ソードアートオンライン VIRUS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
リンクスタート
前書き
ストックがそろそろ切れそう……
次の日の朝、優はいつもどうりに走っていた。昨日はすぐにゲームショップに向かいアルヴヘイムオンラインのカセットを買って、ナーヴギアにインストールを済ませておいた。しかし、昨日あいつにあったせいとあの久我という男に会ったせいで不快な気持ちがあるため、何時もの倍以上を走ってしまった。帰ってきたときにちょうど和人と会った。
「おう、優。今日は相当走ってきたんだな」
「ああ、ちょっとあってな」
そう言うと今度は和人は少し怒ったように言った。
「昨日、何で知らせなかったんだ。エギルに聞いたぞ。お前は写真をすでにゲットしていたらしいな」
「ああ。それは、俺も昨日は嫌な野郎に会ったからだ」
そう言うと和人は本気で嫌そうな優の顔を見た瞬間、誰のことかわかったらしく、それ以上言わなかった。しかし、和人はもう一人のことは気付いていないだろう。和人がマウンテンバイクを止めに行くといって別れ玄関ではなく縁側の方に向かう。縁側にはマフィンを食べようとしていた直葉がいたので声をかける。
「スグ、ただいま」
「ゆ、優君!!」
いきなりの声をかけたからびっくりしたのかマフィンを喉に詰まらせたらしく首の辺りを押さえてじたばたする。優は横にあったジュースにストローを挿して直葉に渡す。
「すまん、スグ。驚かすつもりはなかったんだ」
「けほっ……けほっ。だ、大丈夫。私が少しのことで驚いただけだから」
その時マウンテンバイクをなおし終えた和人が来た。
「何してんだ。スグ、優?」
「いや、スグをびっくりさせちゃってな。マフィンを喉に詰まらせちゃったから、ジュースをやったんだ」
「ったく、そそっかしい奴だな」
「うう~」
直葉は和人にそういわれてうなだれる。とりあえず、今は汗を結構かいているため汗を流すためにシャワーを浴びることにした。
「俺、シャワー浴びてくるから。あっ、それとカズ。あとでお前の部屋に行くから開けといてくれ」
「ああ。わかった」
そう言って風呂場で汗を流した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
汗を流し終えた後、ナーヴギアを持って和人の部屋に入る。
「おいーす。入るぞ」
「ああ。っていうか入ってから言ったて意味無いだろ」
そしてラフな格好に着替えた和人に聞いた。
「お前、インストール終わってんのか?」
「当たり前だろ。そういうお前は終わってんのか?」
「俺はもう昨日のうちに済ませてあるよ。ついでに下調べも」
そう言って和人の部屋の椅子に座りナーヴギアをかぶり、回線を繋ぐ。
「カズ。ユキとアスナを絶対に助け出すぞ」
「何言ってんだ。当たり前だろ」
二人をもそれを確認すると笑ってから、目を閉じる。
「「リンクスタート」」
二人は始まる場所は別々かも知れないが同じ目的を持って、虹色の輪を通り、再び仮想世界へと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
虹色の輪を通りたくさんのアイコンを過ぎた後SAOの時と同じキャラ設定するステージに到着する。その場所に足をつけるとアナウンスが流れる。
『ようこそアルヴヘイムオンラインへ。キャラネームを登録してください』
その後、自分の前にホロキーボードが現れる。素早くゲツガと入力してエンターキーを押そうとする指を止めた。あの時にあいつは俺の正体を須郷とか言う奴から聞いたと言っていたからこの名前を使えば特定されるかもしれない。しかし、野郎はそこまでしないだろうと思い、エンターキーを押した。
「次は種族選択か」
そして、昨日一通り確認したものの中で自分のあの世界で使う武器を考えると自分に会う種族はあれしかないと決めている。素早くその種族を選んだ。その後はまたアナウンスが流れ、自分の身体が浮遊した感覚に襲われる。そして自分の身体が何かにまとわり付く感覚に襲われた後、自分の身体を確認する。特に身体は変わった感覚は無いが頭には現実世界には無いものが付いていた。
「猫妖精を選んだからこんなものが付くのか……」
そう呟いた瞬間、落下が急に停止する。何が起きたのか辺りを見渡すと、自分の身体の周辺にノイズがかかっていた。
「ちっ!こんな時に奴らが出てくんのか!?」
素早く身体を反転させて背中にある細くすごく心もとない剣を取ろうとした瞬間、身体が再び落下を始める。下を見るとノイズによって出来たと思われる黒い穴があった。優は落下運動に逆らえずその穴に落ちて行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現在、窮地に立っていた。サラマンダー三人に囲まれ、翅ももう滞空制限によって飛べなくなった。
「梃子摺らせやてくれるじゃねえーの」
一人が兜のバイザーを跳ね上げ、興奮を隠し切れない口調で言う。しかし、中央の男はその興奮気味の男を手で制し、落ち着いた口調で話しかけてくる。
「悪いがこっちも任務だからな。金とアイテムを置いてけば見逃す」
「なんだよ、殺そうぜ。女が相手なんて超ひさびさじゃん」
もう一人の男もバイザーを跳ね上げて言う。暴力に酔った粘りつくような視線を向けて。
一年のプレイ経験から言うとこの手の女性プレイヤー狩りに執着を見せる連中は少なくないと言えない。卑猥な言葉を発したり戦闘以外での目的で身体を触るとハラスメント行為によってすぐに通報されるが、殺傷行為はこのゲームの目的であるために自由。過去にあった伝説のゲームをプレイしていた人が聞いたらぞっとするだろう。
リーファは両足でしっかりと地面を踏みしめると、愛用の剣を大上段に構える。視線に力をこめ、サラマンダーたちを睨む。
「あと一人は絶対に道連れにするわ。デスペナルティーが惜しくない人からかかってきなさい」
低い声で言うと、リーダー格と見られる男以外の二人のサラマンダーが猛り立つように奇声を上げた。中央にいる男が男達の行動に手で制して言った。
「諦めろ、もう翅は限界だろう。こっちはまだ飛べる」
言われた通りだが諦める気はない。男は私の反応で答えを察したのか首を横に振る。
「やれやれ、気の強い子だな。仕方ない」
翅を鳴らして浮き上がる。それを見た左右にいた男も片手に握るスティックを操作して空えと上昇した。たとえ、三本の槍に貫かれようとも、最初の敵だけは渾身の一撃を一太刀浴びせる覚悟で腕に力をこめる。敵が三方から取り囲み、今まさに突撃しようとした時だった。
突然槍を構えていた男の一人が消えたかと思うと地面から大きな音とともに地面から大きな砂埃が舞う。そして、その砂埃が消えると赤い炎とともに一人の男が何かその炎に向かって何か怒鳴っていた。
「お前なあ、俺が落ちてきて掴んだだけで何で落ちんだよ!少ししか体重かけなかったろ!」
そして砂埃が完全に晴れると男がもういいやという感じでこちらを見ていた。
「あー、すまん。誰でもいいからここがどこかわかる奴がいたら教えてくれ」
出てきたのは、初期装備をした茶髪のケットシーの男だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
黒い穴に入ったゲツガはしばらくしたら再び空に出た。さっきのはウィルスの仕業かバグなのかわからなかったがとりあえず高いところから落ちていきなり死ぬのはさすがに駄目だと思ったので、辺りに掴んでもいい物がないか探す。ちょうどいいところに三人の飛んでいる奴がいたのでそのなかの一人に方向を定めて落ちていく。そしてちょうどいい高さまで落ちてくると肩を掴んで言った。
「少し悪いが耐えてくれよ」
「はふ?」
急に肩をつかまれた男は変な声を上げてこちらに向こうとするが急に大きな衝撃がかかり、そのまま落下する。そして地面に追突する。ゲツガは、SAO時代のホワイトバレットと呼ばれていた時と同様に衝撃吸収するように足をつける。あ、この世界でもこうやったら死なないんだなとか思いながら立ち上がると掴んだ男を怒鳴る。
「お前なあ、俺が落ちてきて掴んだだけで何で落ちるんだよ!少ししか体重かけなかったろ!」
しかし、男はおらず、男が落ちていた場所には赤い炎をがあるだけだった。そういえば、妖精が死ぬとリメインライトと呼ばれるものが残るとサイトに書かれていたなと思い出し、もういいやと思って次に話しかける相手を見つけて話しかけた。
「あー、すまん。誰でもいいからここがどこかわかる奴がいたら教えてくれ」
とりあえず、場所を聞こうと今いる奴らに声をかける。しかし返ってきたのは、場所ではなかった。
「手前、いきなり何しやがる!!勝手に出てきてパーティーの一人を殺してなに言ってやがんだ!!ぶっ殺してやる!!」
そう言って、赤い鎧を着た男が槍を構え突っ込んで来る。
「危ない!!逃げて!!」
少しはなれたところで金髪の女の子がこちらに向かって叫んでいた。それに片手をあげて大丈夫というふうに手を振る。しかし、その子は再び叫ぶ。
「なにが大丈夫よ!!見たトコ、ニュービーじゃない!早く逃げて!!」
再び、男のほうを見るともう目の前まで槍が迫っていた。素早く、足元に落ちている槍を男に向けて蹴り上げる。急なことに反応できなかった男はその槍が腹に当たる。
「ぐあぁ!!」
怯んだ瞬間に素早く槍を掴み、回転させながらさらに男に押し込む。
「人がただ場所を聞いただけで攻撃してくるってどうよ?まあ、俺が掴んだ奴を倒したのは悪いと思ってるがいきなりはないだろ。いきなりは!」
そしてその槍で男を貫くと男は炎になった。また、聞ける人を減らしてしまった。ため息を吐きながら、後二人の人物を方を見る。
「で、あんたも攻撃してくるか?見たトコそっちの美人の人はシルフだからケットシーと同盟だったはずだからなんか変なことしない限り攻撃してこないと思うけど、あんたはサラマンダーだろ?どうする?やるか?」
「び、美人!?」
急に言われて戸惑うシルフを横目で見ながら、槍を飛んでいるサラマンダーに向ける。
「いや、やめておこう。君を正直ニュービーだからって甘く見ていた結果がさっきの奴みたいになったからね。それに……」
サラマンダーの男はシルフを見てから言う。
「君とも戦いたくないね」
「そうか。じゃあ場所教えてくんない?」
そう言った瞬間、サラマンダーの男はどこかに飛んで行っていた。
「チクショウ!!あいつ殺す!!」
そう言って槍をそいつが飛んでいくほうに投げ飛ばす。しかし、力加減を間違えたのか相当遠くに飛んでいった。おかしい。初心者にこんな力があるのだろうか?そんなことを考える。しかし、今は場所を知るために残りのシルフに話しかける。
「なあ、ここがどこかわかるか?」
「えっ……ここはシルフ領近くの森だけど……」
急に話しかけられたシルフは少し警戒しながら剣を構えている。
「そんな警戒すんなよ。ただ道を知りたかっただけなんだから」
そう言って両手を挙げて、敵意のないことを示す。数秒後、シルフの女性は警戒を解いた。
「私もゴメンね。助けてもらったのに警戒なんてして」
「いいよ、あんな登場した俺が悪いんだからな」
そう言うとシルフの女性は笑って近づいてくる。
「私、リーファて言うの」
「俺はゲツガ。バリバリの初心者だ」
「その割には戦い慣れしてるって感じじゃない。しかも、あのサラマンダー隊の二人をノーダメで倒したのにニュービーって言うのは怪しいんじゃない?」
にやりとして顔を覗き込んでくる。少しあわて、両手を左右に振りながら答える。
「そ、そういうのは、違反行為じゃないか?」
「まあ、そうね」
そう言ってすぐに諦めてくれたので、息を吐いて落ち着く。
「ねえ、君、この後予定ある?」
「え?ああ、特にないけど」
「そう。じゃあ、助けてくれたお礼に一杯奢るわ。どう?」
「それは助かる。俺、まだこの世界に来たばっかで知らないことがかなりあるから教えてもらいたかったんだ。とくにあの中心にある世界樹のことを知りたいんだけど」
そう言って、中心に聳え立つと思われる世界樹の方向に視線を向けた。すると、リーファは不思議そうに見た後、了承してくれた。
「じゃあ、ここじゃあれだし移動しましょうか。ケットシーだしスイルベーンに来ても大丈夫でしょ。そこで話をしてあげる」
そう言ってリーファは翅を出す。とその時、耳に小さな羽音が聞こえた。頭の上にある耳がぴくぴくと動く。数は一だが、警戒しておくべきだろう。剣を取り出し構える。
「どうしたの?」
「誰かがこっち方面に飛んできてる。数は一。サラマンダーかもしれない」
そう言うと、リーファも武器を構える。しばらくすると一つの影が見えてきて近くの場所に落ちてくる。
「いてて、これは着地がミソだな……。あら、戦闘もう終わってんの?」
そう言って現れたのは、浅黒い肌をした男だった。
ページ上へ戻る