ?そう思いながらゲツガはキリトの方を向く。キリトはさっぱりと言う風に肩をすくめてリーファの後について行った。しかし、視界はすぐに真っ暗になるが、しばらくすると目が慣れてきて見えるようになる。これもケットシーの効果だろうか。よく見えていないリーファは何かスペルを唱えようとしたが何か思い出したようにキリトに向かって言った。
「そういえばキリト君は魔法スキルを上げてるの?」
「あー、まあ種族の初期設定のやつだけなら……。使ったことはあんまないけど……」
「洞窟内はスプリガンの得意分野だから、灯りの術も風魔法よりもいいのがあるはずなのよ」
「えーと、ユイ、わかる?」
頭をかきながらキリトが言うと胸ポケットから顔を出したユイは教師然とした口調で言う。
「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。お兄ちゃんを見習ってください」
「ゲツガを……ってあいつ何か魔法を覚えてたっけ」
「違う、マニュアルのほうだ。大体、俺の入れた魔法は初期のやつと地属性魔法と倍加魔法だけしか入れてない」
「いや、俺からすれば十分多いから」
そう言ってユイから教えてもらった魔法を唱えると、全員の身体を光が包んだ。ゲツガは特に何も怒ってないのでキリトたちに何が起こったが聞いた。
「なあ、さっきの魔法なんだったんだ?」
「え、視界が明るくなっただろ?」
「いや、もともと明るかったんだけど」
「そういえば、ケットシーって案外設定が優遇されてるような気がするしね。それにしても、この暗視魔法は便利ね。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」
「そうらしな。俺は特に意味ないけど」
「お前等、その言い方は傷つく」
「うふふ。いやでも実際、使える魔法くらい覚えておいたほうがいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」
「そうらしいぜ。しょぼい魔法でも」
「うわ、更に傷つく!っていうかゲツガは俺を傷つけるしかないだろ!」
「ああ」
「うわッ!こいつマジで言いやがった!」
そう言ってゲツガ達は曲がりくねった洞窟を下っていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
洞窟から少し離れた茂みに数十人のパーティーがいた。
「おい、あいつら百メートル以上離れてるのに何で気付いたんだ!しかも、片方は弓で一人に攻撃を当ててきたぞ!」
一人のプレイヤーがリーダーらしきメイジの男に言う。
「慌てるな。ただ、弓を引いてたまたま当てただけだろう。気にすることはない。作戦はこのまま続ける」
メイジのリーダーらしき男は蝙蝠に映った三人のプレイヤーを見ながら口を吊り上げて笑った。
後書き
試しに予約投稿出してみた
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